東桜にあるイタリアンレストラン「prospero(プロスペロ)」が食べログの百名店に選出。新栄町駅から歩いて2-3分の場所に位置します。
店内はカウンター席に窓際の特等席、奥には個室化できるお部屋もあります(写真は食べログ公式ページより)。則武哲郎シェフは東京やイタリアのヴェネト州、トスカーナ州などで腕を磨き、2018年に当店を開業したようです。ワインはイタリアの手ごろなものが用意されており、グラスワインは千円台で楽しむことができます。量もたっぷり注いでくれ、すっかり酔っ払ってしまいました。
アミューズから凝りに凝っており、リコッタチーズとフキノトウが詰まったラヴィオリが早速美味しい。アスパラソバージュを巻いたハムも程よい塩気であり泡が捗ります。
カルパッチョは旬のクエとサヨリという二種類の魚介を主役に、食感の良いスナップエンドウと風味豊かなサルサヴェルデを組み合わせます。上品なクエの旨味と繊細なサヨリの味わいに、スナップエンドウのシャキシャキ感とほのかな甘みが加わり、サルサヴェルデのハーブの香りと塩味、酸味が全体を引き締める。
タイラ貝に赤貝にトリ貝と貝特集。貝特有の磯の香りと旨味が後を引く美味しさ。ホワイトアスパラガスも添えられており、その優しい甘みに舌鼓をうちます。
冷製パスタはフェデリーニ。カツオとトラパニーのソースを上手く併せており、ナッツの香ばしい風味が良く合う。バジルの爽やかな香りとニンニクのコクがアクセントとなり、パスタながら酒の進むひと品です。
パンもひと手間かけており、上質なオリーブオイルと共に、これだけで立派な料理です。魚料理はアマダイ。パリパリとした食感が楽しめるウロコ焼きにし、旬のそら豆を使ったソースで頂きます。甘鯛の上品な白身の味わいと、そら豆のほのかな甘みが調和する。加えて香ばしく焼いた桜海老も散らしており、その香ばしさがバリ旨い。
ハマグリと菜の花のタリアテッレ。春の訪れを感じさせる食材を起用しており、はまぐりの旨味と菜の花のほのかな苦味が炭水化物によく絡む。実に春らしいひと皿です。
続くパスタはカスミを練り込んだチカテッリ。イカスミの独特の風味とコク、そして黒い色が食欲を刺激し、そのモッチリとした食感がクセになるアオリイカの上品な甘みも見逃せない美味しさです。
お口直しにデコポンのグラニテ。デコポンのみずみずしさと凝縮された甘み、そして心地よい酸味がぎゅっと詰まった清涼感あふれる味わいです。
メインは知多牛のヒレ肉。やや熟成が進んでいるのかジットリとした旨味が支配的で、何とも大人の味わいです。添えられたタケノコはシャキシャキと香ばしく、牛肉との相性も素晴らしい。〆のパスタはグラム数を指定でき、食べ盛りの私は80グラムでお願いしました。ウニを贅沢に用いており、上品な甘さのトマトソースと良く合います。この日のディナーの締めくくりにふさわしい、印象的なひと皿です。
デザートはイチゴのミルフィーユにヨーグルトのジェラート。サクサクとした食感のパイ生地と、甘酸っぱくジューシーな完熟いちご、濃厚なカスタードクリーム。食感も味わいも豊か。また、ヨーグルトのサッパリ感が爽やかな後味を演出してくれます。
お茶菓子とエスプレッソでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は2.5万円。これだけ上質な料理を腹いっぱい食べてこの支払金額はお値打ち。東京なら倍近く請求されるかもしれません。パスタをたっぷり摂取できるという意味で「PRIMO PASSO(プリモ パッソ)」に食後感が似てるかも。いずれにせよ私の大好きなタイプのイタリアン。オススメです。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
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- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
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- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。