名古屋の割烹界隈において20年以上にわたりその存在感を示し続けている「ふじ原(ふじわら)」。食べログでは百名店に選出。久屋大通駅からすぐ近くの雑居ビルに入居しており、以前は2階、現在は3階に移転リニューアルしています。
店内は7-8席のカウンター席が中心に、個室の用意もあります。最大の特長は巻物のように長いアラカルトメニューでしょう。季節の鮮魚の刺身から、焼き物、煮物、揚げ物、さらには和食の枠を超えた洋風の皿までが整然とかつ情熱的に羅列されており、見ているだけで心躍ります。
藤原光章シェフは大阪の割烹料理店「作一」で腕を磨いたのち、2004年に当店を開業したそうで、当店のアラカルト至上主義は、その浪速割烹の系譜を引き継いでいるのでしょう。
藤原光章シェフは大阪の割烹料理店「作一」で腕を磨いたのち、2004年に当店を開業したそうで、当店のアラカルト至上主義は、その浪速割烹の系譜を引き継いでいるのでしょう。
ところで、料理のお品書きもそうですが、お酒のメニューにもお代は一切記載されておらず、何がいくらなのかは一切不明。とは言えネット上の口コミを精査すると最終支払金額は皆、2万円前後のようなので、悪くない価格設定でしょう。
お通しが豪華。中でもイカの酢味噌和えや春キャベツのおひたし(?)、新玉ねぎを用いた豆腐などがいいですね。春の訪れを五感で楽しませてくれる構成であり、これから始まる食事への期待を最大限に高めてくれます。
お造り盛り合わせ。厳選された魚介の競演です。淡白ながら旨味が強いタイ、脂がとろけるノドグロ、皮目の香ばしさが身の甘みを引き立てるタチウオ炙りなど申し分のない美味しさ。お気に入りは〆サバで、強い旨味と程よい酸味が酒を呼びます。
カニとルッコラのサラダ。たっぷりと盛り付けられたカニは酸味主体に調味されており、ルッコラ特有の爽やかな苦味が加わることで、カニの旨味がより一層引き立てられます。洋の要素を感じさせつつも、後味はどこか和の落ち着きを感じさせます。
春の風物詩であるホタルイカを、出汁にくぐらせてしゃぶしゃぶで頂きます。口に含んだ瞬間に弾ける濃厚な磯の香りと、ワタの芳醇なコクはしゃぶしゃぶならではの醍醐味。生ワカメとタケノコもたっぷりと盛り込まれ、若竹煮としても楽しむことができました。
「お口直しにどうぞ」とお出し頂いた小鉢。こちらはコウナゴ(いかなご)でしょうか。釜揚げに仕立てることでピュアな旨味がダイレクトに感じられ、微かな、しかし心地よい苦味が全体の味を引き締めます。奥のおひたし(?)からも春の苦味が感じられ、これが日本酒のキレを際立たせ大人好みの深い味わいを作り出してくれます。
和風コロッケ。中にはたっぷりのカニとクリームが詰まっており、実質はカニクリームコロッケでしょうか。カニの身が惜しみなく入っているため口いっぱいにカニの濃厚なエキスが広がります。洋食屋のそれとはまた違う、出汁のニュアンスも感じられるひと品です。
鹿のタレ焼き。赤身肉の清らかな旨味が凝縮されており、噛みしめるたびに質の良い鉄分と肉の甘みが広がります。醤油ベースのタレの風味も香ばしく、和食店でこれほど質の高い鹿肉料理に出逢えるとは感動もひとしおです。
ちょっとした水菓子でフィニッシュ。ごちそうさまでした。気になる支払金額ですが、しっかり食べて軽く飲んで2万円でお釣りがきました。最高かよ。京料理が持つ形式美や伝統的な制約とは対照的に、ゲストの顧客の目の前で食材を捌き要望に応じて即座に献立を組み立てる即興性が楽しいですね。何でも揃う旨いもの屋。気の置けない仲間とあれこれ注文してワイワイ楽しみましょう。オススメです。関連記事
仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。
- 名古屋うなぎランキング2017 ←1ヶ月集中して昼夜うなぎを食べまくった成果。
- ル マルタン ペシュール(LE MARTIN PECHEUR)/吹上 ←常連になりたくなるお店。
- a.ligne(アリーニュ)/新栄町 ←名古屋いや日本においてもトップクラスに好きなフランス料理。
- l'adour (ラドゥール)/池下 ←コース料理1万円未満の部においては日本屈指の実力店。
- ル・タン・ペルデュ(Le Temps Perdu)/伏見 ←名古屋・ベスト・費用対効果賞。
- レミニセンス(Reminiscence) ←フロリレージュ的な食後感。構成要素が非常に多く食べ手に経験を求める味覚。
- 壺中天/新栄町 ←王道フレンチ名店中の名店。
- 鈴波本店 膳処 (すずなみほんてん ぜんどころ)/栄 ←高級ホテルの和朝食より全然美味しい。
- ラ・グランターブル ドゥ キタムラ(La Grande Table de KITAMURA)/高岳 ←赤字ではないかと心配になるほどの費用対効果。
- ル ピニョン(LE PIGNON)/大曽根 ←この支払金額はリーズナブルを通り越して奇跡です。
- うめもと/高岳 ←ちょっとした神現場。
- うな富士/鶴舞 ←噂に違わず凄いお店。










