GELION Somsa shashlik(ゲリオン ソムサ シャシリク)/サマルカンド(ウズベキスタン)

サマルカンドにおける宿泊先「ヒルトン ガーデン イン サマルカンド(Hilton Garden Inn Samarkand)」近くの「GELION Somsa shashlik(ゲリオン ソムサ シャシリク)」。1991年創業の老舗であり、サマルカンドの伝統的な食堂として、地元民から絶大な支持を集める名店です。レギスタン広場などの世界遺産指定区域から車で10〜15分ほど離れた生活圏、ダフベッド通りのゲリオン交差点に位置します。
厨房を横目に右手の小さな階段を登ると、100席は超えようかという大箱が広がります。照明は控えめなので外から見るとよくわからなかったのですが、お昼時には地元の常連客でもうパンパン。12時から13時頃のピークタイムは非常に混雑し、テーブルの片付けが追いつかないほど飽和状態になるそうなので、少し時間を外して訪問するのが賢明です。3-4人で訪れ、コカ・コーラを1.5リットルのペットボトルを飲み尽くすのが流儀のようです。
まずは「Fresh Salad」。ウズベキスタンの強い日差しを浴びて育った濃厚な旨味のトマトとキュウリに、たっぷりのフレッシュな香草が組み込まれています。ドレッシングに頼らず、素材自体の水分と塩、少々のスパイスだけで食べさせるという引き算の美学。これから続く脂の乗った肉料理の合間に口内をリセットしてくれます。
屋号にもなっている「Somsa(ソムサ)」。タンドール窯の壁面に生地を貼り付け高温で一気に焼き上げる郷土料理です。何層にも重なったパイ生地は小麦の風味が豊かで、まるでフランス料理のパイ包みを思わせる方向性。
ひと口かじると、中から羊肉と玉ねぎが溶け合った熱々の肉汁が溢れ出します。香草の清涼感が肉の脂を上品に引き立てており、添えられたトマトベースのソースにディップして食べると、もうスナックの域を超えています。
続いて「Manty(マンティ)」。薄い皮の中に粗挽きの羊肉とたっぷりの玉ねぎが閉じ込められた蒸し餃子で、551を彷彿とさせるような力強い肉の旨味と玉ねぎの甘みが混ざり合ったスープが溢れ出します。トッピングのヨーグルト(カティク)の酸味がコクを与えつつ後味をさっぱりとさせており、羊肉好きには堪らない味わいです。
こちらも看板メニューの「SHASHLIK(シャシリク)」。ガスではなく炭火で焼き上げられた串焼きで、羊の塊肉は適度な歯ごたえがあり、噛むほどに濃厚な肉汁が溢れます。一方の羊挽肉はジューシーで口どけが良く、中に練り込まれた細かなスパイスと玉ねぎが肉の甘みを最大化しています。

お隣の「ベジタブルグリル」はパプリカ、ナス、トマトが炭火でじっくりと焼き上げられており、余分な水分が飛び素材本来の甘みが凝縮されており、外側の香ばしい焦げ目と内側のとろけるような熱々の食感の対比がいいですね。炭の香ばしい燻製香が野菜の甘みを引き立てており、肉とはまた違った力強い味わいを堪能できます。
〆の炭水化物には「サマルカンド プロフ」。大鍋の底で肉の旨味と油をたっぷり吸い込んだお米は、一粒一粒が自立しており、噛むたびに芳醇なコクが溢れ出します。ウズベキスタン特有の黄色いニンジンが加熱されることで力強い甘みを生み出しており、油多めの背徳感をマイルドな多幸感へと見事に変換しています。タシケントの「Besh Qozon(ベシュ カザン)」とはまた違ったスタイルで興味深い。
プロフにはパンが付きます。こちらでナンと呼ばれるものですが、これはあまりパっとしませんでした。同じ糖質を取るのであれば、さっきのソムサをもうひとつ食べたかったな。
腹がはち切れるほど食べ尽くし、お会計はひとりあたり千円強。この圧倒的な費用対効果の高さこそが、地元住民が日常的に通い詰める最大の理由でしょう。伝統的な調理技術を継承しつつ、それを観光客向けの気取った料理ではなく地元の人々の生活の糧として提供し続ける素晴らしいレストラン。オススメです。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。