Emirhan Restaurant(エミールハン・レストラン)/サマルカンド(ウズベキスタン)

ウズベキスタン観光のハイライト、サマルカンドのレギスタン広場。その圧倒的な青のモスク群から徒歩でわずか5分ほど、マフムジャノヴァ通りの奥まった場所に位置する「Emirhan Restaurant(エミールハン・レストラン)」。知らなければ通り過ぎてしまうような隠れ家的な立地ですが、同名の人気ホテルに併設された当館は、現代サマルカンドにおける観光ガストロノミーの最高峰とも言える存在です。
店舗は3階建ての大箱。1-2階は団体客向けの大部屋ですが、当店の最大のハイライトは何と言っても3階の屋上テラス席でしょう。レギスタン広場のティラカリ・マドラサのドームを間近に望むパノラマビューは、まさに絶景。夕暮れ時から夜のライトアップにかけての時間帯は、サマルカンド滞在中に一度は体験したい圧倒的なロケーションです。
まずはウズベキスタンを代表するビールブランド「Sarbast」の無濾過(アンフィルター)タイプで乾杯。無濾過ならではの少し白濁した黄金色で、酵母由来のフルーティーな香りとまろやかなコクが広がります。一般的なラガーよりも口当たりが柔らかいのもいいですね。
食事は「フレッシュサラダ」から。驚くほど甘い完熟トマトと瑞々しいキュウリやパプリカに、パリパリに焼かれた生地(?)がトッピングされています。野菜のジューシーさと生地のクリスピーな香ばしさが口の中で混ざり合い、シンプルな調味ながら見事な食感のコントラストを描き出しています。
続いて中央アジア版の焼きパイである「Samsa(ミート・サムサ)」。窯の熱でパリッと香ばしく焼き上げられた生地からは、まるでフランスのブーランジェリーを思わせる重層的な口当たりを堪能できます。中には細かく刻まれたジューシーな肉と玉ねぎが詰まっており、クミンの香りが食欲を猛烈に刺激する。
スープ料理には「Beef Shurpa(ビーフ・シュルパ)」。牛肉の旨味が黄金色のスープにしっかりと溶け出しており、スプーンで簡単に解れるほどホロホロに煮込まれた大きな牛肉の塊と、出汁をたっぷり吸ったジャガイモや人参がと共に愉しみます。
〆の炭水化物に「Lagman Fried(フライド ラグマン)」。手打ちの太麺をトマトベースのソースと具材で炒めており、どこか日本のスパゲティ ナポリタンを想起させます。また、コシの強い極太麺がスパイシーで濃厚なソースを纏う姿は、名古屋の「あんかけスパ」にも通ずるパンチと力強い食べ応えがあります。トマトの酸味とクミンの刺激が絶妙に融合し、どこか懐かしくもエキゾチックな味わい。イタリアンでも中華でもない、中央アジアの熱気が凝縮された麺料理の決定版でしょう。
以上を2人でシェアし、軽く飲んでお会計はひとりあたり3-4千円といったところ。現地のローカル食堂に比べれば明らかに高価ですが、この眺望と英語が通じる安心感を考えれば、旅行者にとっては充分に納得のいくディールでしょう。屋上テラス席は競争率が高いため、ホテルのコンシェルジュ経由で予約してからどうぞ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。