宜野湾の高台にあり、通りがかりの客を一切想定していない「Totto(トット)」。沖縄の地元食材を多用するイタリアンレストランで、ゴ・エ・ミヨで掲載され話題を集めました。静かな住宅街に突如として現れる格好良いエクステリア。軒先には自家菜園が広がり、期待で胸が広がります。
薪の香りが満ちる建屋。様々なビンが並ぶ様は実験室さながら。ピカピカに磨き上げられたキッチンを取り囲むカウンターに7-8席が用意されており、19時一斉スタートでプレイボール。
潮平里志シェフは沖縄県出身で、イタリアで数年腕を磨いたのち、北谷の名店「アルドール(ARDOR)」で腕を振るいました。その後、ティラミス専門店の開発を手掛けたのち、2022年10月に当店をオープン。
コースは飲み物のペアリングが付いて2.2万円一本勝負。アルコールペアリングは全てがイタリア産のものが中心で、全州から幅広く取っている印象。ノンアルコールペアリングも同料金ですが、漬けたり発酵させたりとややこしく、飲み物というよりも料理に近い手の込みようなので納得感があります。
アミューズはゲストの到着に合わせて揚げられるトスカーナの伝統的な揚げパン「コッコリ。とろりとしたタレージョ(チーズ)と合わせており、そのうえで沖縄の高級魚「アカマチ」で包むという試みです。熟成されて凝縮した魚の旨みと程よい塩気が、チーズのコクと混ざり合い、口の中で旨味の相乗効果を生み出します。
畑そのものを皿の上に再現したかのような色彩豊かなひと皿。主役の島ニンジンはサツマイモのようなホクホクとした食感と濃厚な甘みが特長的。そこに燻製香を纏わせたビーツが深みを与え、ケールの野生的な苦味が全体を引き締めます。フランボワーズの華やかな酸味と金柑の爽やかな苦味と香りが重なることで、根菜類の土っぽい甘さがより洗練された味わいへと昇華されます。
自家製のフォカッチャ。モチモチでしっとりとした口当たり。残ったソースを拭って食べるのはもちろんのこと、そのまま食べて料理として成立するほど完成度の高いものでした。
アカジンミーバイ。沖縄三大高級魚のひとつであり、身はシンプルに焼き上げられ、プリッとした弾力と、噛むほどに広がる上品な甘みが際立ちます。その下を支えるスープはアラから出汁をとっており、濃厚でありながらも透明感のある味覚。じっくり火を通したシイタケの旨味と共に、滋味深い味わいです。
沖縄が誇るアグー豚のソーキ(スペアリブ)をオリオンビールで似た上で炭火焼きのバーベキュースタイルで楽しみます。表面はカリッと香ばしく、肉の繊維はほどけるほど柔らかく、トロトロの軟骨まで楽しむことができます。付け合わせのトレビスの苦味と赤ピーマンの甘みがアクセントとなり、仕上げのコーレーグースがピリッとした辛味と酒の風味を付与し、濃厚な肉の脂を爽やかに切っていきます。
切りたてのパスタは豆のペペロンチーノとして頂きます。うずら豆のホクホク感、インゲンのシャキッとした歯応えなど様々な豆の食感を楽しむことができ、豆から溶け出したデンプン質がソースを乳化させ、どこか沖縄そばのようなとろみと懐かしい出汁感を演出しているのがユニークです。
夜光貝のリゾット。通常のリゾットに不可欠なチーズやバターは用いておらず、夜光貝そのものが持つ磯の香りや繊細な旨味を愉しみます。重さがなくクリアで洗練された後味で、和食を思わせる美味しさです。添えられたスープはウツボからとっており、見た目の獰猛さとは裏腹に上品で濃厚な旨味を愉しむことができます。
デザートは沖縄の祝いの席に欠かせない「田芋(ターンム)」を、イタリアのモンテビアンコ(モンブラン)風に仕立てています。ねっとりとした独特の粘り気を持つ田芋に濃厚なヴァニラアイスが溶け合い、また、伊江島産のラム酒を効かせた生クリームをたっぷりと乗せることで全体をまとめます。
続いてイチゴにフーチバーのパウンドケーキ、ピスタチオのティラミス。ヨモギの爽やかな苦味と清涼感が焼き菓子のバターのコクを中和し軽やかな後味を演出。ピスタチオの濃厚でまったりとした脂質と香ばしさもよく合います。
食後のお茶は庭先で摘まれたばかりのフレッシュハーブを用いており、立ち上る香りの鮮烈さが見事です。青々とした生命力を感じる味わいであり、料理で満たされた胃を優しく整え、口の中をさっぱりとリセットしてくれます。当店が大切にしている自然との距離感や素材への愛情がカップの中に凝縮され、心が安らぎました。
以上の料理に飲み物のペアリングを合わせて2.2万円。沖縄のイタリアンとしてはトップクラスに高価ですが、質および量を考えれば割安とすら感じられます。何より沖縄のテロワールときちんと向き合っているのが良いですね。唯一無二ではあるものの奇をてらっているわけでなく、自然体ながら結果としてアバンギャルドなイタリア料理に仕上がっています。ゴ・エ・ミヨが評価するのも納得。営業日が限られているので、沖縄旅行が決まればいの一番に予約を入れましょう。関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。
- 沖縄の、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した
- まーちぬ家/美栄橋 ←沖縄料理の決定版。
- 魚じょぉぐぅ(いゆじょぉぐぅ)/西町 ←沖縄の魚をたっぷり食べるならコチラ。
- 串六×九(くしろっく)/栄町 ←クソデカサイズの伊達鶏で腹いっぱい。
- Nubia(ヌビア)/牧志(那覇) ←那覇のイタリアンでは頭ひとつ抜けている。
- ラルフズ バーガーレストラン(Ralph's Burger Restaurant)/コザ(沖縄市) ←わが心のハンバーガー・ベスト5に入ります。
- LITOR(リッター)/久茂地 ←フランス料理みたいなハンバーガー。
- ゴカルナ(Gokarna)/楚辺 ←沖縄の隠れた名物「スパイスカレー」の爆心地。
- 金壺食堂(きんつぼしょくどう)/牧志 ←チマキの概念が変わる店。50個も爆買いして自宅の冷凍庫で保存する達人もいるそう。
- 鉄板焼 朝日(あさひ)/名護 ←北部で牛肉を食べるならコチラへ。
- 島豚七輪焼 満味(まんみ)/名護 ←北部で豚肉を食べるならコチラへ。
- Maison de Fujii(メゾン ド フジイ)/松山 ←このクオリティで1万円を切るだなんて。
- 中國菜Yoshi/前島 ←クセつよ系絶品中華。
- 髙ノは(たかのは)/前島 ←日本料理ならココ。東京の半額で済む。
- 日本料理 行雲(こううん)/首里 ←こちらも素晴らしい日本料理。
- GLOUTON SHURI(グルートン シュリ)/首里 ←沖縄ベストフレンチの先頭集団。
- 6 (six、シス) /古宇利島 ←世界でもトップクラスに眺望が素晴らしいフランス料理店。味も抜群。













