みんな行きもしないのにジャングリアを悪く言いすぎ。

2026年1月、沖縄北部のテーマパーク「ジャングリア沖縄(JUNGLIA OKINAWA)」を取り巻く空気はかつてないほど冷え込んでいます。 同じ運営会社「刀」が手掛けた「イマーシブ・フォート東京」の早期撤退が決まり、ムッシュ森岡毅のマーケティング神話が崩壊したことで「ジャングリアも失敗だったのでは?」という疑念が一気に現実味を帯びてきたからでしょう。
「客足が遠のいてガラガラなのに待ち時間は長い」とテーマパークとして最悪の矛盾に陥っているとの噂もネット上で散見されますが、果たしてその実態はどうなのか。その真相を確かめるべく、我々はやんばるの奥地へと向かいました。
アクセスの悪さが指摘されるジャングリアですが、那覇空港や那覇市内からは直通バスが運行されています。 しかし、予約完了まで10回近くリンクを遷移する必要があったり、片道ずつしか買えなかったりとUI/UXはイマイチです。加えて運賃も片道2,500円、往復5,000円と高価です。 バス乗り場も分かりにくく、車両もラッピングバスとは限らないため見落とさないよう注意が必要です。予約不要の便も存在しますが、そのバスは乗り場が違うなど罠が多いので気を付けましょう。
バスは普通のバスです。2時間近くの長丁場ながらトイレ休憩はなく色々と不安になりましたが、 車内でずっと寝ていたらあっという間に到着。07:30の便に乗って到着は08:50。予定時刻よりも全然早く着きました。
入場ゲート付近の写真。開園直前でこの状況で、なるほど噂通り空いています。駐車場もガラガラです。とはいえジャングリアの同時収容人数は約5,500人という小規模設計。ピークだった2025年8月ですら1日平均約3,000人です。 1パークで毎日4万人前後を集めるディズニーやUSJとは文字通り桁が異なり、そもそも土俵が全く異なるため混雑具合を比べること自体ナンセンスでしょう。

ゲストの構成ですが、身長制限のあるアトラクションが多いためか大人やアクティブシニアが目立ちます。一方で、外国人観光客の姿はほとんどありません。 パークそのものは広くなくゲスト数も限られているため、園内で同じ人と何度もすれ違います。
この日は珍しくホライゾンバルーン(気球)が飛んでいました。天候に大きく左右されるアトラクションのため稼働日は月に数回という、まさに激レアなアトラクションです。運営側も案内に苦慮しているようで、今回はQRコードを読み込み、飲食店予約サービスの「TableCheck」で管理するという運用でした。 快晴のテーマパークで大のオトナたちが朝の9時から黙々とスマホを操作する光景は何処か異様なものがある。
私は9:07頃に登録を行い、58組待ちという悪くない順番でした。 しかしながら10時過ぎには運休となってしまったので、やはり乗れることには期待せずパークの象徴的な飾りと捉えるのが賢明でしょう。 ホエールウォッチングやオーロラ観賞と同様、飛んでたらラッキー程度の覚悟が必要です。
さて、気球の登録を済ませると、途端に手持ち無沙汰になりました。バスが予想以上に早く到着したことに加え、購入済みのプレミアムパスの対象時間は10:20からのため、開始までかなりの待ち時間が発生した形です。

園内には紙のマップ(近年の他パークでの廃止に伴う批判を考慮したのかもしれません)が用意されており、それを参考にしながら、さして広くもない園内をどう巡るかを検討します。
せっかくなので、園内をぐるりと巡る「タムタムトラム」に乗車しました。これが記念すべき初アトラクションです。 こちらも非常に空いており、待ち行列が発生する気配すらありませんでした。
「タムタムトラム」の終点の目の前に「やんばるフレンズ」というアトラクション(?)があり、間もなく開演するとのことだったので試しに入ってみました。内容はディズニーシーの「タートルトーク」の劣化版と言うべきものでしょうか、キャラクターのヤンバルクイナがゲストと対話しようとするのですが、ヤンバルクイナの滑舌が悪く普通に聞き取れません。それでも何とか会話に成功した年配の方が「好きな食べ物は焼き鳥」と言い放ち、ヤンバルクイナを怖がらせたのが面白かった。
さて、いよいよお待ちかね。大自然の上空で絶叫体験ができる「ジャングリア エクストリームエリア(JUNGLE EXTREMES AREA)」へ向かいます。 アクティビティの詳細は公式サイトに譲りますが、以下の通り大した追加課金もなしに、その日営業していたアクティビティは全て楽しむことができました。
  • ツリートップトレッキング(プレミアムパス課金)
  • スカイエンドトレッキング(整理券当選)
  • スカイフェニックス(整理券当選)
  • タイタンズスウィング(整理券当選)
  • バンジーグライダー(運休)
  • ヒューマンアロー(運休)
安全への配慮は徹底しており、ハーネス装着のダブルチェック・トリプルチェックは当たり前で、そのため1アクティビティにつき1時間近くを要します。結果として4つも回れたため、次はコレ、次はアレと、息つく暇もないほど忙しかった。

困ったのがルールを守らないゲストたち。スマホを持ち込んで追い返される、腕時計やネックレス等を預け直すためにロッカーへ戻る、あろうことかスカートで来る、こういった連中が覚悟していたよりも多く、「バカでもわかるように説明を工夫したところで、そもそもバカは説明を聞いてない」という格言を目の前で体現された気分。私の日常生活ではあまり接点のない層ですが、注意書きを読まない人たち・ルールを守らない人たちが世の中にはこんなにも多いのかと少し怖くなりました。
続いて目玉アトラクションのひとつ「ダイナソー サファリ」へ。 こちらはプレミアムパス(課金)での入場でしたが、エクストリームエリアでのアクティビティが長引いたため、普通に遅刻してしまいました。

焦りましたが「プレミアムパス(課金勢)であれば、ある程度は柔軟に対応してもらえる」という噂の通り、遅刻にもかかわらず普通に入れてもらえました。 ただしこれは公式ルールではなく偶々の可能性も高いため、やはりきちんと時間を守るに越したことはないでしょう。
アトラクション内は撮影NGなので詳細は控えますが、話題の割に大したことはないですね。 言うなればディズニーランドの「ジャングルクルーズ」の三文芝居バージョンであり、個人的にはお金を払ってまで乗る価値は無いかなというのが正直な感想です。 無理に課金するのではなく、空いていれば入ってみるぐらいのスタンスでちょうど良いでしょう。
14時近くになってようやく空き時間ができたので、メインダイニングの「パノラマ ダイニング(PANORAMA DINING)」でランチを摂ります。「やんばる」の森を見渡しながら食事を楽しむことができると多くのメディアで取り上げられていますが、一方で「ジャングリア沖縄」は厳密には「やんばる」と呼称される世界遺産登録エリアからは外れており、「やんばる」の定義を拡大解釈し、「やんばるブランド」に便乗しているのが実情だ、という意見もあります。地理的な正しさよりも巧みにパッケージングされた「雰囲気やんばる」を楽しむ場所と理解した上で訪れましょう。
行列や待機の仕組みはしょっちゅう変更されているようで、運営の苦悩が感じられます。どうせまた変わるだろうから詳しくは述べませんが、他のテーマパークの仕組みやファミレスの記帳台方式、回転寿司のチケット制度等をそのまま真似れば良いだけだと思うのだけれど。すげえ車輪の再発明感がある。
また、パーク飯ですので、美食や価格に見合う満腹感を求めてはいけません。あくまで雰囲気を食べるレストランであり、ビールを飲みながら涼しいインドア席でくつろぐ、といったビアホール的な使い方こそが、最も納得のいく楽しみ方だと感じました。
ちなみに、レストラン以外にも食事処としてフードカートが点在していますが、微妙に高いうえに量が少なく、いかにもテーマパークといった印象です(画像は公式ウェブサイトより)。

入場チケットには「250円引きクーポン」が1人あたり2枚ついてくるのですが、これには「1会計1,500円以上で1枚のみ使用可能」という厳しい制約があり、複数人で訪れても全て使い切るのは現実的ではありません。 私は結局1枚も使うことがなかったのですが、使わないと変に損した気分になるので、このような見せかけのお得感を演出するクーポンの配布は顧客満足度という観点では逆効果に感じました。
「バギー ボルテージ ~アドレナリン チャレンジ コース~」は、予想に反して単調なアトラクションでした(画像は公式ウェブサイトより)。 公式サイトでは「ステアリングを握る手に汗が滲む」「ジャンプ台に突入」といった鼻息の荒い宣伝文句が並んでいますが、実際の体感としては農道をトラクターで徐行している程度の興奮度です。

こちらもプレミアムパスを利用しましたが、追加料金に見合う価値は低いと感じました。行列がない場合に試しに乗ってみる、といった程度の利用が適正でしょう。
物販エリアは閑散としていますが、半額セールやバンドル割引が乱発されており、さながらドン・キホーテのような様相を呈しています。ディズニー等のパークではあり得ない光景ですが、この独特な購買体験自体は意外に悪くありません。最大の課題は強力なIP(キャラクター)の不在でしょう。滑舌の悪いヤンバルクイナだけでは訴求力が弱すぎます。 大阪万博が終了した今、あのミャクミャク様をジャングリアに再就職させてはどうだろうか、とすら思ってしまいました。
滞在の締めくくりに「スパ ジャングリア(SPA JUNGLIA)」へ向かいます。もちろん追加料金です。スパの利用には一度退園して専用バスでの移動が必要なのですが、車両は窓が遮蔽されているだけでなくフロントガラスにもブラインドが設置されており、移動ルート上に余程見られたくないものがあるのかもしれません。さながらスパイがアジトへ移送される際の目隠しのような運用でした。
スパ外観。いわゆる綺麗なスーパー銭湯といった風情であり、施設が新しい上に強気な価格設定のおかげで利用者が少なくピカピカで清潔。ただしそれほど大きな施設でもないので、ゆったり浸かったとしても60〜90分あれば充分でしょう。ギネスに認定されたインフィニティバスも景色がキレイな普通の風呂でした。また、夜間は照明に集まる大量の虫との闘いになるとの情報を得ていましたが、私は夕暮れ時を楽しんですぐに上がったので、その惨劇が本当かどうかは知りません。 
スパの総評として、スーパー銭湯としては悪くありませんが、「ジャングリア沖縄」ならではの冒険感や没入感には乏しく、わざわざテーマパークと併せて訪れる必然性は感じませんでした(画像は公式ウェブサイトより)。北部のホテルに泊まったついでにスパだけ単体利用しに来るならアリかもしれません。
夕食はスパ施設内にある「トロピカルオアシス(TROPICAL OASIS)」で摂りました。入店して受付に人数を告げると、スタッフはいらっしゃいませも言わないまま「おひとりさま1品の注文をお願いしています」と返してきます。は?何お前すげえ感じ悪いじゃん。ただ、彼が本心からそう尋ねたいわけではなく、これまでの客層の積み重ねが彼をそう言わせているのだから仕方ありません。
スタッフは心を失った機械のようにマニュアルに定められた作業を淡々とこなすだけであり、全く気が利きません。そのくせ荷物を床に置くカゴが足りなかったので隣のテーブルのものを拝借して使っていたら「ソレハ隣ノカゴデス」と一丁前に注意してきます。あのね、60席以上あるハコで今は10人も客居なくて、ラストオーダーまであと数十分なんだよ?もう少し自分の頭で考えたら?
ちなみにパーク側の「パノラマ ダイニング(PANORAMA DINING)」のスタッフたちは総じて感じが良かったので、当店はファームという位置づけなのかもしれません。過剰なサービスは求めず、風呂上がりに良心的な価格のビールと少しのツマミで喉を潤す休憩所として割り切って利用する、もしくは最初からカフェ利用と決めてかかるのが賢明でしょう。
さて、ここまで散々に不満点を述べてきましたが、結論として私はこの「ジャングリア沖縄(JUNGLIA OKINAWA)」という施設に満足しています。 世間では「失敗だ」「ガラガラだ」と騒がれていますが、それは初期の大阪万博と同様、訪れてもいない外野が騒いでいるだけのようにも感じます。実際に体験して感じたのは、ここがディズニーやUSJとは全く異なる別の競技をしているという事実です。

ジャングリアの投資額は約700億円。対してディズニーの「ファンタジースプリングス」拡張工事は約3,200億円。桁が違います。しかし「エスコンフィールドHOKKAIDO」の建設費が約600億円であることを考えれば、約700億円でこれだけの施設を作り上げたことは寧ろ
賞賛されるべき費用対効果と言えるでしょう。

ここは超巨大IPを持つテーマパークではありません。巨大なアスレチックパークと捉えるのが正解です。感覚としては夏季の「びわ湖バレイ」に近く、スキーやスノボ旅行の帰りに温泉に浸かるような、身体を動かした後の心地よい疲労感を味わう場所なのです。

現場のスタッフたちは総じて素晴らしく、コンテンツの乏しさを人海戦術とホスピタリティで乗り切っており、かつての「サンエー浦添西海岸パルコシティ」開業時のような、沖縄じゅうの若いエネルギーが集まった盛り上がりを感じました。

今後も新たなアトラクションの拡張が計画されているようで、爆発的なブームにはならずとも進化版アスレチックリゾートとして根強い人気を誇る施設として定着するでしょう。もとより過剰なキャパシティを追っていない分、この中規模・体験型という独特の立ち位置で、沖縄北部の新たな選択肢として、なんやかんやで末永く愛される場所になる予感がしています。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。