Lampe(ランプ)/武蔵小山

2025年10月に武蔵小山にオープンしたネオビストロ「Lampe(ランプ)」。中目黒のフレンチ「Restaurant Re:(アールイー)」の姉妹店にあたり、千葉県出身のシェフが地元食材の生産者と直接つながりを持ち、Re:での経験を活かした料理を提供しています。武蔵小山駅から歩いて4-5分とアクセス至便。
店内は思いのほか広く、カウンターに10席以上、奥には4席のテーブルが2卓用意されています(写真は食べログ公式ページより)。店内にはライトアップされた大きな枝木が2箇所に配置されており、無機質なコンクリート打ちっ放しの壁面とブラウンを基調とした内装に有機的な柔らかさと陰影をもたらしています。
酒は高くなく、グラスのシャンパーニュはたっぷり入って1,400円とお値打ち。スティルのグラスワインはいずれも千円強といった値付けであり、気前よく飲み続けることができます。
アミューズにつき、リコッタチーズを用いたアイスクリームが良いですね。特有のさっぱりとしたミルクの風味と、アイスクリームの冷涼感が舌の上で優しく溶け出しそこにキャビアの凝縮された海の塩気と旨みが重なります。また、このお皿に限らず全編を通して高品質なお野菜が添えられているのが嬉しい。
濃厚でねっとりとした舌触りのフォアグラのテリーヌからは上質な脂の甘みが感じられ、そこにイチジクのプチプチとした食感と深みのある果実の甘みが加わり、フォアグラの重厚さを中和しつつ奥行きを演出します。ネギの存在も面白く、シャキッとした食感と特有の香味・辛味が全体をキリッと引き締め、和のニュアンスを感じさせるモダンな味わいに昇華されています。
パンはブリオッシュとフォカッチャ。前者は手に取ると崩れそうなほど繊細で、口に含むとバターの芳醇な香りが鼻腔を抜け、リッチな甘みが広がります。一方のフォカッチャは、表面は香ばしくカリッと焼き上げられ、内側は水分をたたえてモチモチとした弾力が楽しむことができ、料理のソースを拭って食べたくなる衝動に駆られます。
フグの白子のフリット。熱々のフリットを噛めば、サクッとした薄衣の中からクリーミーな白子がトロリと溢れ出し、濃厚な旨みが口内を支配します。アクセントの炒り大豆が秀逸で、カリカリとした軽快な食感と香ばしさが、柔らかい白子との心地よいコントラストを生み出します。和食材である白子をフレンチの技法で軽やかに楽しませる逸品です。
松茸のクリーム煮。クリーム煮でありながら重すぎず、松茸の出汁がしっかりと溶け込んだソースは慈味深い味わい。そこに京都の伝統食材である「生麩(もみじ麩)」を組み込んでおり、日本料理のお椀のような優しさに加え、イタリアンのニョッキのようなニュアンスが感じられました。
プリプリとした弾力のあるアンコウの淡白な身に、クラシックなブールブランソースの芳醇なバターのコクと酸味が濃厚に絡み合います。アクセントに梅水晶を用いており、サメ軟骨のコリコリとした食感と梅の鋭い酸味が濃厚なバターソースにマッチし、全体をキリッと引き締めます。伝統的なフレンチソースに居酒屋的な要素をぶつける遊び心が秀逸で、アンコウの旨みを引き立てつつ食べ飽きさせないリズムを生み出します。
メインの千葉牛の内モモ肉。断面は艶やかなロゼ色に仕上げられ、ナイフを入れると押し返してくるような心地よい弾力が、その生命力を物語ります。内モモ特有のきめ細かくしっとりとした舌触りが訪れます。過度な脂がないため、噛み締めるごとに筋肉の繊維がほぐれ、そこから肉本来の鉄分を含んだ力強い旨みと、クリアな肉汁がじゅわっと溢れ出します。
焼き立てのタルトタタン。リンゴのほろ苦さと凝縮された甘酸っぱさが際立ち、サクサクのパイ生地との相性が心地よい。熱々のタルトの傍で濃厚なバニラアイスクリームが徐々に溶け出し、クリーミーなアングレーズソースのように全体を包み込みます。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上の「Lampe SP コース」が1.2万円で、お酒も結構飲んでお会計はひとりあたり2万円弱。これはフルフルに飲み食いした結果であり、ショートコースやワインペアリング付きコースなど予算に合わせて自由自在。アラカルトでの注文にも対応しており、2次会使いとしても機能しそう。武蔵小山という住宅街における多様な利用動機を上手く取り込んだフランス料理店でした。

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