ルアンパバーンの旧市街地にある、「カオソーイ」で有名なラオス料理レストラン「Nang Tao(ナン タオ)」。ルアンパバーンの伝統的な店舗兼住宅の様式を踏襲しており、まさに家族経営の小さな食堂といった風情です。
店内は簡易的なテーブルが十卓ほど並べられており、子連れやグループ客でも利用可能。エアコン設備が存在せず、シーリングファンと自然通風のみによる熱環境管理なので、夏場は厳しいものがあるでしょう。また、スタッフの意思疎通は中々に困難で、オーダーの取り違えや忘却、提供遅延は日常茶飯事だとネット上の民は愚痴っているのですが、実際に私も取り違えと忘却のダブルパンチを喰らいました。
飲み物は冷蔵庫から勝手に取り出し、セルフで栓を抜くスタイルです。先述の通り忘却に長けたオペレーションなので、お会計は飲み物含め全て自己申告という、性善説に基づいたスタイルです。ルアンパバーン名物であり看板料理の「カオソーイ 」。日本人にとってカオソーイと言えば北タイ風のココナッツミルクベースのカレースープに茹でた卵麺と揚げ麺を組み合わせたものであることが一般的ですが、ルアンパバーンのものは「味仙」の担々麺にベクトルが同じ。最大の特徴は豚ひき肉のラグーソースでしょう。このソースはトマトや発酵大豆ペースト、にんにく、唐辛子などから成り立っており、深い旨味とほのかな酸味、軽い辛さを生み出します。
スープの土台は豚骨でしょうか。沖縄そばのそれのように澄んでおり、そこに肉味噌の濃厚な旨味がスープに溶け出し、ハーブやライムの酸味が重なることにより、濃厚なのに後味は爽やかという面白い体験。麺は幅広の米麺できしめんに似た味わいです。これはもう、同じ「カオソーイ」であっても、北タイのものとは全く別の料理と考えたほうがよさそうです。
ラープ。ラオスの国民食とも呼ばれる、ひき肉とハーブの温かいサラダです。ひき肉を軽く炒め、魚醤などで塩気を加味し、ライムの酸味やハーブの香りで全体を整えます。観光客向けにマイルドに仕上げられており、万人受けする味覚です。
カオニャオ。ラオスの食卓に欠かせない主食であり、竹で編んだ籠(ティップ・カオ)に入って提供され、蓋を開けるとふわりと甘く芳醇な湯気が立ち上ります。日本のもち米よりも粘り気が少なく、しっかりとした弾力と歯ごたえがあるのが特長的。噛めば噛むほど米本来の素朴な甘みが広がり、塩気のあるおかずの味を優しく受け止めます。
クア ミー ルアン。「クア:炒める」「ミー:麺」「ルアン:黄色」であり、黄色い卵麺を野菜や肉と一緒に炒めたラオス風の焼きそばです。味付けはオイスターソースが土台でしょうか、ペタペタと甘く、砂糖も多用されているのが印象的。この甘じょっぱさは日本人にも馴染み深い味覚と言えるでしょう。
以上を食べ、大瓶のビールを付けてお会計は1,600円ほど。正直なところ「カオソーイ」は北タイ風を好むのですが、そんなことを言ってられないほど価格破壊が進んでいます。料理の方向性は日本の家庭料理に似ていることもあり、ラオスで暫く暮らしてみるのも悪くないなと思わせてくれる費用対効果の高さでした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。








