店内はカウンター6席とテーブル8席のみで、まさにprivé(プライベート)な雰囲気。カウンター席はェフが目の前でデザートや料理を仕上げる様子を鑑賞できる特等席として機能しています(画像は一休公式ページより)。
成田 一世シェフは「エノテカ・ピンキオーリ」や「ピエール・エルメ」、ロブション系のレストランで経験を積み、帰国後は「エスキス(ESqUISSE)」や「スガラボ(SUGALABO)」のシェフパティシエを務めました。2017年には「Asia’s 50 Best Restaurants」でベストパティシエ賞を得ています。
場所柄ワインは当然に高価ですが、麻布台ヒルズの他のレストランよりは良心的な価格設定かもしれません。ちなみに成田シェフはKRUGアンバサダーも務めているそうで、レストランでは珍しくグラスでの用意もありました。
さっそくアミューズ。米粒型のパスタを冷製に仕立て、まるで酢飯のようなアルデンテの心地よい食感を演出しています。噛み締めた瞬間にプチッと弾けるキャビアの塩気と旨味が、パスタのデンプン質の甘みと混ざり合い、まるで鮨のシャリとタネが一体化したような錯覚に陥ります。
豚の皮を揚げたひと品。空気を含んだサクサクとしたクリスピーな食感。シャンパーニュの泡が持つ刺激と合わせることで、無限に食べ続けたくなるような危険な魅力を秘めたスナックです。沖縄県産の豚皮を揚げたスナック「トンピー」のオシャレ版です。
こちらもスナック風に楽しむひと品。フランス風のピザにラルド(豚の背脂の塩漬け)を載せ、口に入れた瞬間に体温でとろりと液状化します。小さいながらもリッチで背徳感のある味わいだ。
ボタン海老のカルパッチョ。ねっとりとした強い甘みを持つボタン海老の身に、ハーブの清涼感が重なる冷前菜。全体の味を統率するのは卵黄の醤油漬けで、上手く脱水されチーズのようにねっとりと凝縮された卵黄の旨味と醤油の塩気がソースの役割を果たします。
パンは流石の美味しさで、添えられるバターも乳脂肪たっぷりでとても美味しい。もうこれだけで無限に食べ続けることができかもしれません。ムール貝を用いた温かい前菜。磯の旨を上手く抽出したスープが特長的で、強烈な貝の旨味が押し寄せます。ただ、ちょっとエシャロット(?玉ねぎ?)の辛味が強すぎるきらいがあり、純粋にムール貝の味覚のみを楽しみたかった自分がいる。
肉厚にカットされたエリンギに揚げたゴボウを温度卵を合わせます。エリンギはアワビのような弾力があり、ゴボウのパリパリとした土香ばしさとの対比が面白い。素朴な食材たちが洗練されたご馳走へと昇華されています。
シロアマダイのウロコ焼き。サクサク、パリパリとした軽快でクリスピーな歯ざわりを楽しみつつ、身は蒸し焼き状態でふっくらと柔らかく、上品な脂を蓄えています。ソースは王道のブールブラン(白ワインとバターのソース)であり、バターの芳醇なコクと白ワインの酸味が、アマダイの繊細な甘みを豊かに増幅させます。
メインは和牛(経産牛)のヒレ肉。脂のサシに頼らず和牛本来の濃い旨味と熟成香が心地よい。黒いのはブラックオリーブやアンチョビを使ったタプナード風のペースト。付け合わせの根セロリは様々な調理が施されており、味噌漬けを紫蘇と合わせて食べるのが面白かった。ちなみに料理は南フランス出身のマチュー・マテロンシェフが担当しているようです。
お口直しにピンクグレープフルーツのグラニテ。ピンクグレープフルーツの果肉そのものを凍らせて削ったように濃厚で、肉料理の脂余韻を断ち切ります。グレープフルーツ特有の苦味をしっかりと残しており、味覚を再び鋭敏に戻してくれます。
デザートひと品目はモンブラン。甘さ控えめで栗本来の風味を尊重しており、蒸したての栗を裏ごししてそのまま食べているような、素朴で力強い香りが広がります。添えられたハチミツの華やかな香りも見逃せないポイントです。
デザートふた品目は焼き立てのスフレ。ココットからふっくらと膨らみつつ、中は空気をたっぷり含んでトロトロの半熟状態。卵と砂糖の優しい甘さの中にオレンジの風味が溶け込み、濃厚なのに後味は爽やかです。
コースの締めくくりには、乾燥茶葉ではなく、フレッシュなミントの葉をたっぷりと使用したハーブティーが提供されます。特有の青々しい香りとメントールの自然な刺激が、胃を優しく撫でていく。
以上のコースが2.2万円ほどで、ワインに水、サービス料などを含めてお会計はひとりあたり3.5万円といったところ。麻布台ヒルズにある有名レストランは非人道的な価格設定であることが多いですが、当店は実に良心的な支払金額と言えるでしょう。アフタヌーンティーは8千円と更にお値打ちで、まずはそこから当店のエスプリを感じ取るのも良いかもしれません。
お土産に色々と持たせてくれるのも嬉しい。同店に併設するブティック「ル サティネ (LE SATINÉ)」謹製で、こちらも成田シェフが監修しています。翌朝は新幹線で移動だから、車内でたっぷり楽しむのだ。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- オトワ レストラン(Otowa restaurant) ←本気でフランスの料理文化に取り組んでいる。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- フランス料理研究室 アンフィクレス (AMPHYCLES) ←古典フランス料理の愛好家にとっての最終目的地。
- L’ESSOR(レソール) ←一斉スタートのちょづいた港区料理店は100回生まれ変わっても敵わない本物感。
- 現代茶寮 銀座?月堂 ←食文化の担い手としてヘタなことはできないという使命感。
- elan(エラン) ←表参道のナポレオン。
- 銀座 大石 ←自分が働くならこういう職場。
- ル・マンジュ・トゥー ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
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