板前焼肉 一斗(いっと) 天下茶屋本店/大阪市

大阪の下町情緒を色濃く残すエリア(「じゃりン子チエ」の舞台ですね)にある人気の焼肉店「板前焼肉 一斗(いっと) 天下茶屋本店」。和牛卸直営であり精肉店を併設し、大阪じゅうに系列店をいくつも展開しています。各種メディアにもしばしば登場し、食べログでは百名店に選出されています。
100席を超える大箱店ですが、お勧めは6席限定のカウンター席。「板前焼肉」と標榜するだけあって、オーナーが認めた職人(板前)たちが注文を受けてから肉を切り出す、あるいは肉の状態を見極めて最適なカットを施していきます。壁にはメニューの札が下がり「今日はコレとコレがとても良い」と勧めてくれるなど、鮨屋さながらのオペレーションです。
酒は安く、いずれも500-600円のレンジに収まります。旨い肉を食べながらビールをガンガン飲む幸せはここにある。
まずは「タンのチャンジャ」。通常のチャンジャ(タラの内臓)とは異なり、タン特有のコリコリとした弾力が細かく刻まれており、噛むほどにリズムが生まれます。ヤンニョムでパンチよく味付けされており、酒の進むツマミです。
スペシャリテの「牛肉の佃煮」。和牛の切り落としを使用している、一般的な佃煮のような硬さは一切なく、繊維がほろりと解け、脂が体温で溶け出すほどトロトロの食感。甘辛い醤油の味付けと和牛の脂の甘みが濃厚に絡み合い、これとゴハンだけで食事が完結してしまうほどの迫力です。
白菜キムチは単に辛いだけでなく、フルーツのような甘みとコクがしっかりと感じられます。酸味は控えめで旨味が強いため、サシの入った肉の脂をリセットしつつ、次の肉への食欲を増進させる役割を果たします。
オマケで自家製のロースハムをお出し頂けました。しっとりとしていて、肉のきめ細かさが舌に吸い付くようです。塩分は控えめで、豚肉本来の甘みと上品な香りが際立ちます。隣のオッチャンはロースターで軽く炙ってたな。
こちらもサービスでお出し頂いたベーコン。燻製の香ばしいかおりが鼻に抜けつつ、甘い脂が口の中でサラリと溶けていきます。こちらは軽く炙って脂を活性化させてもう絶品。
「タン先」は880円というびっくり価格。筋肉質な部位ですが、板前さんにより細かく隠し包丁が施されているため、硬すぎず心地よい噛み心地を楽しむことができます。脂は少なく赤身肉に近い濃厚な肉の味がする。
上ハラミ。これはカルビでは?とと疑うほど、美しくきめ細かいサシが入っており、味わいもカルビのように脂が甘く溶けだします。それでも噛み締めるとハラミ特有の野性味のある肉の旨味とほのかな鉄分が感じられ、酸味とコクのあるタレによく合う。
自動的に生のキャベツも供されますが、そのまま食べて良し、ロースターで炙っても良し。先のキムチ含め、なんやかんやで野菜をたっぷり摂取できるのが嬉しい。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は7千円ほど。これはもう、本当に素晴らしい焼肉店ですね。東京で言えば「焼肉ホルモン金樹(きんじゅ)」のような食後感であり、それでいて更に安くつくという恐ろしい子。また、これだけ美味しいのにカジュアルというのも嬉しい。最近の高級店は店側に楽しみ方を仕切られすぎてて何だかめんどくさいので、焼肉屋はこういうのでいい。こういうのがいい。

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