天ぷら すずき/蒲田

フライト前後に蒲田に立ち寄り食事を済ますのがマイブーム。「やきとり酒場55(ゴーゴー)」に引き続き、この日はJR蒲田駅近くの「天ぷら すずき」。にお邪魔しました。西口を出て「サンロード」と呼ばれる地域密着型のアーケード街の奥に位置し、JR蒲田駅から歩いて5分ほどです。
店内は20席ほど。調理場を囲むように配置されたU字型のカウンターで構成されています。広くないお店なので、大きな荷物や過度にモコモコしたダウンジャケットなどは取り扱いに困るかもしれません。ごま油を用いて揚げているのは嬉しいのですが、かなり匂いがこもる設計であり、髪や衣服にバリバリ香りが移ります。
私は1,600円の「上天ぷら定食」を注文。さっそく名刺代わりのスペシャリテ「半熟卵天」が供されました。薄めの衣をまとった卵を箸で割ると、中から鮮やかなオレンジ色の黄身がトロリと流れ出し、白米の上に乗せてスペシャルなTKGを楽しみます。
続いてキス、イカ、エビ。タネの質は値段相応ですが、ごま油の香ばしさがゴハンとの相性を高め、また、アルコールのアテとしても機能する力強さを感じます。塩で食べても良し、天つゆで食べても良し。
ちなみに卓上にはゴハンのお供として「鶏そぼろ」と「高菜明太」が置かれており、これらを熱々の白飯に乗せれば、天ぷらが来る前に一杯平らげてしまいそうになる破壊力があります。半熟卵の天ぷらにそぼろをかけてオリジナル親子丼風にしている方も多かった。
シジミの味噌汁。珍しく白味噌仕立てであり、まろやかな甘みとコクが特長的。シジミ由来の旨味が身体の芯に染み渡るのも心地よい。ネット上の情報によるとゴハン味噌汁はお代わりOKのようですが、無限に食べ続けて永久機関として発電できる勢いなので控えておきました。
サツマイモ。厚切りにされたサツマイモは、じっくりと火を通すことでデンプンが糖に変わり、ホクホクとした食感と共に自然で力強い甘みを放ちます。
ナス。カリッと揚がった衣を噛み破ると、中から熱々の水分と油を含んだナスのエキスがジュワッと溢れ出します。めちゃんこ熱いので、天つゆにたっぷり浸すのがおすすめです。
鶏ムネ肉。とり天風の味わいで、柔らかく筋っぽさもありません。鶏肉自体の味付けは控えめなので、塩や天つゆで味変しながら楽しみましょう。
アナゴ 。皮目のゼラチン質が加熱されてトロリとし、身はふっくらと柔らかくほどけます。白身魚よりも濃厚な脂の旨味があり、サクサクの衣との相性は抜群です。
以上の「上天ぷら定食」が1,600円。いくつか追加で注文するつもりだったのですが、セルフクリエイトした鶏そぼろ高菜明太丼の活躍もあってもう満腹。見事な費用対カロリーです。天ぷらをつまみながら飲める「ちょい飲みセット」もあり、活用方法は貴方次第。「博多天ぷら たかお」のような天ぷら食堂とはまた違った魅力のあるスタイルでした。

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天ぷらって本当に難しい調理ですよね。液体に具材を放り込んで水分を抜いていくという矛盾。料理の中で、最も技量が要求される料理だと思います。

てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。