カウンター焼肉専門 焼肉おおにし/恵比寿

恵比寿駅を出てすぐの派出書の斜向かい、たい焼き屋や野郎ラーメンの2階にある「カウンター焼肉専門 焼肉おおにし」。焼肉屋の多い恵比寿においてもトップクラスの人気を誇ります。
当店はL字型カウンターのみの焼肉屋。1~2人で来るのが最適な客席設計であり、女性おひとりさまのゲストも普通にいます。従業員は2人のみで大忙しですが、ふたりとも実に感じが良く仲も良さそうで、魅力的な職場です。
プレミアムモルツは650円。恵比寿でこのサイズでこの価格設定は妥当でしょう。ハイボールなどサワー系の飲み物は500円なので氷が多めです。

「ごめんごめん、手術が長引いちゃって!」手術室から直行で肉を食べにくる女。「ま、このへんでいいかな、って切り上げようとも思ったんだけど、やっぱ完璧を目指しちゃったんだよね」ちろりと舌を出す女医。彼女に言わせると、骨をガッチャンコする手術などプラモデルと変わらないそうである。
お通しのキャベツ。単なる千切りというわけではなく、かなり味のしっかりしたドレッシングがザバザバにかかっており、サラダというよりもツマミに近い怪味。おかわり無料なのも嬉しい。
キムチ盛り合わせ。ダイコンにキュウリに白菜だったっけな。辛味が控えめであり日本の漬物に寄せたしみじみ系の味わいで私好み。たっぷり盛り付けられており、この量このクオリティではかなりの費用対効果でしょう。

女の子なのにそんな手術、すごいよねえ。私は素直に感想を述べる。「あー、最近そういうこと言うとフェミにボコられるんだよ。いけないんだー」これは失礼。私は女の子が大好きであり女の子の味方です。
牛スジ煮込み。たしか500円かそこらだったはずですが、たっぷりとした肉がトロトロに煮込まれており、甘めの味付けとコッテリとした脂が脳天にジンジン響く。

「ま、女医にフェミなんていないから、あたしたちからしたらどうでもいんだけどね。『医学部不正入試問題』でワーワー騒いでいるのなんて、医者でもない外野のブスばっかり。医学部入試で男子を優遇するだなんて、当たり前じゃない」当たり前?どういうこと?試験とは常に公平であるべきだと思うけど。
タン三種食べ比べ。並・上・厚切りの三種であり、それぞれ違った魅力があります。また、当店の肉は全てオーダーを受けてからカットするため心理的にフレッシュに感じる。奥の小皿はネギ塩ダレであり、黎明期の牛角の気前の良さを彷彿とさせる付け合わせです。

「医学部受験なんて得点調整して当たり前なの。女の子はそもそも勉強が上手なんだから、試験だけで男と勝負したら、日本から男の医者なんていなくなっちゃうわ」
「赤身のおおにし」はその日の仕入れの赤身肉だけの盛合わせ。個別具体的な肉の説明は無くタレもデロデロであり繊細な味覚の差異について表現は難しいですが、焼肉とはこれぐらい雑に食べてちょうどよい。

「面接もそう。その年頃の女の子はきちんと自分の意見を持ってるけど、18歳の男なんてサルと大して変わらないじゃない」なるほど確かに私の友人の医者♂は、大学で酔い潰れた仲間に鼻から管を通し更に日本酒を流し込み、反射で吐かせてゲラゲラ笑って遊んでいたという話を聞いたことがあります。
「ホルモンのおおにし」もその名の通りホルモンだけの盛合わせ。赤身肉に輪をかけて何処の部位かは不明ですが、畢竟、ホルモンとは何処の部位かは不明ぐらいでちょうど良い。グチャグチャとした食感、デロデロの脂、甘じょっぱいタレ。ビールが進んで仕方がない。

「力仕事の多い現場のあたしからすると、男の医者が多い方が都合が良いのよ。何たってタフだし、当直も代わってもらえるし」
炭水化物は摂らずひたすら肉を食べ続けてお会計はひとりあたり8千円弱。余計なものを口にせずひたすら肉を食べ続けてこの支払金額はリーズナブル。お肉業界のジャックウェルチは「ひよこ」で決まりですが、焼肉というジャンルでは当店も核心を突きっぱなしで素晴らしい。少数精鋭の肉ラヴァーと共にどうぞ。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
それほど焼肉は好きなジャンルではないのですが、行く機会は多いです。有名店で、良かった順に並べてみました。
そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。