ミシュランのビブグルマン(安くて旨い店)に選出された「イカヅチうどん」。2018年に開業し、あれよあれよという間に評判が広まり、今や行列ナシでは入店できない京都屈指のうどん店にまで成長しました。銀閣寺の近くに位置し、交通の要衝である銀閣寺道の交差点のすぐそばです。
大人気店であり、また、注文が入ってから太麺を茹で始めため調理に時間を要するため、行列が常態化しています。私がお邪魔した際は3人の待ち順列が生じていましたが、それでも並び始めから着丼まで30分を要しました。時間に余裕をもって訪れましょう。
こちらは「本日のきまぐれうどん」の「鶏つくねのちゃんこ風つけ麺」。1,430円です。これに330円の「かしわ天(2個)」と180円の「半熟玉子天」を追加でお願いしました。
うどんは「温」か「冷」のいずれかを注文することができ、今回は「温」でオーダー。うどんはたっぷり熟成をきかせた自家製麺で、弾力と伸びを感じさせる独特の食感。程よくフンワリ感もあり、喉越しもグッドです。「つけ麺」というコンセプトではありますが、しっかりと出汁のきいたスープに使っており、このまま食べてかけうどん状態で充分に美味しい。
「鶏つくねのちゃんこ風つけ麺」のつけ汁のベースは昆布や煮干し、数種類の節から引いたものでしょう。コクと旨味が重層的に広がり、しっかりとしたパンチも感じさせます。そこに白菜の甘み、しめじの香り、そして油揚げのコクが溶け出し、まさにちゃんこ鍋のような奥深い味わいを醸成しています。鶏つくねはふっくらとジューシーで、ゴボウが練り込まれているのか土っぽい風味も感じられます。途中から味変用の生七味を加えれば、爽やかな辛味が全体を引き締め、最後まで飽きさせない構成です。
追加注文の「かしわ天」は2個で330円。薄衣でカラリと揚げられた衣のサクサク感と、中の鶏肉のしっとりとした柔らかさのコントラストが秀逸。添えられた塩をちょこんとつけて食べても良し、つけ汁に浸して衣に旨味を吸わせてから食すのもまた一興です。
180円の「半熟玉子天」。箸を入れると中から濃厚な黄身がとろりと流れ出すパーフェクトな火加減です。流れ出した黄身を麺に絡めればカルボナーラのような濃厚さが生まれ、スープに溶かせばコクが増す。
連れは1,400円の「肉玉ぶっかけ~生姜ジュレ~」を注文。こちらの麺は冷たいタイプであり、温かい麺の時にあったフンワリとした優しさが影を潜め、代わりに筋肉質な跳ね返りが前面に出ます。牛からは上質な脂の甘みが感じられ、とそれを引き立てる甘辛い味付けが心地よい。そこに温玉を絡めることで、すき焼きのような濃厚でまろやかなコクが口いっぱいに広がります。
美味しかった。京都のうどんは「山元麺蔵 (やまもとめんぞう)」が最強と信じ込んでいたのですが、「饂飩店よこやま」と併せて当店もトップティアに加わる満足度の高さです。ただ、待ち時間の長さはネックですね。忙しい勤め人がランチタイムに訪れるには時間が読めないのでお気をつけて。旅行者は銀閣寺の前後に時間に余裕をもって訪れましょう。
関連記事
京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
- 木山(きやま)/ 丸太町 ←マイ・ベスト・京都メシ。おひとりさまも大歓迎。
- にくの匠 三芳(みよし)/祇園 ←これは確かに匠だわ。確かに肉の匠だわ。
- 祇園にしかわ/祇園 ←今の東京は何かが狂っていると言わざるを得ない。
- CAINOYA (カイノヤ)/四条河原町 ←鹿児島で国内外のフーディーを集める店が京都に移転。
- Gibier MIYAMA(ジビエミヤマ)/祇園 ←ダークファンタジー。
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町 ←足し算の中華料理。
- 室町 和久傳(むろまちわくでん)/烏丸御池 ←やっぱり和久傳が好き。
- 田がわ/御幸町 ←幸村卒業。近い将来、星獲得間違いなしのリーズナブルな和食。
- 又吉/祇園 ←雰囲気のある街並みに溶け込む費用対効果抜群のお店。
- 末友/祇園 ←ミシュラン2ツ星。非の打ち所が無いお店。
- 祇園にし/祇園 ←こちらも非の打ち所のないお店。
- 十牛庵/高台寺 ←ひらまつが手がける和食店。ワインがめちゃめちゃ安い!
- レストランひらまつ 高台寺 ←立地や雰囲気が抜群。
- 祇園 呂色 (ぎおん ろいろ) ←円熟味を増した料理人は儲けよりもゲストの笑顔を直でゲットする方向に向かう。
- 呑喜屋むね(のんきやむね)/御所南 ←ここが私のアナザースカイ。
- 山元麺蔵 (やまもとめんぞう)/岡崎 ←私が世界で一番旨いと考えるうどん屋。








