高輪台駅から歩いてすぐのイタリアンレストラン「イル カローレ(IL CALORE)」。隠れ家というかマンション(?)2階の人の家みたいな独特の立地です。吉田裕人シェフは参宮橋「レガーロ (REGALO)」で長く活躍したのち当店を開業。2025年春にオープンしたばかりの新しいお店です。
店内はアースカラーでまとめられモダンな雰囲気。滑らかで明るい色合いのカウンターには7-8席が設けられ、その向こう側には機能的で清潔感のあるオープンキッチンが広がっています。基本はコース料理での注文ですが、それらが落ち着いた時間帯であればアラカルトでの利用も可能なようです。ところでサービスの方は話がつまらない美容師のように話がつまらないですね。僕たちデートしてるのに割り込まないでくれる?加えてこっちがひと皿食べる度にいちいちコメントを求めてくるのが鬱陶しいったらない。君が作ってるわけじゃないのに何なわけ?放っておいてくれ。あっちいけよ。こっち見んな。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
まずはムール貝とその出汁のスープ。凝縮された海の旨味と芳醇なヨード香が特長的。底にはじゃがいものピューレが敷かれており、その滑らかな口当たりと自然な甘味が全体をまろやかに整えます。
ブリのカルパッチョ。表面を炭で炙ることによりスモーキーで香ばしい風味が加わります。緑色のペーストは春菊のジェノベーゼ。バジルの爽やかさとは異なる、春菊特有のほろ苦さと清涼感が、ブリの濃厚な脂を見事に引き締め、キレのある後味をもたらします。
マダコのボリート(茹で煮)。グニグニとした歯ごたえが心地よく、海洋のミネラルたっぷりの旨味がじんわりと染み出します。ソースにはフルーツトマトとマスタードを用いているそうで、仄かな酸味とジューシーな甘味が全体を爽快にまとめ上げます。
パスタはトマトソースを土台にウイキョウと松の実、レーズンと共にシチリア風に表現。お魚はイワシであり、その脂がパスタに染み、塩気と微かな苦味がパスタのアルデンテな歯ごたえに絡みつく。フォークを回すたび、甘・苦・香ばしさの多層性が口内で爆発します。
自家製フォカッチャ。外側はカリッとした黄金色のクラストを形成しつつ、内側はたっぷりのオリーブオイルで実にジューシー。気泡が粗い生地は軽くモチモチとした弾力があり、ソースを吸わせて食べるにピッタリです。
トルテッリ。手打ちで薄く伸ばされたパスタ生地の中には、栗のようなねっとりとした甘みが凝縮されたカボチャ。微かな渋みが深みを加え、噛むとクリーミーな舌触りが広がります。パスタの小麦の風味、カボチャの甘み、そしてバターのコクが三位一体となり、口の中で溶け合う逸品です。
メインは蝦夷鹿。ジビエ特有のクセは穏やかながら赤身肉本来の濃い旨味と強い鉄分を感じさせます。ソースはフォンドボーの深いコクと旨味をベースにカシスの鮮烈な酸味と果実味が加えられています。コースの頂点として、力強さと優雅さが共存するひと品です。
デザートはほうじ茶のアイスクリーム。ローストされた香ばしい香りが際立ち、甘さの中にもすっきりとした苦味と気品を感じさせます。添えられた二郎柿はまだまだ硬く、ちょっと早かったかもしれません。
お茶菓子と紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。港区の穴場とも言うべき費用対効果の良さであり、その割に予約が取りやすいのが有難い。全般的に優しい味付けで、とにかく量が多く暴力的な方向を目指しがちな港区イタリアンとは距離を置く存在です。近所にあったらアラカルトで鬼リピしそう。普段使いのご馳走に是非どうぞ。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。










