ポケットマーニー 首里本店/那覇

1983年に幕を開け、半世紀近くにわたって首里の胃袋を満たしてきた「ポケットマーニー 首里本店」。店名は「誰もが、特に近隣にある首里高校の学生たちが気兼ねなく立ち寄り、満腹になれる一杯を提供する」という使命感に基づくものでしょう。以前は沖縄県内に複数店舗を展開していましたが、いったん首里本店に集約の後、2025年10月に沖縄市胡屋に新店舗を開業したようです。
店内はカウンター席が10ほどに4人掛けのテーブル席がいくつか。おひとりさまからおふとりさままで幅広く対応できる座席構成となっています。オープンと同時に席の半分ほどが埋まり、人気のほどが伺えます。ゲストの殆どは学生や近隣住民・勤め人であり、観光客らしき方はひとりもいません。
当店での食体験を特徴づけるのがセルフサービスのシステム。客はまず、各テーブルに置かれた注文用紙に、カレーの種類・辛さ・ご飯の量・好みのトッピング等を自ら記入し、その用紙をカウンターに提出します。料理が出来上がると番号やアイコンタクトで呼ばれ、ゲストは再びカウンターへ向かい、自身のトレーを受け取ります。食事を終えると使用済みのトレーと食器を自ら返却口に戻し、その際に代金を支払う仕組みです。
飲み物につき、ビールは400円、コーヒーは150円と良心的な価格設定。また、ウーロン茶や紅茶などはセルフサービスで無料で提供されます。
私は700円の「チキンカツカレー」に80円の「ゆで卵」をトッピング。ボリュームはかなりのもので、一般的なカレー屋の大盛以上の食べ応えを感じました。費用対カロリーという意味ではココイチの倍はあると思う。
揚げたてのチキンカツ。王道中の王道の揚げ物であり、郷愁を誘う味覚です。カレーはの風味は独特で、複雑なスパイスというよりはニンニク一辺倒。とろみがあって家庭的でありつつも、決して家庭では提供されないフレーバーでしょう。辛さは調整可能で5倍までは無料、そこから先は有料です。今回は5倍を試してみたのですが仄かに辛いという程度。本物の辛味を目指す方は課金していきましょう。
ライスは一般的なジャポニカ米で、ココイチ的な安定感があります。ゆで卵は程よく半熟でルーのニンニクみを円やかに変化させる効果があります。
サラダは150円。キャベツ主体で人工的な味覚のドレッシングであるものの、コンビニなどで同量のものを買うことを考えれば良心的な価格設定と言えるでしょう。
「ゴカルナ(Gokarna)」「ヤマナカリー 別邸」など、スパイスカレー全盛の沖縄の中では独特のポジショニングであり、その味覚は強烈で、郷愁を誘い、心安らぐソウルフードといったところでしょう。加えて価格が安価なので、近所にあれば普通に鬼リピしそう。世代を超えて愛される、日常に溶け込んだノスタルジックなカレーでした。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。