那覇において泡盛の聖地と名高い「カラカラとちぶぐゎ~」。オーナーはかつて泡盛専門の情報誌「カラカラ」の編集長を務めていた経歴を持ち、現在は「琉球泡盛倶楽部」の代表を務めるなど、泡盛業界におけるオピニオンリーダーのひとりです。場所は国際通りの裏手、ゆいレールの県庁前駅から歩いてすぐに位置します。
店内は居酒屋というより落ち着いたバーといった風情であり、女性おひとりさまも結構います。皆、静かに泡盛を楽しむといった雰囲気であり、ガチャガチャした人はひとりもいません。ひとりもです。
写真はビールですが、当店の主役は泡盛。沖縄県内のほぼ全酒造所の泡盛が揃っていて、新酒から30年以上超えの超希少古酒まで楽しむことができます。ちなみに店名の「カラカラ」は泡盛を入れる丸い一合徳利を指し、「ちぶぐゎ~」は古酒を飲むための小さなおちょこを意味します。要するに泡盛を飲む店です。
お通しが豪華。沖縄のツマミオールスターズといったラインナップであり、そのへんのフランス料理店のアミューズブーシュよりも、よっぽど立派です。ちなみに私のお気に入りはコリコリとした食感が小気味よいミミガーに、謎にゴッツリ食べ応えのある鶏肉です。
沖縄の珍味を代表するひと品である「すくがらす豆腐」。「スク」とはアイゴの稚魚、「カラス」は塩漬けを意味し、いけちゃんの大好物でもあります。島豆腐の上に綺麗に整列した小さな魚の姿は愛らしくもありますが、その味わいは強烈なインパクトがあり、凝縮された鋭い塩気と発酵による濃厚な旨味が特長的。お酒が進まないわけがありません。
刺し盛り。沖縄近海の鮮魚が百花繚乱。とりわけマグロがいいですね。沖縄近海で獲れたようで、ねっとりとした舌触りと、濃い鉄分が印象的。沖縄三大高級魚の一つであるシチューマチは上品な白身ながらも脂の甘みが強く、島タコは本土のタコよりも味が濃く、筋肉質な弾力が野性味あふれる食感を楽しませてくれます。そこに脂の乗ったカンパチが加わり、淡白なものから濃厚なものまで、南国の海が育んだ魚たちの多彩な表情を泡盛と共にじっくりと堪能できる贅沢な盛り合わせです。
海鮮海ぶどうサラダ。プチプチとした小気味よい食感と共に、噛むと中からトロリとした磯の香りが溢れ出す。ここにも刺身がたっぷりと組み込まれており、野菜というよりもツマミに寄せたサラダです。
ラフテーと野菜白和え。皮付きの三枚肉を泡盛と醤油、黒糖でじっくりと煮込んでおり、脂身が甘くとろけます。牛肉の赤ワイン煮が赤ワインに合うのと同様、ラフテーは泡盛に合うのだ。他方、野菜の白和えからは島豆腐の濃厚な大豆の風味が感じられ、クリーミーで上品な味わいです。
イカスミそーめんたしやー。イカスミ特有の濃厚なコクと磯の香りが心地よく、単なる塩味や醤油味ではないリッチな旨味がソーメン一本一本にしっかりと絡みつきます。
ちなみに「そうめんタシヤー」と「そうめんチャンプルー」は、基本的には同じ料理を指しますが、厳密には言葉の定義が異なります。「タシヤー」は具材を油で炒める調理法を指し、本来豆腐を入れない炒め物の呼び名であって、この料理は「タシヤー」と呼ぶのが正解。他方、「チャンプルー」は本来、豆腐と野菜の炒め物を指すのですが、「チャンプルー」という言葉が全国的に有名になったため、現在では豆腐の有無に関わらず、この名称が広く一般的に使われるようになったようです。
もう少し食べれそうだということで「からからそば」も注文。店名を冠する炭水化物は自家製麺とのこだわりよう。小麦の香りが立ち、歯切れの良さも美しい。スープは豚骨とカツオを土台としており、専門店をも凌駕するクオリティの高さです。
以上を2人でシェアし、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり5-6千円といったところ。泡盛の聖地とみせかけて食事もしっかりと摂れ、そのクオリティがバリ高いのが心憎い。サービスも客層も素晴らしく、しっぽり飲み食いできる大人のお店でした。オリオンビールのTシャツを着て頭にお花をつけて行く雰囲気のお店ではないのでご注意を。
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