安里屋すば(あさとやすば)/安里(那覇市)

国際通りの終端でありながらディープな飲み屋街の入り口という特異な結節点に位置する「安里屋すば(あさとやすば)」。安里三叉路付近に位置し、沖縄そば店としては珍しい立ち食いスタイルのお店です。

また、那覇市内の本格的な沖縄そば店は夕方に閉店するケースが多い中、当店は夜遅くまで営業しており、夜の空白地帯を上手く埋め、栄町市場での飲酒後の需要を的確に取り込んでいます。
店内は立ち食いのカウンター席のみで5席程度。ただし店内では扇風機がブンブンまわっており、ひとりあたりの扇風機の台数は世界一かもしれません。ちなみに寄宮に姉妹店「すば処 月桃」があり、そちらは着席スタイルで駐車場もたっぷりあるので、用途によって使い分けると良いでしょう。
私は店名を冠した「安里屋すば」を注文。当店を味わい尽くす全部乗せの1杯であり最高値の980円。厚みのある三枚肉と骨付きのソーキがトッピングされており、少し甘めの味付けがスープに溶け出しています。白いカマボコは弾力豊かでシンプルな旨み、刻みネギは鮮やかな緑で爽やかなアクセント。
麺につき、現代のラーメンや沖縄そばの多くは、麺にコシと黄色味を与えるために化学的に合成された「かんすい(アルカリ塩水)」を使用することが殆どですが、当店は、戦前の沖縄で一般的であった伝統的な製法である「木灰(もくはい)」の上澄み液を使用する製法を採用しています。特有のほのかな香ばしい風味と純粋な小麦の香りを楽しむことができ、加えて弾力のある歯応えと喉越し、ほのかな甘みが特長的。これは大盛にすべきだったと後悔しました。

スープは黄金色に透き通っており、豚骨の動物系出汁を下支えにしつつも、前面に出ているのは鰹節の豊潤な香りと昆布の円やかな旨味。さっぱりしつつ旨味とコクが深い。飲酒後の疲れた胃腸さえも癒やすような、あっさりとしつつも芯のある滋味深い味わいが完成されています。
ジューシーは290円。こんもりとした山型でつやつや輝く見た目が食欲をそそり、椎茸の豊かな香りがふわりと広がります。豚の茹で汁と鰹出汁をベースに炊き上げられているのか、こってりしすぎずパラパラとした食感が心地よい。具材も多く、それぞれの食材から出る甘みと醤油の香ばしさが絶妙なバランスで調和しています。
以上を食べて1,270円。沖縄そば店としては珍しくキャッシュレス決済で便利。提供する商品においては木灰自家製生麺や無化調出汁といった手間と技術を要する伝統的な製法を志向しつつ、立ち食いやキャッシュレス対応などの現代的な効率性を追求しているのが面白い。ランチはもちろん、栄町での〆の1杯に是非どうぞ。

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沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。