ペナンのジョージタウン(George Town)にある人気の中華系レストランで、特に麺類の評判が良い「Ichi Tong(一桐)」。いくつか支店がありますが、世界遺産に認定されたヘリテージエリアに位置する当店が本店です。
歴史ある建物を上手くリノベしたレトロモダンな店内。ちなみにこういったショップハウスが奥に細長いのは、植民地時代の「間口課税」という税金対策が主な理由。当時は通りに面した建物の幅(間口)の広さに応じて固定資産税が課せられていたため、人々は税金を抑えるべく間口を狭くし、その分を奥へ長く延ばすことで居住スペースを確保したそうです。
雰囲気のある内装ですが、客層や価格設定は至ってカジュアル。この日は現地に住むマレー系の中国人(?)数名とご一緒したのですが、料理を楽しみながら酒を合わせるという文化はあまり無いようで、マラッカとノリが似ているなあという印象を受けました。メニューにもビールぐらいしかアルコールは置かれていなかった気がする。
鶏肉を柔らかく引き伸ばしてクリスピーに揚げたもの。表面積が広くどこをかじってもカリカリとした軽快な食感を楽しむことができます。衣にはスパイスが効いた独自のフレーバーがまぶされており、噛むたびにスパイシーな香りが鼻を抜けていく。肉を薄くしている分、揚げ時間が短く済むため、中の肉質はパサつかずジューシー。
看板料理のチャーハン。最大の特徴は鶏卵ではなく鴨(合鴨?)の卵を使用している点にあります。鶏卵よりも黄身が大きく濃厚で脂質が高く、仕上がりにコクと深みが感じられます。
トマトの爽やかな酸味とミルク(?)のまろやかさが同居する麺料理。東南アジアで親しまれている「フィッシュヘッド・ヌードル」の進化系のような味わいで、トマトの旨味と酸味がスープに深みを与えています。
ミルク麺には揚げた魚の切り身をトッピングすることが定番。衣がスープを吸って少し柔らかくなり、中の白身魚のホクホク感とクリーミーなスープが一体となります。酸味があるため後味は意外にもすっきりとしており、最後の一滴まで飲み干したくなるような中毒性のある一杯でした。
こちらはカレーとココナッツミルクを土台とした一杯。スパイスの刺激をミルクが優しく包み込み、甘み・辛み・コクの三拍子が揃った濃厚な味わいです。トッピングのローストポークは皮の部分が限界まで焼き上げられてパチパチと弾けるような食感。噛むたびに溢れる脂の旨味がスープのスパイス感と見事に融合します。
中国版インスタグラム「小紅書(RED)」にハッシュタグを付けて投稿すればサービスされる揚げ団子。ゴマ団子の黒糖餡バージョンのような代物であり、外側は揚げ餅のような香ばしさとカリッとした歯ごたえが生まれ、内側は驚くほどモチモチと伸びる二層の食感を楽しめます。連れが投稿してくれて皆で1皿を楽しんだのですが、隣のテーブルは1人が1投稿したようで、ひとり1皿食べていてナイスカロリー。
歴史が息づくジョージタウンの街並みに溶け込みながら、現代の活気を感じさせてくれるお店でした。伝統的なショップハウスの面影を残す空間で、鴨の卵のコクやスパイスの刺激に浸る時間は、まさにペナンならではの贅沢と言えるでしょう。お酒を片手にゆっくり、というスタイルではありませんが、これが現地に住まう人々のリアルとも言えます。世界遺産散策の合間に是非どうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。








