天ぷら魚新/恵比寿

恵比寿ガーデンプレイスタワーの38~39階が「Dining & SKY TOP of YEBISU」としてリニューアルされました。内装が現代風にスタイリッシュに整理され、無料の展望室などもあり結構イケてます。窓からウチが見える。
当店は明治23年に赤坂で鮮魚店として始まり、赤坂花柳界の料亭への仕出屋を経て現在の天ぷら屋の形へ。西麻布、日本橋、そして恵比寿の3店舗体制です。日本橋店へは一度個室貸し切りでお邪魔したことがあります。
カウンター席がズラっと並び、その後ろにテーブル席がいくつか。奥には夜景が見えるエロシートもあり〼。

「こんど、一緒に京都いきましょか?〇〇さん(私の名)に本っ当のビアガーデン、見せたるわ。舞妓(芸妓?)の練習場のお庭なんやけど、雰囲気抜群」京都人の彼は華麗に着物を着こなし、涼しげにビールを傾けます。そう、今夜は10年近く前、仕事で大変お世話になった私の兄貴分との会食。
前菜から結構に味が濃く、お酒がクイクイと進みます。手前の魚を煮た(?)ものが実に旨い。さすがはお魚屋さんをルーツに持つだけある。

「ネットとかには載ってなくても、京都にはまだまだええ店ありますよ。僕のこと、上手く使うてくださいね」彼には人に何かを期待させる何かがある。今年じゅうには彼の京都グルメツアーにお供させて頂きたいところです。
お刺身盛り合わせ。『天ぷらがうまい=タネの質が良い=刺身もうまいだろう』という妙な公式が私の中にあり、コースの前におつまみで刺身を注文するのが結構好きなのですが、当店は最初から自動的に組み込まれており私得。さすがはお魚屋さんをルーツに持つだけある。

「おかげさまで、すっかり良くなりましたわ」肺ガンから生還した兄貴は静かに語る。「ガン細胞っちゅうのは、糖質と塩分が大好物みたいやから、それを絶たなあかんのが辛かったなあ。まあ、自分のカラダを苛め抜いて、ついでにガン細胞も苛め抜いて、どっか行ってしまいましたわ」宿主失格。意思の堅い彼の身体の中にいては、さぞかしガンも居心地が悪かったであろう。
天ぷら第一弾。車海老にアスパラ、ナス、ハモ。車海老の美味しさは当然として、アスパラの味の濃さが光りました。口の中が緑色に染まるほどの滋味の強さです。
キンキの焼き物。おおー、天ぷら屋でこういう料理を食べるのは初めてかもしれません。それにかなり旨いのである。さすがはお魚屋さんをルーツに持つだけある。手前の昆布も素敵なアクセント。

「ガンはね、罹る前から治るかどうかの勝負はついとるんですよ」はて、どういう意味でしょう?ちゃんとした医者にかかるための人脈形成をしておけという意味でしょうか?
アワビにトウモロコシ。アワビは厚切りでムシャムシャ食べるタイプで至福のひととき。トウモロコシの甘味も強く、見た目以上の満足感があります。
なんと「うざく」が出てきました。そのままお重に乗せることができるクオリティの鰻ちゃんに優しい酸味が響くキュウリ。まさか天ぷら屋でこのクオリティの鰻を食べることはできるとは。
「今夜は銀宝(ギンポ)が入ってますよ。もちろん天ぷらで食べるのが一般的ですが、実は焼いて食べるのもいい」とのことで追加注文。おおー、確かにこれはめちゃんこ旨い。鰻のような食感でありながら、香りが豊かで鰻とはまた違った華やかな味わい。ギュっと詰まった旨味があり、本日一番のお皿です。

ちなみに銀宝(ギンポ)が出回るのは初夏のわずか1ヶ月だけで、この時期を逃すと来年までお預けとなる幻の魚。「銀宝を食べずして天ぷらを語る無かれ」「江戸っ子たるもの、借金してでも春は銀宝を喰え」とは天ぷら喰いには有名なフレーズです。
もう少し食べようと万願寺唐辛子とホタテを追加。表面サクサク内部はヌメヌメのホタテの旨さはやばたんまる。

「いやいや、そんな表面的なこととちゃいます。とにかく現世に未練を持っておくってことですわ。人生は仕事だけじゃなくて、大切な家族もいるし、掛け替えのない友達もいる。そういう人たちを絶対に悲しませてはならない。だから、生きる」
「自分が入院するようになって、家族は付きっ切りで看病してくれるようになって、仲間たちも人脈を駆使して何とか治療法を模索してくれて。もうね、そこで僕は腹を括ったんですよ。僕は絶対に生還して、この人たちと一緒に滅茶苦茶楽しい人生を送ったるって」
お食事は天茶や天ばら等々いくつかの選択肢があるのですが、味濃いめの私は天丼でフィニッシュ。かき揚げの美味しさは見ての通りなのですが、とりわけ奥の白米がいいですね。全体としてあまりに旨く、無言で30秒ほどで食べ切ったような気がします。
「人生はパーティーのようなものですわ。〇〇さん(私の名)も、もっと真剣に人生を楽しみや。漫然と生きちゃあきません。自分に正直に生きる。自分が一緒にいたい人とだけいる。エクセルの関数を百個も知ってるような奴と付き合っちゃあきませんよ」


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てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。

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