富士屋本店/浜町

立ち飲みの聖地とも言うべき渋谷「富士屋本店」。渋谷再開発事業の一環として2018年秋に惜しまれつつ閉店しましたが、系列である立ち飲みビストロの当店は浜町で元気に営業中。
紫煙が立ち込める伝統的な立ち飲みとは異なり、ハイチェアを並べればそのままオシャレなビストロとして機能しそうな内装です。サン・セバスティアンあたりのバルのような雰囲気であり、日本だと代々木公園「アヒルストア」と言ったところでしょうか。
生ビールで乾杯。それほど量が多いわけではなくワインのお値打ち感に比べると相対的に高く感じるので、ワインを飲みましょう。
「夏野菜のニース風サラダ」。平皿に素材を丁寧に並びつけ、色とりどりで大変美しい。ガッツリサラダというよりは、上質な野菜を中心とした酒のツマミといった形で機能します。
「戻りガツオ藁焼きのタルタル」。力強い味覚のカツオに丁寧にソースを塗り込み、クスクスと共にオシャレに盛り付けます。立ち飲み屋でこのプレゼンテーションは凄いよなあ。
常連客より「鶏レバームース」は必食と勧められたので試してみると、なんともキュートな1本がやってきました。非常に軽くソフトタッチな口当たりであり、臭味などは一切ありません。レバーが苦手な方でも美味しく頂けることでしょう。ワッフルのコクとも絶妙にマッチし、なるほど必食と評されるに相応しい1品でした。
こちらも常連に勧めてもらった「甘鯛のフィッシュ&チップス」。これはもう抜群に美味しいですねえ。素材の質が極めて良く、ウロコを立たせてバリっと揚げる調理も見事です。そのへんの超高級店の魚料理よりも全然美味しい。人生で最も美味しいフィッシュ&チップスでした。
出自が酒屋だけあってワインの取り扱いも豊富であり、その大半が3千円前後なのでガブガブと飲むことができます。束のようなワインリストなのでソムリエに方向性を伝えていくつか提案してもらうのが良いでしょう。
「和牛レバー軽い炙り」。ぬらぬらと輝くレアレアなレバーの表面にこんがりと焼き目をつけ、ビジュアルからして美味しそう。そして実際かなり旨い。このクオリティの料理がたったの850円というのは何かの間違いではなかろうか。
「洋食富士屋のハンバーグ」。粗目に挽かれた肉をギュっと纏め、ビシっとこんがり焼いていきます。圧倒的な肉の美味しさ。肉の風味に凝縮感があり、噛みしめる程に旨味が溢れ出てくる絶品。付け合わせのポテトや温玉の存在感も見逃せない。本日一番のお皿でした。
素晴らしいお店でした。酒の安さはもちろんのこと、料理がとにかく美味しくポーションも大きい。立ち飲み屋というジャンルでは勝どき「かねます」と並んで世界最高峰に旨いお店ではなかろうか。めちゃくちゃに飲み食いしてひとりあたり6,000円強という費用対効果も嬉しい。こういうお店が手近にあるというのは、浜町住人は欣幸の至りでしょう。今度は移転した渋谷店に行ってみようっと。


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私はヒールからスニーカーまでイケるクチです。三ツ星店もいいけど、場末の飲み屋街も魅力的。
おひとり様大歓迎の名酒場100軒を掲載。ひとり客の割合・男女比・ビールの値段などを「酔い処早見表」として整理されており読み易いです。紙媒体だと1,000円近くする本が、Kindleだとたった500円でお買い得!