JALのA350初号機にさっそく乗ってきました

2019年の航空業界の話題と言えば、何と言ってもANAのA380とJALのA350でしょう。私はハードな飛行機ヲタというわけではありませんが旅へは良く出るほうであり、飛行機に乗る回数は年間50以上と一般人としては多く、自然と飛行機に対する思い入れも人よりは強くなる。夏の終わりに九州地方を訪れる機会があったので、その帰りに早速利用してきました。
福岡空港のラウンジで出番を待っていると「皆さん見て下さい、新しいA350がそろそろやってきますよ」的なラウンジ内アナウンス。JALとしても相当に気合いが入ったイベントのようです。
それもそのはず、JALは生まれてこの方ボーイング一辺倒でありエアバス社の機材の導入は初めて。ロールス・ロイス製のエンジンを採用するのも初、シートをジャムコと共同開発するのも初と、初めて尽くしのプロジェクトです。2013年に当機材の導入が決定してから実に6年が経過し、2019年9月1日、いよいよ就航。
写真を撮ろうと少し早めにラウンジを出たのですが、目ぼしい窓は既にヲタクたちに占拠されており、撮影のために建物側の窓に並ぶという不思議な状況が生じていました。初号機は大きな赤い字で「A350」と記された特別塗装。ウィングレット(翼の先端)がクルっと上向きにカールしているのがキュートです。
普段の羽田=福岡線とは明らかに客層が違います。せっかくだから国内線ファーストクラスを利用したかったのですが、今までに見たことも無いようなキャンセル待ちが生じていたため断念。優先搭乗(上級会員客)も異常に多く、レストランのオープニングイベントのような雰囲気です。
私はクラスJ(国内線プレミアムエコノミー)での予約だったので、機首から乗り込みます。乗客もCAにも、何とも言えない熱量というべき空気が湧いています。
文字通りプラチナチケットと化した国内線ファーストクラス。これまでのシートに比べてシックな色合いに落ち着きました。リクライニングも電動となりマッサージ機能も追加されたとのこと。

ちなみにJAL国内線ファーストクラス(ANAだとプレミアムクラス)は新幹線のグリーン車に係る追加料金に比べると、酒は出るわ食事も出るわで大層お得です。
こちらがクラスJ。新車の香りがします。ちなみにA350の基本はファーストクラス12席、クラスJ94席、普通席263席の計369席なのですが、数日で座席仕様を変更できる構造になっており、多客期には上級クラスを減らして普通席を増やすことで400席級のフリートへと変身するらしいです。
座ります。机を出さなくても飲み物を置くことができるカクテルトレイが地味に便利なのですが、中央にボーダーラインが引かれているのが日本人らしい。
自慢の個人モニタ。映画のラインナップなどは国際線に比べると限定的ですが、まあ、乗っている時間も短いので大した問題ではないでしょう。目玉は機外カメラ。フロントビューとウィングビューをお好みで映し出すことができ、私はウィングビューを選んでいたところ、隣のヲタク(他人)が阿吽の呼吸でフロントビューを映し出してきました。
個人モニタを操作するリモコンも各席配備。加えてパソコンやUSBの電源も用意されています。機内wifiシステムはこれまでの米Gogo社のものからパナソニック製へと乗り換えており、その甲斐あって地上走行開始からゲート到着までずっと利用することができます。
ひじ掛け下にも収納スペースがあり、地味に便利。そうそう、機内誌は紙媒体では配布せず、個人モニタで閲覧せよとのことですが、タブレットならまだしもあんな解像度の悪いモニタで読書なんてできません。私と同様に機内誌を楽しみにしているゲストは多いはずなので、いずれ紙媒体も併用されることになるでしょう。
「業務連絡です。客室乗務員はドアモードをアームドに変更し、相互確認をして下さい」とのアナウンスがあり、いよいよ出発。「アームド/ディスアームド」か「オートマティック/マニュアル」かの言い回しは機材によって異なるそうですが、A350は「アームド/ディスアームド」のようです。ちなみにこのフレーズはドアにロックをかける合図ではなく、緊急脱出用の滑り台ボートのスイッチの確認です。空港でドア開けた瞬間いきなりビュシューって飛び出てきたら困るからな。
無事飛び立ちました。第一印象は「静か」です。シートの快適性などは他の機材とそう変わりません。

ちなみにパイロットとしてはボーイングとエアバスではかなり違いがあるそうで、例えば操縦桿につき、ボーイングはコントロールホイール(車のハンドルみたいないやつ)なのですが、エアバスはスティック(1本の棒)です。しかもそのスティックが身体の正面にあるのではなく、左右にちょっと離れた場所にあり、それを機長は左手のみで、副機長は右手のみで操作するそうです。
安定飛行に入ったのでトイレへ。おおお!これは広い!カタール航空A380ファーストとまでは言いませんが、そのへんのファーストクラスのラバトリーよりも全然広い!
おむつ替え用の台なのか、色んな壁が飛び出て広い作業スペースへと変貌します。
ドリンクサービスについては新機材だからといって何か変わるわけではありませんでした。

ところで、これはA350に限ったことではないですが、国内線ファーストもクラスJも、テーブルは横から引っ張り出して腕一本で支える形式なのでPCなどを広げるとグラグラするんですよね。キーボードを打つことにかけてはエコノミークラスの両腕で支える形式のほうが安定感があり優れているような気がします。
映画には最新作の「アラジン」がオンリスト。飛行時間が短く見終わることはできないのですが、8桁のレジュームコードをメモしておけば、次回搭乗時に続きから再生することができます。
そうこうしている間に羽田に到着。着陸時のスラストリバーサ(逆噴射)に係る騒音も小さかった。つまるところA350の特長は「静か」「個人モニタ」「トイレ広い」の3点でしょう。

今後は数年かけてボーイングの機材をA350に粛々と入れ替えていき、また、長距離国際線への導入も予定しているそうな。ANAのA380導入はお祭り騒ぎ感が否めませんが、JALの地味な置き換え作業には好感が持てる。そもそもA350は長距離を意識して設計された機材なので、早くこの静かな飛行機で遠くへ旅に出たいなあ。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。