鼎泰豊 信義本店(Din Tai Fung)/東門(台北)

日本人にとって小籠包と言えば「鼎泰豊(ディンタイフォン)」でしょう。米「ニューヨーク・タイムズ」紙で「世界の10大レストラン」に選ばれ一躍知名度が上がり、東京「タカシマヤタイムズスクエア」に海外初出店。その後も国外のマーケットを次々と開拓し世界の人々を味覚的に制服。2010年には香港九龍新港店がミシュランガイドで1ツ星の評価を獲得しました。
アイドルタイムを狙って16:00に訪れたのですが、この時既に30分待ち。食後に待ち時間を確認すると80分待ちにまで達していました。ただし受付を済ませ番号札を受け取った後は店を離れても良いので、それほど待ち時間は苦痛には感じません。我々はお隣の本屋で時間を潰しました。
そろそろ30分経ったかな、とお店の前に戻ると、着席前に注文を取りに来てくれます。店員は日本語を操り、もちろんメニューも日本語です。店員は胸元に国旗のバッヂを付けており、それで話せる言語を判断することができます。
お店イチオシの、消費期限が製造日より18日というビール。指定された店舗のみでの取り扱いらしく、1週間の台湾滞在において当店でしか見ることはありませんでした。

端的に言えばライトなビール。実にフレッシュで青りんごのような爽快感を感じられます。ヨーロッパ系のビールに比べると実に軽い味わいですが、台湾の気候で飲むにはベストと言って差し支えない味わいでしょう。オススメです。
前菜に中華圏でよく食べられる「四季豆(サヤインゲン)」の挽肉炒め。緑の味が濃いフレッシュな四季豆と、挽肉の程よい旨味がベストマッチ。
奮発してトリュフ入りの小籠包を注文。香りがわざとらしいほどに強く、何にでもトリュフ入れれば良いってもんじゃないぞと鼻を鳴らすのですが、悔しいが旨い。ただしプレーンな小籠包に比べるとハイパー割高なので、わざわざ注文する必要は無いでしょう。
タレは店員さんが調合してくれます。
ちなみに当店のサービススタッフは美男美女揃いであり、日本語も話し、テキパキハキハキと動きが機敏です。小籠包というと気軽な料理に感じますが、サービススタッフのレベルは超高級レストランに比肩するでしょう。
お待ちかね、プレーンな小籠包です。美しく折られたヒダの数は18と規定されており、重さもピッタリ21グラムと厳格に定められています。スープや具が透けてみえるほど薄い手作りの皮はツルツルとした食感で口当たりが最高。皮の中に込められたスープとタネは極めてバランスよく、もはや高貴といって良いほどの上品な味わいです。
エビと豚肉のワンタン。それぞれにしっかりとした大きさのエビが組み込まれており、エビ好きとしては堪らない1皿。加えてラー油の複雑味が見事であり、思わずお土産用のラー油を買い求めてしまったほどです。
エビシューマイは高雄「紅陶上海湯包」で食べたそれと全く同じ仕様。焼売というよりは形を変えた小籠包であり、やはりジューシーな味わいに虜になってしまいます。
客層のほぼ全てが外国人観光客でありもはや清々しい。お店側もそれを前提とした客あしらいなので、不快な思いをすることは決してなく、繰り返しになりますがサービススタッフのレベルは超高級レストランに比肩するでしょう。
さすがは鼎泰豊と思わず唸ってしまった食事。これまでに色々な小籠包を食べてきましたが頭ひとつ抜けていると思います。もちろん価格も他店に比べると飛びぬけて高いので評価は分かれるところでしょうが、観光客が安心して高品質な名物を楽しめるという意味で、台北観光では外せないお店でしょう。オススメです。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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