roku(ロク)/参宮橋

わずか6席という極小の空間でフレンチレストランとパティスリー(菓子店)の機能を併せ持つ稀有な業態「roku(ロク)」。ミシュランガイド2026に掲載。参宮橋駅から歩いてすぐ、私の推しのイタリアン「Orchestra (オルケストラ)」のすぐ近くです。
店内はカウンター6席のみのこじんまりとした空間で、シェフとの距離が近く調理風景を見ながら食事を楽しむことができます(写真は食べログ公式ページより)。シェフとパティシエールはご夫婦なのかなあ。アットホームで居心地の良い空気が流れています。
ワインにつき、3杯のペアリングが5千円で、6-7杯のペアリングが1.1万円だったかな。1杯目にシャンパーニュが付いてこの価格はリーズナブルに思いました。
アミューズが豪華。一番のお気に入りは手前のアオリイカで、ネットリとした甘味を湛えています。そこに塩気と旨味が凝縮されたオシェトラキャビアと合わさることで、磯の香りが口いっぱいに広がります。お隣の生春巻きには真鯛が組み込まれており、ハーブの香りと共に白身の清涼感を楽しみます。対照的にリエットやフォアグラ、アンキモは、濃厚でクリーミーな油脂の旨味が舌の上で溶け出し酒を呼ぶ。ローストビーフや鹿肉からは噛みしめるほどに赤身の鉄分と野生味あふれる力強い味わいが広がります。
寒ブリのタルタル。脂が乗った旬の寒ブリにサっと熱を入れ、タルタルにすることで軽やかに仕立てています。カリフラワーのムースが持つ優しく淡白な大地の甘みも添えられており、脂の濃厚さを感じさせつつも後味は驚くほどクリアです。
生の馬肉。新鮮で臭みは一切なく、とろけるように柔らかい肉質と上品な甘みが特長的。クレソンを巻きこむことで特有のほろ苦さと清涼感が加わり肉の甘みをより際立たせます。散らされたパルミジャーノの塩気と熟成された旨味が良い足し算です。
菊芋のヴルーテ。ナッツのような香ばしさと優しい甘みがあり、ぽってりとした口当たりで、どこか土の香りも感じさせます。そこに香ばしく焼かれた白子が加わりクリーミーで濃厚なコクが爆発。淡白でしっとりとした鳥の胸肉がそれぞれの強い個性を繋ぎ止め、ビスクソースで甲殻類の凝縮された旨味と潮の香りをプラスします。
自家製の全粒粉パン。小麦の表皮ごとの香ばしさと、噛みごたえのある素朴な味わいが印象的で、料理のソースをしっかりと受け止めます。白眉はぬか床を用いた発酵バターであり、通常の発酵バターのミルキーなコクに加え、独特の酸味と奥深い熟成香が混ざり合っています。
アワビは弾力がありながらも歯切れよく、海のエキスを湛えています。その味を決定づけるのが肝のソースであり、磯の苦味と濃厚なコクが凝縮された大人の味わい。付け合わせの芽キャベツとちぢみほうれん草は、冬野菜特有の強い甘みとほろ苦さを持ち、濃厚なソースに負けない存在感です。
お魚料理はアンコウ。プリッとした弾力を感じさえる身からは淡白ながらも底力のある旨味が感じられます。合わせるイカスミソースは見た目のインパクトだけでなく独特のコクと塩気を楽しむことができ、付け合わせの菜の花の苦味と共にアンコウの味わいを力強く支えます。
メインはキジバト。胸肉は赤身の力強い鉄分と繊細な酸味、ササミはしっとりと上品に、ハツや砂肝はコリコリとした食感と内臓特有の野趣あふれる風味を楽しめます。ソースはキジバトのレバーを用いており、血のニュアンスを感じさせる濃厚でビターな味わいが肉の個性を引き立てます。野性的かつエレガントなメインディッシュである。
お口直しにベルガモットとリンゴのグラニテ。高貴な柑橘の香りが鼻に抜け気分を一気にリフレッシュ。ベースとなるリンゴの自然な甘みとシャリシャリとした氷の食感が、口の中に残る脂や鉄分を洗い流します。
祭りの屋台を連想させるイチゴあめ。極薄にコーティングされた飴のパリッとした繊細な破砕音と共に、生のイチゴの鮮烈な酸味が弾けます。見た目の可愛らしさと共に、懐かしさと驚きを同時に与えてくれる遊び心あふれる一粒です。
デザートはロールケーキ。黄身の濃い卵を用いているそうで卵黄のコクと風味が際立っています。甘さ控えめのクリームが卵の優しい甘みを引き立てつつ、チョコクランブルのザクザクとした食感と木苺のソースのキュッとするような鋭い酸味が全体を引き締めます。当然に美味しいのですが、公式ウェブサイトに載っているような派手派手なケーキとかも食べたかったかな。
食後にハーブティーを楽しみごちそうさまでした。以上のコース料理が1.5万円で、5千円のワインペアリングにサービス料(?)やらなんやらで合計で2.2万円。質および量を考えれば見事な費用対効果であり、ミシュラン掲載も納得の実力店です。推しの「Orchestra (オルケストラ)」と共に、このエリアで定期的に通いたいお店がまた一つ増えました。

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