港区三田、札ノ辻交差点の脇にある「咖哩アンダーソン(カリーアンダーソン)」。和風出汁をベースにした独自の「東京だしカレー」を掲げるスパイスカレー専門店です。平日のランチタイムは近隣のオフィスワーカーが集中するため行列が常態化しており、加えて夏の炎天下や冬の寒さなど、厳しい屋外待機環境を覚悟する必要があります。
店内は明るくサラダボウルを提供するカフェのような雰囲気。カウンター7席のみの狭小店舗であり、また、スタッフの段取りが悪く学園祭の模擬店ノリなので、構造的に行列が長くなりやすいのでしょう。この日のゲストは女さんが多くずっと写真を撮りながらお喋りしているので、何だかなあというお気持ちです。
私は1,900円の「三種あいがけカレー」に350円の「かしわ天」をトッピング。合計で2,250円と、カレーとしては強気の価格設定です。
写真右下の茶色いエリアが定番の「アンダーソンチキンカレー」であり、なるほど和のニュアンスを感じさせる味覚。スパイスの鮮烈な香りを支えつつ口当たりを円やかに整えており、隠し味の八丁味噌が全体の味に深みとコクを与えています。他方、ガツンとくる辛さや分かりやすい旨味を求めるゲストには、出汁の繊細な風味が物足りなく感じられるかもしれません。
「かしわ天」は岩手県産の銘柄鶏「菜彩鶏」を用いています。パサつきがちな鶏肉がしっとりと柔らかく仕上げられており美味。ただ、これ1個が350円というのは割高に感じました。
新生姜とごぼうのポークビンダルー。お酢のキリッとした酸味と、突き抜けるような生姜の風味が特長的。それでもお出汁がきいていて、和のテイストに仕上っています。ゴロっと大ぶりにカットされた豚肉も食べ応えがある。
こちらは「バターチキンキーマカレー」。バターチキンの濃厚でクリーミーな甘みとコクと、鶏ひき肉の旨味が凝縮されたキーマカレーに融合させています。和風出汁に加えトマトの酸味とバターのまろやかさのバランスが良く、濃厚でありながら後味はしつこくありません。
ライスは新潟県産「こしいぶき」をベースにした雑穀米で、プチプチとした独特の歯ごたえが食感にリズムを与えます。副菜も4〜5種類の用意があり彩り豊か。それぞれを単体で楽しむのもよし、カレーと混ぜ合わせて味変するも良し。
全体として美味しいのですが、やはり30分待ちの行列と、高めな価格設定は色々とアレに感じました。ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された「スズキーマ」に似た食後感。事前に電話で注文を済ませておけば待たずにテイクアウトできるので、どうしても手早く食べたい方はテイクアウト戦略で臨みましょう。
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- デリー(DELHI)/上野 ←総本山。セットメニューが異常にお得。
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- エチオピア/神保町 ←ルーが絶品。豆サラダと野菜が上々。
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カレーにまつわる単語が辞典形式にまとめられ、知っていそうで全く知らないカレーエピソードがたくさん詰まっています。気合を入れてカレーを食べに行く前に目を通してから臨むと楽しさ倍増!







