らーめん田丸(たまる)/目黒

JR目黒駅西口から権之助坂を下ること約5分の場所にある「らーめん田丸(たまる)」。1945年創業の歴史ある店であり、目黒在住者で知らない人はいないでしょう。「日本一ラーメンを食べた男」として知られるムッシュ大崎裕史が、数あるラーメン店の中で最も多く通った店として公言している店でもあります。
店内はL字型のカウンター席のみで構成され、9席から11席ほどの小ぢんまりとした空間。昔は行列の絶えない店だったようですが、私がお邪魔した際のゲストは私のみ。スタッフも外国人のワンオペであり、唐突にワンオンワンが爆誕しました。
1,100円の「チャーシューワンタン麺」と350円の「ミニそぼろ丼」を注文。ラーメンの器が一般的なラーメン丼ではなく、深さの浅いカレー皿のような独特の形状の器での提供が定番。結果としてスープが少なく冷めるスピードが速いため、賛否は両論です。
全体として昭和テイストな味覚であり、それを「しみじみ優しい」と表現するか「深みに欠ける」と表現するかは貴方次第。チャーシューも硬く冷え切っており、少ないスープに沈めて温める必要があり難儀します。茹でられたキャベツも潜んでおり、時に物議を醸すアイデンティティの象徴的な要素のひとつと言えるでしょう。
ワンタンも餡は少なく皮ばかりであり、チェーンの「手包みわんたん麺 広州市場(こうしゅういちば)」は旨いラーメンに雲吞が10粒も乗って千円を切るのだから色々と考えてしまいます。
途中、近隣の居酒屋のスタッフがOEMの餃子をテイクアウトしており、何かトラブルが生じた際の責任分界点は何処にあるのだろうと無用な心配をしてしまいました。
麺は中太から中細の、緩やかなウェーブがかかった縮れ麺が採用されています。デフォで柔らかめに茹で上げられており、食べ進めるうちに更に柔らかくなります。現代的なアルデンテの食感を好む層からは明確な欠点として指摘されることでしょう。
「ミニそぼろ丼」は独り暮らしの大学生の自炊のようなビジュであり、キムチは乳酸発酵が進み過ぎており酸味が強烈。乱雑にカットされたネギは辛く、何か罰でも受けているような気分になりました。
以上の合計が1,450円。昔ながらのラーメン屋でありつつも、役目を終えたという印象。それでも訪れてみたいという奇特な方は、「ネギチャーシューメン」が100円引きで提供されるランチタイム、もしくは毎月23日の「お客様感謝デー(ラーメン600円)」を狙って訪れると良いでしょう。おつかれさまでした。

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