那覇の人気イタリアン「BACAR(バカール )」がビルを建て、3階に系列店「Tamuzza(タムッツァ)」をオープン。立地は若狭と那覇中心地からは遠く離れており、偶然通りかかった客を迎え入れるのではなく、明確な目的を持ってこの場所を探し出した者だけを招き入れるという意思を感じます。
店内はカジュアルな雰囲気なのですが、とにかく座席がキツキツですね。電車の座席ぐらい狭く落ち着かない。おまけに隣のおぢが酔っぱらっていてグデングデン何度もぶつかってきてムカ着火ファイヤー。まさに客層は「BACAR(バカール )」のそれを引き継いでおり、頭がメガソーラーな内地の連中が支配的です。まじでうるさいし、逃げ場がない。
酒は周辺相場に比べるとやや高め。というよりも、客層と同様に東京のイタリアンレストランのそれと同等です。また、19時一斉スタートと仕組みもまた東京みがあり、四捨五入すると此処は東京なのかもしれません。
アミューズはブリオッシュにバターを乗せ、その上にたっぷりとボッタルガ(カラスミ)を振りかけたひと品。ブリオッシュの甘くリッチな風味とバターのコクがボッタルガの濃厚な塩気と魚卵の旨味をまろやかに包み込みます。隠し味に加えられたマンゴーのトロピカルな甘みが洗練された味わいを演出します。
定番のカプレーゼを現代風にアレンジしたひと品。甘味と酸味のバランスが良い県産トマトに仄かな甘みのドラゴンフルーツを組み合わせ、そこにクリーミーなストラッチャテッラを乗せることで全体の味をリッチにまとめています。
数種類のキノコをじっくり煮込みんだ「ミネストラ」。旨味を最大限に引き出した滋味深いスープであり、種々のキノコの芳醇な香りと味わいが口いっぱいに広がります。中央の温泉卵を崩すと、トロリとした黄身がスープに溶け出し、全体をよりマイルドで濃厚な味わいへと変化させます。
平打ちの幅広パスタ「タリアテッレ」に、旨味の強い赤鶏の挽肉を合わせたひと皿。卵の風味豊かなパスタにコクと歯ごたえがある赤鶏がよく合う。全体として素朴な料理なのですが、シンプルながらも奥深い味わいで、素材そのものの力を存分に楽しむことができます。
メインは豚ヒレ肉。島豚をしっとりと柔らかく焼き上げ、サフランの華やかな香りを効かせたシチリア産のチーズをオン。豚肉の上品な味わいにエキゾチックでクリーミーな風味を加えています。付け合わせのからし菜が持つピリッとした辛味とほろ苦さが、料理全体に爽やかなアクセントを与え、味わいを引き締める役割を果たしています。
もう少し食べれそうだということで追加注文。こちらは紅はるかのニョッキ。サツマイモ特有の強い甘みとネットリとした食感が特長的。ソースはバターのリッチな風味を活かしたもので、その乳脂肪のコッテリ感と甘味からデザートのような感覚も楽しめる、ユニークなひと皿です。
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続くパスタは太麺で、沖縄らしくヤギ肉と共に楽しみます。ヤギ肉特有の風味と内臓から出る濃厚なコクと複雑な味わいがソースのベースとなっており、独特のクセが支配的。私は大好物なのですが、連れは「ムリだ」と秒で断念していたので、好みが分かれる食材でしょう。
デザートにつき、私は紅茶のジェラートをお願いしました。上質な紅茶の茶葉を贅沢に用いており、その豊かな香りと深い味わいが詰まっています。まるで濃厚なミルクティーをそのまま凍らせたかのようです。
料理は美味しかったのですが、色々と違和感を覚える店でした。これだけの客数に対して料理人は1人であり、当然に皿出しのテンポは悪くなるのですが、必死に頑張っているのも良く見えるため文句を言うこともできず、つまりはシステムの破綻と評さざるを得ません。
このオペレーションと量でコース8,800円、ワインとパスタを追加してひとり2万円弱というのも割高で、良くも悪くも東京のイマドキの店をそのまま切り取って貼り付けたようなニュアンスが感じられます。「BACAR(バカール )」らしさは全開だ。
シェフの腕と笑顔に間違いはありませんが、価格をはじめ店舗運営全体としては好みが分かれるところでしょう。今のところゲストは内地からの方が殆どですが、わざわざ沖縄に来てまで当店を訪れる訴求力を私は見出すことはできませんでした。
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