Na Camo guro (ナカモグロ)/中目黒


最上鴨を用いたブランド合鴨を用いた料理の専門店「Na Camo guro (ナカモグロ)」が食べログの百名店に選出。中目黒駅から歩いてすぐの場所にあり、おそらく店名は地名と主力食材をかけあわせたものでしょう。平たく言うとオヤジギャグです。ちなみに十番に姉妹店もあり、そちらの店名は「十番 無鴨黒」とハードボイルドです。
バイオハザードに出てきそうな謎の青い扉を開け、階段を昇ると実に洒落た空間が広がります。カウンター席が15席ほどに加え、テーブル席や半個室も用意されており、思いのほかキャパが大きいです。
アルコールは料理に合わせたワインペアリングをお願いしました。セレクションはセンスが良いのですが、提供・解説するスタッフの質には疑問を感じました。まるで台本を読み上げるような説明で、内容を咀嚼している様子が感じられません。オレンジワインの説明に至っては、オレンジで造ったワインと混同しているようにしか聞こえない場面もあり、この価格帯のレストランとして首を傾げざるを得ませんでした。
前菜三種。鴨のレバームースのモナカは演出としては悪くありませんが、モナカそのものの生地の質が低く脇が甘く感じました。奥の鴨出汁とお米のポタージュは調味が控えめで、なんかドロドロした白い液体としか捉えられません。
鴨出汁の茶碗蒸し。上品な鴨出汁をベースにした茶碗蒸しですが、全体としておとなしい印象が拭えません。菜の花やウルイといった季節の素材も、彩りとしては機能していますが、苦味や食感のアクセントとしては弱く感じました。
串焼きはムネから。普通に美味しいですが、1本あたりの単価に見合った味覚を期待すると、少し拍子抜けするかもしれません。最上鴨というブランドを考慮しても、驚きを与えるほどの肉汁や香りは控えめな印象です。
モモ。ムネ肉に比べれば弾力と脂のノリは感じられるものの、串焼きというシンプルな調理法ゆえに、素材の質がダイレクトに問われます。噛みごたえはありますが、それが肉の力強さではなく、単なる硬さとして受け取られてしまう絶妙なラインにあります。
鴨の様々な部位を混ぜ合わせた「つくね」。ムネやモモに加え、砂肝、レバー、ハツなどが組み込まれており、構成としては面白いものの期待を超えるような意外性や鴨の脂のキレを実感するには至らない構成でした。
生春巻き。こちらも見た目の変化としては機能していますが、味わいとしてはやや散漫な印象を与えます。ライスペーパーの食感と生野菜のボリュームに対して、主役であるべき鴨肉の存在感が希薄であり、コースの品数を埋めるための口直しに近い立ち位置に留まっています。
看板メニューの「鴨すき焼き」。先のスタッフが目の前で調理してくれるのですが、これはもうホームパーティーですね。この形式を料理の提供と呼ぶかどうかは、読んでいる方の判断に委ねます。他方、割り下に赤ワインを含めているのは面白かった。
カモマンガイ。鴨肉を用いたカオマンガイでありコンセプトは悪くないものの、量と質が物足りません。ところで店名もそうですが、当店はこういった掛詞が好きなのカモしれません。
デザートは洋梨の氷菓。決して不味いわけではありませんが主張に乏しく、あくまでコースの終わりを告げるための記号のような存在でした。

以上の料理を食べ、ワインのペアリング(量が少ない)を付けてお会計はひとりあたり1.3万円。「最上鴨」というブランドを強調している割に、感動が薄く、支払った金額に対するリターンは見合いませんでした。「長吉(ちょうきち)」であれば同じ支払金額で、比較するのも失礼なほど満足度の高い食体験ができます。少なくとも今回の訪問では、百名店の称号を納得させるだけの体験は得られませんでした。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。