何そのクソブログ聞いただけで超読みたくねえ


25日間は早いようで短い。LAで働くハイスペック男子の一時帰国もいよいよ千秋楽。来日中、彼はたっぷりと国内旅行を楽しみ、さらにはアジアまで活動範囲を広げるなど、存分に羽を伸ばせた様子。彼の忙しいスケジュールの合間を縫って5回も飲んだ私に敢闘賞。
締めくくりは当然におにまる。彼は既に、私と面識の無い友人数名で卓を囲んでおり、私はお誘いを受けたものの邪魔にならないかと躊躇ったのですが彼の熱望であれば仕方がありません。勇猛果敢にアウェーなパーティに突入です。
スペシャリテのガメ煮。久しぶりに食べた気がします。この料理は作るのに非常に手間がかかり数が限られるので、夜分遅くにお邪魔すると品切れしていることが多いんですよね。

私が来るまでの間に、ハイスペック男子が私の氏素性を説明しておいてくれたのは私がスムーズに会に溶け込むために大変有り難いのですが、その説明が芸能人が来るぐらいの勢いだったので、到着後しばらくは質問攻めで針のムシロにいるような気分。「また今日も『タケマシュランを見て来た』って客が来たよ」と、お店の方が絶妙なタイミングで合いの手を入れるのでハードルは上がるばかりです。
「こんなキュウリ撮ってどうするんですか?」と真っ当な質問を受けて回答に窮する。私が普段お付き合いする方は老若男女問わず食べることに異常なまでの執念を燃やす人々ばかり。是非はともかく料理の写真を撮ることは特別な行為じゃないんですよね。

また私の生業を知っている方は、食事中にお行儀が悪いことはさておき胸の裡で何を思っているかはともかくとして、私が写真を撮ることにつき不感症になっていることが多い。したがって、特に何も言われることもないんですよね。レベルの高い人など「私の料理も撮りますか?」と皿を向けてくれたりもします。
「私もブログ始めようと思ってるんです!」と、近々ご主人のロンドン駐在に専業主婦として寄り添う女子。「ロンドンで専業主婦としての新しい生活を綴るの!」何そのクソブログ聞いただけで超読みたくねえ、と素直な感想を述べると彼女は色を失ってしまいました。

厳しく言ってゴメン、でも、ロンドン駐妻の生活に興味を持っている人なんて、世界で100人もいないでしょ?と丁寧に理由を述べたのですが、彼女はまだまだ納得がいかない様子。
熊本名物「ちくわサラダ」。ヒライという弁当屋が発祥で、ちくわにポテトサラダを詰めて天ぷらにしたもの。味は今あなたが想像している通りの味。ちくわの天ぷらをタルタルソースに漬けて食べるという行為がひっくり返ったような味わいで面白い。

「じゃあどんなブログがウケるのよ!」と色めき立つ彼女に、即興で下記2つのテーマを提案。
  • 駐妻によるロンドン市内スーパー万引き記録(難易度付き)
  • お金が唸るほどあるから夫に毎日原価3,000円の手作り弁当を持たせてます
私は決してふざけているわけではなく、このようなブログがあれば是非とも読んでみたいからそう言っただけなのですが、彼女から真剣に侮蔑の眼差しを向けられることとなりました。
ハムカツ。長崎雲仙ハムをアツアツに揚げています。長崎雲仙ハムとは島原半島産の良質な豚肉を主原料としたポーク100%のものです。コクのある脂がたっぷりで、熱を持つと最高にジューシー。

「ブログでお金儲けしたい!アフェリエイト!まとめサイトも!」貴様、知ってるネット用語を言っただけだろう。

私見ですが、今さらネットの世界で儲けようとするのはどうかなあと思います。まず、参入障壁が恐ろしく低いのでレッドオーシャンであることは明らか。

また、ネットの世界は無料が大原則であり、ブロガー等が収入を得ることに対して理由抜きに拒否反応を示す人は意外に多い。マネタイズに着手した瞬間に読者が離れて行くのはよく聞く話です。

したがって、お金儲けなんて二の次で、まずはネット上ひいては社会においてのプレゼンスを高めることが一丁目一番地だと私は考えています。ネット上に綿密な履歴書を載せていれば何らかの形で仕事は自動的に舞い込んで来る。カリスマビジネス。地位さえ築けばお金なんて後から黙ってついてくる。
シイタケ嫌いが到着。ようやく私の仲間が来た。私もギヤをセカンドへ入れる。シイタケ嫌いは当店のチキン南蛮に目が無いので、すぐさまチキン南蛮を注文。

「お金儲けが目的じゃないなら、何でブログなんかやっているんですか?」と当然の質問。「セルフブランディングだよ」と、私の代わりにシイタケ嫌いが答える。なるほど彼は付き合いが長いだけに私の心中をよく理解している。

勿論「セルフブランディング」などと言うと仰々しいですが、ブログというものは書き手の壮大な自己紹介なんですよね。私に興味を持ってもらえれば見てもらえるし、趣味嗜好や価値観が似ていれば定期的に読んでもらえるようになる。

つまり当ブログを通じて知り合った人々は、基本的に既に私に好意を抱いてくれているので、自分の好きな人とだけ付き合うことに決めた私にとって人生が非常にやりやすくなっているのです。時間は有限なので、嫌いな人には丁寧には接するけれども関わり合いは一切持たない私にとって、当ブログは有能なフィルタとして機能する。

さらに、ここから先は考え過ぎかもしれませんが、ブログとは何かあった時の意見を述べる最終手段とも捉えています。

私が悪い奴らにハメられて、痴漢や児童ポルノなどの鬼恥ずかしい罪をでっち上げられた場合、旧来のメディアはここぞとばかりに面白おかしく私に集中砲火を喰らわせ、弁明の余地など一切与えないことでしょう。

その際にブログやSNSなどがあれば、自分自身の生の言葉が曲解されることなく発信できるでしょうし、それまでの記事が私の人となりを支えてくれるでしょうから、古参の読者などは「あれはたぶん冤罪だよね、そういう人じゃない」と理解してくれるような期待があるんですよね。意見を自由に発する場があれば、法律上はともかく社会的な尊厳は保たれる。考え過ぎですかそうですか。
幻の○○○○。材料や工程数が多く非常に手間のかかる料理であり、面倒臭すぎてメニューから落ちてしまったものです。その後は「深夜など空いている時」に限り受注していたのですが、新たに注文するための条件を加えたとのこと。その条件とは来店100回以上ですって。ドナルド・トランプでさえも簡単にはありつけない絶品の○○○○。
目の前に中落ちが置かれたのですが、なぜか皆、手をつけようとしない。仕方なし、いや、ここぞとばかりに好き放題食べさせていただきました。先の○○○○と併せて手に入れた白米と共に食す。深夜2時の禁断の中落ち丼。

3時を過ぎて解散したのですが、ハイスペック男子は名残惜しそうな表情。もう一軒お付き合いしたいのは山々ですが、数年は冬眠できそうなくらいの満腹状態。それでも「僕が全部出すから来て下さいよぉー」と甘えんぼモードに入ってきたのでそのかわいさを愛でることに。
156(イチコロ)という、ラーメン屋と飲み屋が7対3ぐらいの割合の店のテーブル席を陣取る。少しビールを舐めるだけに留めようとすると、ハイスペック男子、ミスターボリュームアップ、シイタケ嫌い3人ともがラーメンを注文。アルコールで満腹中枢がぶっ壊れている模様です。
ご丁寧にギョーザまで注文。恐るべき底なし沼。私は一切手をつけることなく健啖を競う3人を父のような心境で眺めます。
誰だタコ焼きまで注文した奴は。しかも注文しっぱなしで一向に減る様子が伺えません。仕方なしに大阪府出身者の名誉をかけて私は食べた。2粒も食べた。しかしこのたこ焼き、妙にキャベツが多くボロボロと崩れていく。球状の緩いお好み焼きのようです。悪くはないのですが、大阪の名誉をかけてこれはタコ焼きでは無いと言いたい。

「最後の夜に好きな人みんなに会えてよかった。あと一年、頑張ってくる」とハイスペック男子。まあ、遊び半分楽しんで。世界が終わっても気にすんな、俺の店はあいている。

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