トレフ ミヤモト(Treffe Miyamoto)/六本木

六本木の裏路地にある、小さな庭のついたクラシックなレストラン。宮本雅彦シェフは1988年に渡仏した日本フランス料理界の大御所。フランス各地の名店で研鑽を重ね、帰国後は勝どき「クラブニュクス」の料理長を経て、西麻布に「クリニャンクール」そして六本木に「トレフ ミヤモト(Treffe Miyamoto)」をオープン。
居留地の洋館のような内装の店内。家具や食器などもクラシックであり、今時のスタイリッシュさこそ全てなギャルとデートで訪れる雰囲気ではなく、食べ仲間とお邪魔する空気感です。
アペリティフはお庭で栽培した紫蘇をシャンパーニュでアレンジしたカクテル。独特の香りが食欲をそそり食前酒としてグッドです。

水は水道水をオーダー。最近は面の皮が厚くなり、平気で水道水を注文できるようになりました。水に千円もかけるぐらいならワインに回したいもんね。なのですが、「水道水はお出ししていない。料理に合わせた水をお出ししている」と意識が高い。しかしながら、続く発言にずっこける。「ガス入りとガス無しのどちらになさいますか?」料理に合わせとるんとちゃうんかいwww。自家撞着ここに極まれり。こんなことならコース料金を最初から上げしてミネラルウォーター込みにすればいいのに。
アミューズはソイで作ったリエットに竹炭を練り込んだ生地(?)、トウモロコシのスープ。手の込んだアミューズであり今後の展開に期待で胸が膨らむ。
ナントカ茸と〇〇(忘れた)のベニエ。まさに洋風天ぷらといった装いであり、素直に美味しい。加えてソースがいいですね。クラシックで多種多様。畢竟、フランス料理とはソースである。
パンも手造り。お料理に合わせて手を変え品を変え提供されておりいずれも良く合う。気の遠くなるような仕込み時間の長さでしょう。
ワインはペアリングでお願いしました。食前酒にグラスが4杯ついて5,000円と格安。何が何でも水代は徴収するのにワインについては気前が良いという、消費者心理の斜め上を行く謎のシステムです。合わせ方も各料理の方向性に合致したチョイスであり思わず笑みがこぼれる。
予約時にリクエストしておいたスペシャリテ「トマトのずわい蟹ファルシ てんとう虫仕立て 赤ピーマンのクーリ」。ヨーロッパで幸せを呼びこむとされているてんとう虫をモチーフとしています。黒い点はオリーブ。
ナイフを入れると、はちきれんばかりにカニが詰め込まれていました。これは直線的に美味しいですねえ。アレルギーの方を除き、ほとんどの日本人であればあげぽよ間違いなしの一皿です。
合わせるパンにはキャラウェイシードが練り込まれており、なるほど先の料理とピッタリ。パンと一緒に食べて完成するという仕組みです。
こちらもスペシャリテの「クロメスキ」。一口サイズのコロッケであり、中にはフォアグラとトリュフのソースが入っています。
相当にアツゥイのでカドを齧って少しづつ賞味します。トリュフの香りに濃厚なフォアグラの脂質。フランス料理を煮詰めたらこうなるのではないかと思わせるパンチのある逸品。
お魚はヒラメ。肉厚のヒラメをポワロ葱のソースに浸してパクり。なるほどやはりソースが良い。若いシェフは素材偏重でソースに凝らないことが多いですが、当店は実にクラシックに、これでもかというほどソースに拘っています。
こちらのパンにはアオサが練り込まれていました。磯の香りが魚料理の魅力を引き立てます。
メインはエゾジカにトランペット茸、ソースシヴェ。まさに伝統といったフレンチのメインであり、迫力のあるエゾジカにシヴェの深みがグッド。他方、いつかどこかで食べた料理でもあり、目新しさはありません。
デザートは苺を散りばめたムース(?)の表面を焼いたものに、リンゴのアイスクリームなど。それぞれ美味しいのですが量が少ないので、いずれかひとつをドーンと選択できたほうが記憶に残ったと思います。
小さなお店でこれだけのミニャルディーズを揃えられるのは見事。パンにせよソースにせよ、このお店の仕込みは大変だろうなあ。
お会計はひとりあたり2万円弱。上質で典型的なフランス料理に手頃なワインをたっぷり飲んでこの価格はリーズナブルでしょう。ある種の骨董品的な味わいが続くので、オシャレで前衛的なデートをするのとはまた意図の違うディナーです。気の置けないグルメ仲間と共にどうぞ。


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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。

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千翠(せんすい)/薬院(博多)

食べログ4.06(2019年8月)と、大変評価の高い千翠。薬院エリアはシックな建物の2階に位置し、看板を出していないので少しわかりづらい。

松尾英樹シェフはフレンチから日本料理へ転身した変わり種。地元の食材を中心に用いたこの土地ならではの和食を発信しています。
店内はカウンターが6席にテーブルが数卓ですが、この日はカウンターのみでの営業。大将が調理からサービスまで全てをこなすワンオペ形式であり、ある程度の人数が確定すれば予約を締め切っているようです。
まずはビールで乾杯。お会計で驚いたのですが、当店は酒が安い。合計金額請求方式なので明細は不明ですが、ビールも日本酒も1注文あたり1,000円を切っているような気がしました。
まずはトウモロコシのかき揚げ(?)。一粒一粒が大きく甘味が強い。間違いなくおいしいのですが、最初の一口目として揚げ物×激甘穀物というのはやや重い。
お椀は鱧。スープの味覚が上品を通り越して薄いので、先のトウモロコシの余韻に負けてしまっています。もう少し旨味の強いお椀のほうが私は好き。
お刺身は魚ごとに少しづつライブで出る形式。まずはヤリイカ。上質な甘さがあり美味しいのですが、小指の先ほどのポーションであり物足りなく感じました。
アカムツ(ノドグロ)を軽く炙って1スライス。じっとりとした脂が印象的。旨味も甘味も強烈で美味。でもやっぱり1枚だけ皿に置かれるって寂しいな。
アジ。凝縮感があり、そのへんのスーパーのフレッシュなそれとはまるで異なる味わいです。日本酒が進む。
スマ(スマガツオ)。カツオといえば猛々しい赤い味をイメージしますが、コチラは脂のノリが良く、脂のおいしさを味わう逸品。
ところで、料理の提供速度がすこぶる遅い。もちろんワンオペなのである程度は仕方がないとは思いますが、大将はおしゃべりが大好きで、しかもそのおしゃべり中は完全に手が止まるので、せっかちな私としてはイライラしてしまいました。
新銀杏を粗くつぶし、唐津の赤雲丹をトッピング。たっぷりと醤油がかけられており酒のツマミにピッタリ。銀杏が特に美味しいですね。モチっとした触感に柔らかい緑の香り。本日一番のお皿でした。
ナスと里芋。味は悪くはないのですが、あまりにノームコアなプレゼンテーションに思えます。
蒸しアワビは旨い。余計な調味はなくアワビそのものの味わいを楽しむ逸品。個人的には薄切りではなくダイスカットでムシャムシャと食べたかった。
カニの風味のきいた冷製茶わん蒸しにツガニ(モズクガニ)をトッピング。味噌がコッテリとした酒好きにはたまらない1品であり、グイっと日本酒を飲み干してしまいました。
さて、大将がおしゃべりだとは既に記しましたが、ゲストも負けずにおしゃべりです。どこの店に行ってどうだった、あの店はああだった、などのマウンティングが客同士で始まり、「某高級鮨店において港区ババァが大暴走した話」に近い痛いトークが繰り広げられます。その辺の嫌な感じは大将がコントロールしてくれよと私は祈り続けるのですが、大将まで一緒になって他の店の悪口を言い始めたのでアウト。その程度の意識のお店なのでしょう。
タコ。おいしいですが、まあ、タコです。うーん、やはりこの、切り落としをペタっと皿に置いていくプレゼンテーションのスタイルはどうなんでしょう。料理の重要な要素のひとつである外観には一切関知しない芸風です。
食事は白米をちょこんと盛り付け、塩焼きにしたイワシをベタっと乗せるだけ。真っ黒になるまで焼かれたイワシは野趣にあふれ確かにおいしいのですが、やはり料理だけで1.5万円を超えるお店の盛り付けには見えません。
アナゴの盛り付けにはさすがに閉口しました。
デザートも果物のみ。至ってシンプル。
あまり好きになれないお店でした。味はまあまあであり、スピード感の無さについても我慢はできる。ただし盛り付けという概念がなく切れ端をポイポイ置いていくスタイルと、大将が他のお店の悪口を言う点が私の価値観にはそぐわない。量も少ない。もったいぶって1切れづつ提供されていますが、トータルでは幕の内弁当よりもカロリーが低い気がしました。


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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。

オーキッド オールデイダイニング(オークラ)/虎ノ門

「ホテルオークラ東京」が4年の歳月を経て、9月12日に「The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)」として生まれ変わりました。旧本館のロビーのテイストはそのままに、外資系にはない独特の雰囲気を携えてリニューアルオープン。この日は急に雨が降ってきたので慌てて駆け込んだという無計画な入館です。
いわゆるカフェ・喫茶店的なお店はなく、軽く飲み食いする場合でもロビー階のオールデイダイニングを利用する必要があります。人の出入りが激しく常時満席。予約して訪れたほうが良いでしょう。
私はシェフズサラダを注文。チーズやハム、ローストビーフ(?)、チキンなどが冷やし中華のように整然と並べられており興味深いプレゼンテーションです。野菜は実に旨く、2,400円とコンビニサラダの5倍の価格ではありますが、5倍以上の価値があるように思えました。
普段サラダを食べる時はドレッシングは使わないのですが、このニンジンドレッシングは別格に美味しい。フレッシュなニンジンをそのままジュースにしたかのような味わいであり、そのままで食べて美味しい野菜にかけるには勿体なく思えるほどです。
連れはスモークサーモンを注文。1切れ頂き食べ放題には無い文句なしの美味しさなのですが、もう少し量を、もしくはパンやミニサラダなども添えてくれても良いかもしれません。

その時、どなたかのお誕生日祝いか何かで店員がハッピバースデーと歌い始めるのですが、その歌声が尋常じゃないほど大きく、美しく、魅力的であり、瞬間、店内は墓場のように静まり返り、彼の歌声に聞き入り、「おたんじょうびおめでとーございまーす」の後には万雷の拍手が沸き上がりました。もはや誕生日を祝っているというよりか、突然の美声に向けたスタンディングオベーション。あの歌声は見物です。お誕生日祝いで是非どうぞ。


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ホテルでの食事は割高ではあるのですが、サービスも味も大きく外すことは無いので安定枠として確保しています。その中でも私のお気に入りは下記の通り。

ホテル業界の神と随一のマーケターの共著。サービスする側/される側の両視点があり、「ホテルマンが感動するお客さま」「少しでもお得に、上質な部屋に泊まる方法」などの話題も興味深いです。

関連ランキング:洋食 | 神谷町駅六本木一丁目駅虎ノ門駅

いけす割烹 心誠 (しんせい)/五島(長崎)

五島市内でのちょっとした料理屋として有名な「心誠 (しんせい)」 。2019年特別版のミシュランにも掲載され、観光客に人気です。
12:30頃に予約なしに訪れたのですが、接客のおばさんに「まだ来やがるのかよ」的な表情で出迎えられショックを受ける。案内された掘りごたつ形式の個室は座布団(?)がところどころ破れており、テーブル表面も生臭い。
人気の「びっくり弁当」を注文。1,800円です。なるほどここまで大きなお椀を見るのは博物館か当店ぐらいであり、確かにびっくりしてしまいました。
フタを開けると刺身・天ぷらを中心としたオカズがギッシリ。ただしいずれもファミレスクオリティ。まあ、1,800円のランチとしてはこんなもんでしょうか。
ライスは男茶碗山盛り形式であり糖質スパイクが約束されます。
お味噌汁にもこれといった特徴はなく、一般的な味わいです。
連れは「刺身釜飯定食」を注文。刺身や味噌汁は「びっくり弁当」と同じものであり、茶わん蒸し(?)と釜飯がついてきます。
ちなみに釜飯は当店のスペシャリテのひとつであり、これ専門の宅配部隊もいるという力の入れよう。ただし味わいはまあ普通の釜飯です(そもそもめちゃ旨い釜飯というものを私は食べたことがない)。
オマケでコーヒーもついてくるのですが、インスタントバリバリの味わいでした。
序盤の接客には腹が立ちましたが、その他の店員はごく普通の定食屋の皆さんというレベル。味わいは中くらいで量は多い。費用対カロリーが抜群のお店でした。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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やまとや/田町

田町駅の改札を降りてすぐ、 田町センタービル1階にある立ち飲み屋です。田町の駅前で60余年営業をしているらしく、かつては甘味喫茶、2004年に現在の立ち呑み屋として業態変更。
店内は厨房を取り囲むコの字カウンターに、グループ用の立ちテーブルがいくつか。まさに酒場といった雰囲気であり、老若男女問わずワイワイと楽しくやっています。常連と店員との掛け合いも見物。目の前のザルにお金を置いておくと注文と引き換えというキャッシュオン形式です。
生ビールは400円。田町の飲み屋という意味では安いですが、この雰囲気の立ち飲みという意味ではもう少し安くても良いんじゃないかなあ。量もそれほど多くはありません。
芝浦直送の食肉が自慢の当店。まずはガツ酢。ゴリゴリとした食感にたっぷりのネギのパンチのきいた酢が心地よい。
スペシャリテの肉豆腐。これは美味しいですねえ。豆腐が丸々一丁近く入っており食べ応え抜群。脂たっぷりの甘辛い肉もジャンキーな味わいで美味。ちょっと煮詰まっている感があり独特の臭みがあるのが惜しい。
豚モツの串も当店の得意とするところらしいのですが、いずれも味わいは中くらいでした。
「隅田川ブルーイング ゴールデンエール」が450円で飲めます。都内広しと言えど、この価格で飲めるお店はそう無いのではなかろうか。ただし味そのものは先の生と大差なく、あまり50円を増す意義は無いかもしれません。
アジフライは300円。スーパーの総菜以上、定食屋未満といったクオリティであり、値段相応と言ったところでしょう。揚げたてな点と千切りのキャベツがたっぷりついている点は嬉しい。
ちょっとつまむつもりが、なんだかんだで3,000円を超えました。やはり田町の飲み屋という意味では安いですが、この雰囲気の立ち飲みという意味ではもう少し安くても良いんじゃないかなあという印象。それでも駅を出てすぐに15時から開いており詰めれば1~2人はどうとでも入れるという使い勝手の良さは捨てがたい。オヤジのスタバとしてどうぞ。


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私はヒールからスニーカーまでイケるクチです。三ツ星店もいいけど、場末の飲み屋街も魅力的。
おひとり様大歓迎の名酒場100軒を掲載。ひとり客の割合・男女比・ビールの値段などを「酔い処早見表」として整理されており読み易いです。紙媒体だと1,000円近くする本が、Kindleだとたった500円でお買い得!

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