s`accapau(サッカパウ)/西麻布

サッカパウ。2016年6月にオープンした新店。西麻布の交差点の権八のチョイ手前の地下1階。
急な階段を降っていくと、何とも印象的なネオンとガラス張りの店内(この写真は東京カレンダー記事より)。
フロリレージュ81ほど突き抜けてはいないものの、最近流行りの劇場型な気配。音楽や内装含めてとにかくクール。 病的に清潔で、付箋を落としてもチリひとつ付着しない程ピカピカに磨き上げられています。
乾杯はグラスの泡。コクがあってフルーティ。 当店のディナーは6種のワインペアリング推しなのですが、シャンパーニュは含まれていないのでご注意を。
スナック。竹炭を練りこんだ米粉のおせんべい、ペンネのフリットにトマトとパルミジャーノレッジャーノ、イカスミのプチシューです。

おせんべいは黒いだけで印象なし。ペンネはカラリとした歯ごたえに濃厚なチーズの香りが鼻腔をくすぐる。常に手元に置いておきたい一品です。プチシューは味よりも香りを楽しむ逸品。海の香りで口腔内が満たされます。
とうもろこしのスープにパルミジャーノの泡。濃いミルクとアミノ酸が感じられ面白かったです。とうもろこしは単純な液体というよりは若干エアが含まれているのか軽快な味わいで、甘い。
カトラリーは各自の席の引き出しより自由に取り出します。最近こういうスタイルのお店、増えてきましたね。
当店のワインは基本的にビオ。イタリア料理を中心に据えてはいるのですが、ワインの取り扱いは多彩でした。
ホカホカのフォカッチャも上々です。個人的にはローズマリーの香りを立てたものが好きなのですが、まあそれは人それぞれです。
花ズッキーニにカチョカバロ(チーズの一種)、マダコ。ドヴァーンとなっているのはイカスミソースです。ムガリッツのキャビア漫画を思い出しました。エイヤっとナイフを入れるとキュムキュムした歯ざわりのパスタフィラータ。これは花ズッキーニと抜群の取り合わせですね。ピリ辛に味付けされたマダコの旨味も堪らない。日本酒でナイスゴーするのも悪くないかもしれません。
しかしあくまでペアリングするのはワイン。ニュージーランドのピノグリです。ワインペアリングは6種で5,000円と格安なのですが、その割に品質はかなり頑張ってくれていると思います。
ニジマスにスライスしたカブ、粉末のタマネギ。これはまあよくある低温仕立てです。ポーションが大きいのは嬉しかったのですが、タマネギの風味は全く感じられませんでした。
オーストリアのソーヴィニョンブラン。オーストラリアではなくオーストリアです。あまり品種の特徴が感じられず、何ワインかサッパリわかりませんでした、というか好きじゃありませんでした。
ペスカトーレの麺はタリオリーニなのですが、2種を用いるという意欲的な作品。緑色の麺はエゴマを練りこんだとのこと。ただしこれも色合いはインパクトがあるのですが、ほとんどエゴマ感はありませんでした。ただし全体的には魚介の旨味がたっぷりで、ショウガもアクセントがきいており独創的で美味しいです。
ローヌのヴィオニエ。ふくよかな香りが海の幸を包み込み素晴らしい組み合わせです。
アニョロッティ・ダル・プリン。ピエモンテの詰め物入りパスタ、すなわちラヴィオリ、もっと言えば水餃子のような料理です。スモークの香りをビンに詰め込み、ゲスト自身でフタを開けるというプレゼンテーション。薫香か瞬間的に広がり様々な感覚を用いて楽しむことができました。しっかりと肉の主張もあり、良い意味で解かり易い料理です。
軽めの赤。個人的には樽がバリバリにきいた白、例えばカリフォルニアのシャルドネなどでも良いと思うのですが、律儀に肉には赤といったところでしょうか。
二種目のパン。パンそのものの味わいは先のフォカッチャに軍配が上がるのですが、オリーブオイルを上手に楽しむという意味ではコチラも悪くありません。それにしてもこのオリーブオイル、太陽の圧力が感じられる味わい並びに香りであり、クセになります。
メインで用いるナイフは引き出しからではなく、恭しくケース入りで登場です。こ、これはカッコイイ。ドラクエだと2,500ゴールドぐらいしそうな強靭な刃です。
お肉は鳩。意匠に若干の北欧テイストが見られますね。当店のシェフはヨーロッパでの経験が長いのか、発想の広がりに奥行きを感じました。ビーツのソースに鳩のジュのソース。緑色はフリアリエッリというイタリア野菜。鳩は食べやすいサイズであり、骨を手づかみでイケマシュラン。

肉質はクリアとも野性味とも言うことはできず若干どっちつかずな味わいではありますが、この価格設定であれば仕方なし。一方で、ジュのソースには奥行きがあり熟練した技を感じることができました。今夜の前衛的な料理も良いですが、一度ソースバリバリなフランス料理を遊びで作って欲しいところです。
ブラウフレンキッシュは、うーん、そもそもあまり好きじゃなく飲みなれていない品種なので意見を表明しない。
デザートはミントのソルベ。エクストラバージンオリーブオイルを流し込んで頂きます。連れは年頃の女の子なのでお花畑のような甘味を期待したようなのですが、思いのほか飾り気がなく真面目なものがドーンと出てきたので若干のさげぽよ感が見られました。他方、私はこのように解かり易く量が多いアプローチが大好きなのでマジるんるん御機嫌丸。
小菓子はルバーブのマシュマロにルバーブのキャラメル、チョコを挟んだクッキーです。飲み物はハーブティ一択でレモングラスの香りが強烈な液体です。コーヒー至上主義の私にとって、ハーブティしか選択肢が残されていないのはマジおつかれヘナヘナ丸。
〆てひとりあたり16,000円。なかなか良いセンではないでしょうか。西麻布というエロい土地のセクシーなお店で飲んで食べてこの値段であれば納得です。

また、前衛的な店にありがちな「奇抜だが美味しくない」ということはなく、どの料理も安定さんな味わい。私の勝手な解釈ですが、シェフはもっともっと上を目指せると思うので、価格を倍にして食材に鬼こだわりを見せ始めると、イノベーティブなレストランの中では頭ひとつ抜けた存在となれそうな気がします。

いずれにせよ、支払額の目処が立つという意味で、男性側は余裕を持って臨めるお店ですよね。タクシーでしか来れない場所で、普通のギャルは見つけられないお店なので、女の子にとってもステータスでしょう。数ヶ月もすれば一気に予約が取れなくなると思うので、今のうちに!




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