キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ/都庁前


いよいよ本番。体調バッチリ鼻もよく通る。準備万端。うまく当日にピークを持ってくることができました。
終わってみれば、品種どころか産地まで全問正解という完全試合。ワインスクール同期の中で当初テイスティング劣等生だったというのに、きちんと手順を追って勉強すればテイスティング能力はきちんと向上するのです。Good Tasters are made, not born。生まれながらにして優秀なティスターはいない。良いテイスターはつくられる。
トロワグロの開店時間まで試験会場である京王プラザホテル内のカフェで時間をつぶす。もちろんワインなど選択肢から除外。
時間つぶしのはずが勢いづいて2本目突入。試験中に飲んだワインも含めると結構な量を飲んでいることになり、この時点で既にホロ酔い。

さて、キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ。ミシュラン二ツ星。3年前にお邪魔したときは酸味主体の軽快なフレンチという印象でした。
「へー、こんなカンジなんだ。初めて」と感心する連れに対し、トロワグロはリヨンではとても尊敬されていて住所とか広場の名前にまでなっているのだよとウンチクを披露すると「知ってるって。この前行ったもん」。
乾杯はコチラ。ああ、泡ってやっぱ美味しい。テイスティング試験で泡は出ないため、ここのところ泡を飲む機会が激減していたのです。私はビール出身なのでシュワシュワするのが大好きなの。
お店の方が宝石箱でも操るかのように恭しく白トリュフをプレゼンテーション。3グラム4,800円でトッピングできるという悪魔の誘い。残念ながら、この香りを嗅がされて正気でいられるほどの自制心を私は持ち合わせておりません。
 左からコアラのマーチ的おつまみ、エスカルゴ、穀物の何か。エスカルゴのぐにゃりとした舌触りと旨味がお見事。酒のお供に最適。ちょっぴりパンチが強いので、下戸には塩辛く感じるかも。
パンは中々に手が込んでおり、バターもきいて美味しかった。
北海道産のバターにゲランドの塩。安定感。
 ハマグリにパッションフルーツのジュレ。これはイマイチ。パッションフルーツ味がどぎつすぎ。ハマグリの旨味が全てパッションフルーツでマスキングされてしまい、歯ごたえしか感じることができなかった。パッションフルーツいらん。ハマグリと何かの出汁だけでいい。
今日は打ち上げ一途に飲むぞと、心に決めていたのでドンドコいきますよ。白ワインはパス。ひたすらに泡泡泡。
先ほどのパンとは打って変わって標準的。
リコッタチーズとルッコラのラヴィオリにカボチャのソース。らしいのですが、はっきり言って白トリュフしか目に入らない。
意識を失うほどの官能的な香り。料理が供されてからも暫くは手をつけず、ずっと香りを嗅いでました。香りだけで酒が進む。料理の味は全然覚えていないや。
 大ぶりのホタテにレーズンとクルミ、根セロリ。海と大地の味。主題が明確ですごく好き。
ソースも追加分をテーブルに置いてくれるので、ジャブジャブかけてパンで拭ってウフフです。
残るは肉料理だけ、というタイミングでもう一本。だから言っただろう、今日は飲むよって。
 仔牛に品良く火を通し、パルミジャーノを載せる。チーズは裏切らない。立体的な味わいに仕上がりほっぺたが落ちるよう。セップ茸をゴニョゴニョしたものや、ロメインレタスのソースも上々。良い意味で線の細いワインと見事なマッチング。完璧なひとときでした。
もちろん一皿で一本を飲みきれるわけが無いのでチーズを注文。日本でここまでひたむきにフランス料理を追及できるのは嬉しい限り。
 少し残しておいたシャンパーニュと共にシャウルス。あと北海道産のウォッシュとヤギ系。フランスで真昼間から暴飲暴食を重ねていた日々に思いを馳せる。うーん、やはり私はこういう生活が好きだ。貴族になりたい。
柑橘系のパンナコッタだったっけな?チーズとワインでだいぶご機嫌になっていたため、あんまり覚えていません。
小菓子たちは一般的なフレンチレストランに比べてレベルが高い。凝っている。酒飲みのクセに甘いものも好きという欲張りな私にはうってつけ。
ヴァニラ風味のメレンゲに中に何かが入っていたような。。。持ち帰ったメニュー表には「大麦と地ビールのサバイヨン」と書かれているのですが、うまく記憶と紐付けができない。。。エスプレッソのダブルにおかわりを重ねてご馳走さまでした。

開店一番乗りで入店。豪快に飲み食いし、最後の客として出る。滞在時間4時間。泥酔。見事なまでに退廃的で幸せなランチでした。



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