ラ スフォリーナ/六本木


La Sfoglina。食べログ3.97(2017年1月)と高得点。最寄り駅は千代田線の乃木坂ですが、ミッドタウンから歩いて5分もかかりません。私はタクシーが嫌いなので一の橋からテクって30分。都内のグルマンたちには石頭楼卯の刻の近くって言えばすぐにわかる?
雰囲気のあるエクステリアです。ややもするとボエム的かもしれませんが、私はこういう世界観のあるお店って好き。

トッポギだったのでいつものカメラを持ち合わせておらず、当記事の写真は連れがアイポンで撮ってくれました。ちなみにトッポギというのは「突発的に六本木」の略です。
温か味のある内装。割に大箱です。空席が目立ったのが意外でした。
フェッラーリは大好きな泡なのですが、値付けの高い店だと10,000円を超えてきて躊躇する。しかし当店は7,000円とお買い得。そしてやっぱり好きだこのワイン。
塩気の強いお通しをつまみつつ、泡を口に運ぶ。じっくりとメニューを読み込み何を注文するかを健啖家の連れと議論する。この瞬間が一番楽しいです。
まずはイサキのカルパッチョ。熟成モノのとは対極をなし、フレッシュこの上ありません。コリコリとした歯ごたえを楽しむ逸品。
フォカッチャとパン、グリッシーニ。こちらは標準的。フォカッチャはもっとジトっと油っぽいものが私はタイプなの。
連れの前菜はラスケーラチーズとキノコのタルト。
生地に含まれるバターの香りが私の鼻先まで届き唾を飲み込む。私の前菜とひとくち交換こしたのですが、チーズの迫力ある味わいとトロリとした食感がキノコの野性味と渾然一体となり素晴らしい一皿でした。
大麦とオマールのサラダ。「やっぱアナタって海老好きよね。絶対それ注文すると思った」と心の裡を見透かされるのは気恥ずかしい。しかし一口食べればその据わりの悪さも一掃されます。甘味の強いオマールでクニクニとした大麦の歯ごたえ。フレッシュなみじん切りの野菜も新鮮で、これがサラダというのであれば菜食主義者になるのも悪く無い。
アニョロッティ・デル・プリン。ピエモンテ州の餃子みたいな料理です。ミンチ肉と細やかな野菜、スパイスをタネとして厚めのパスタ生地で精魂込めて包み込む。一口頬張るたびにジュワリと複雑な旨味が口の中を満たし、鼻から抜けるはチーズの風味。絶品です。量もたっぷり。これを嫌いな日本人は滅多にいないことでしょう。
連れのメインはイノシシ。一切れ頂きましたが覚悟していたほどの獣臭さはなく、豚肉のように軽やかな味わいでした。これなら赤ワインに入らずとも先の泡でも充分に戦えます。
私はホロホロ鳥。簡潔かつ入念な調理。ポーションも大きくわかり易い味わいですごく好き。やっぱ料理ってこれぐらいガツンと食べないと記憶に留まらないですよね。こういうベーシックな料理がきっちりと印象に残るのはシェフの実力の証明でしょう。
口直しにローズマリーのシャーベット。肉で胃袋が膨れハイパー賢者タイムに入った頃、「あの子の正体、わかったわよ」と連れ。

何の話だと身を乗り出すと、「ほら、エムオンにチラチラ出る、長濱ねる似の子。なんとびっくり、15歳中学3年生」

つい5分前まではシャトー・ラグランジュについて議論を重ねていたばかりだというのに、この人は突然何の話を始めるのだ。確かに君と私は古くからのヲタもだちではあるが、これではドロリコンのオフ会ではないか。しかも検索してもwikipediaに載っていない芸能人。オープンヲタクにも程がある。
パンナコッタ。濃密な生地にカラメルの宿命的な苦味。シンプルなものが旨いのは本物の証拠です。
ヘーゼルナッツとキャラメルのセミフレッド。ヘーゼルナッツの香ばしく華やかな香り、カリっとした噛み応え。セミフレッドの温度も適度に低くしっかりとキャラメルの味が舌先でとろけます。
「ねえ、48Gの成人式の写真見た?本店が全然パっとしてなくて、支店のほうがよっぽど元気あるよね」うん、見てない。もうわかったからこの会話はここまでにしよう。あ、お会計お願いします。
折り目正しいエスプレッソでごちそうさまでした。

ふたりで飲んで食べて総額20,000円を切りました。六本木のきちんと美味しいイタリアンでこの費用対効果は素晴らしい。

課題は接客。何となくぶっきらぼうで付かないまま離れていく印象。また全般的にワインの取り扱いが慣れておらず、目の前で注がれるとヒヤヒヤして会話に集中できなくなります。

いずれにせよ、近所メシでそれほど肩肘張らない店。ジーンズでもOK。今のところ予約も入れやすいので、何度でも通いたいと思います。


このエントリーをはてなブックマークに追加 食べログ グルメブログランキング

関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。