五反田駅西口から徒歩約3分、目黒川沿いに位置する「VIGO(ヴィーゴ)」。五反田を中心に居酒屋を展開する「それがし」グループの一員であり、姉妹店である恵比寿の「LOVAT(ロバット)」は私のお気に入りのひとつです。
店内は30席ぐらいでしょうか。オープンキッチンの臨場感を間近に感じられるL字型カウンターに加え、テーブル席がいくつか用意されています(写真は食べログ公式ページより)。田村直樹シェフはピエモンテ州およびエミリア・ロマーニャ州で伝統郷土料理の研鑽を積んだ実力派であり、帰国後は西麻布の「サッカパウ」や恵比寿の「ゴロシタ」で腕を磨いたようです。
ワインは思いのほかフランス産のものが多く、値段の幅も広い。もちろんグラスワインの用意もあり、いずれも千円強~といった値付けで、この手のレストランとしては悪くない価格設定です。
イナダのカルパッチョ。小田原港から届くものを薄造りにした透明感のあるひと皿。脂の乗りはハマチほど重くなく、噛むほどにほのかな甘みと爽やかな磯の香りが広がります。底にはナスのトマト煮込みが敷かれており、冷えた泡を誘う清涼感とコクのバランスが良い前菜です。
マッシュルームのサラダ。低温のオイルでじっくり火入れされた砂肝のコンフィも組み込まれており、本来のコリコリした筋感を残しつつも、歯がすっと通るようなしっとり柔らかい新食感が心地よい。生マッシュルームの土っぽい香りとシャキッとした食感が全体を軽やかにまとめ、削りたてのパルミジャーノの塩気とミルキーな風味がアクセントに。
スパゲッティはアメリケーヌのような濃厚エキスで炊いており、エビの香りがプンプン丸。エビ特有の力強い香ばしさと甘みが口いっぱいに広がり、後からピスタチオの香ばしいナッツ感と特有のこっくりとしたまろやかさが追いかけてきます。大変美味しい。絶対結婚しような。
滋賀県産の銘柄鶏「淡海地鶏」を炭火でじっくりと焼き上げた逸品。皮目は炭火特有の香ばしい薫香を纏いながらパリッとクリスピーに焼き上げられ、対照的に肉質はきめ細かく、弾力に富んだ力強い歯ごたえがあります。ごくごくシンプルな調理であり、肉そのものの美味しさがストレートに伝わる仕上がりです。
〆に担々麺。挽き肉の旨みが効いたスープに山椒を練り込んだ麺を沈めており、イタリア料理風にアレンジしていると思いきや、真っ向勝負の担々麺で潔い。クリーミーで濃厚な口当たりであり、専門店としてスピンオフしても充分に勝負できるクオリティです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1万円強。イタリアンをベースにしながらもジャンルにとらわれない自由な料理であり、いずれもきちんと美味しいのが素晴らしい。コース仕立てもありますがやはりアラカルト注文が楽しい。肩肘張ることなく純粋に旨いものを好きなように好きなだけ注文するよろし。関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- Totto(トット)/宜野湾市(沖縄) ←テロワール、テロワール、テロワール。
- prospero(プロスペロ)/新栄町(名古屋) ←炭水化物の王者。
- シンポジウム(SYMPOSIUM)/新根塚町(富山) ←富んだ山を体現。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- Orchestra (オルケストラ)/参宮橋 ←ラヴィオーロが旨すぎてビル建ちそう。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- オステリア セルヴァジーナ(OSTERIA SELVAGGINA)/駒込 ←シェフの食に対する執念に近い情熱が、皿の上ですべて報われている。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。








