東京税関羽田支署 CIQ棟職員食堂(稲穂食堂)/羽田空港第3ターミナル

羽田空港第3ターミナルの脇に「東京税関羽田支署CIQ棟」という合同庁舎があるのですが、その職員食堂は所定の手続きを経ることで一般来訪者の利用が認められています。空港における飲食店は非人道的な価格設定であることが世界共通ですが、コチラでは空港エリアでありながらリーズナブルで質の高い食事が提供されており、テレビ番組『朝メシまで。』やグルメ情報誌『おとなの週末』といったメディアを通じてその存在が可視化されました。
アクセスは簡単。羽田空港第3ターミナルの1階「バス乗り場フロア」へ移動し、ターミナル間無料連絡バスの停留所からバスの進行方向に歩道を進むとすぐに「CIQ棟」が見えて来ます。ちなみにCIQとは「Customs:税関、Immigration:出入国管理、Quarantine:検疫」を意味し、国際線の航空保安および水際行政を担う専門集団です。
入館すると玄関ホール右手に守衛が常駐する受付カウンターが設置されており、ここで「食堂を利用したい」旨を口頭で申告します。すると守衛から外来者受付票が提示されるので、そこに氏名や連絡先を記入して入館証を受け取り、首に下げて入館します。もちろん食堂以外のフロアへの立ち入りは認められていません。受付を通過した後は食堂の看板が置かれているので、その案内に従えばすぐに食堂入口が見えます。

なお、「稲穂食堂」というサブタイトルが付いていますが、食堂の受託運営を担うのが給食・外食事業を展開する株式会社稲穂のフード事業部であり、同社は1961年から羽田および成田の税関施設で職員給食を供給し続けてきた歴史を有します。また、羽田空港第1ターミナル地下で人気を誇る中華料理店「空港ラーメン天鳳」も運営しており、「あの天鳳のラーメンが職員価格で!」と、飛行機ヲタからも賞賛されています。
食堂内の利用動線は、大学や官公庁の食堂に見られる伝統的なカフェテリア方式が採用されています。利用者はまずエントランス付近に展示されている日替わりメニューの現物サンプルや掲示板を確認し、入口に設置された自動券売機で食券を購入します。現金はもちろんキャッシュレス決済にも対応。メニューはいわゆる定食モノに加え、カレーやラーメン、そば・うどんなど多彩なラインナップが揃っています。
厨房カウンターは「定食」「カレー」「麺類」の食種ごとに窓口が区分されており、該当するカウンターのスタッフに食券を提出しましょう。タイミングによっては自動給米機での盛り付けが求められるそうですが、私は厨房のオバチャンが全て盛り付けてくれました。
カウンター脇には給茶機、箸・スプーン類、および調味料類が配備されています。調味料には税関イメージキャラクター「カスタム君」の意匠が施されたソース類のほか、麺類向けに自家製ラー油が用意されています。
ダイニングエリアは余計な装飾を排した官公庁らしい質実剛健な内装であり、テーブル席に加えて窓際にはカウンター席が用意されています。ゲストの殆どはCIQ関連の職員やエアラインのスタッフなので客層がとても良い。港区の鮨屋とその客たちに見習ってもらいたいものです。
私は740円の「週替わり麺(担々麺)」に300円の「麺セットミニカレー」、170円の「サラダ」を注文しました。空港でこれだけの食事を摂って合計1,210円とは大変お値打ち。空港ライフハックと評しても良いくらいでしょう。
担々麺。麺は大量調理に適した汎用のストレート中華麺で、可もなく不可もない味わい。スープはベースとなるスープに担々麺用のタレを加える業務用スタイルで、専門店のような香り立ちや深みは期待できません。空港内の割高な飲食店に比べれば破格の安さですが、味自体は「社食の定番麺」の域を出ず、手早く胃袋を満たすための実用的な一杯と言えるでしょう。
カレーは週替わりで、この日は「クリーミーチキンカレー」でした。思いのほかスパイスが立ち、鶏肉も大ぶりのものがゴロゴロと入っており、担々麺に比べると存在感が際立っています。「グリーンカレー」や「マサラ風チキンカレー」が提供される日もあるようで、社食のカレーとしてはかなり尖った試みです。
サラダにつき、このボリューム感で170円とは実にお値打ち。特別に瑞々しいというわけではありませんが、コンビニよりは遥かに美味しい。栄養を意識した職員食堂らしい実用的なひと品です。
食後は返却口へトレイを運び、残飯の分別と食器類の返却をすべてセルフサービスで行います。

以上を食べて合計で1,210円。あくまで社食的なポジションであるため味そのものは中くらいですが、空港でこれだけ食べてこの支払金額は破格と言えるでしょう。1タミや2タミからターミナル間無料連絡バスが通じているので、時間に余裕があれば国内線利用時にも使える。空港メシの穴場として覚えておくと良いでしょう。

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