パーラー桑江(パーラー くわえ)/壷川(那覇市)

内地における「パーラー」とは果物をあしらったパフェや洋菓子を提供する「フルーツパーラー」を想起させることが多いですが、沖縄における「パーラー」とは日常に根差した簡易軽食スタンドを意味します。もちろん語源は英語やフランス語における「客間」「談話室」「小さな簡易店舗」を意味する「parlor」「parloir」だとは思いますが、店先に置かれたベンチや日除けパラソルの下で地域住民が「ゆんたく(語らい・おしゃべり)」を楽しむという意味で、沖縄でのニュアンスのほうが本来的かもしれません。
那覇で観光客がアクセスし易いパーラーと言えば「パーラー桑江(くわえ)」でしょう。ゆいレール壺川駅から徒歩数分の距離にあり、国道330号線沿いのスーパーマーケット「タウンプラザかねひで壺川店」の裏手に位置します。黄色い外観がトレードマークで朝6時の早朝から営業しており、注文時にテイクアウトかイートインかを告げ、出来上がった料理をセルフサービスで運んで屋外席で喫食します。
冒頭に「簡易軽食スタンド」と記しましたが、当店のメニュー構成は一般的なパーラーのラインナップを遥かに凌駕し、実質的には食堂と捉えても問題ありません。「沖縄そば」「タコライス」「カレー」の3系統を基軸とし、そこに店頭ケースに並ぶポークたまごおにぎりや揚げ物などの惣菜類が連動しています。
私は一番人気の「もやし肉そば」を狙っていたのですが、残念ながら売り切れ。というか麺類は650円の「三枚肉そば」しか残っていませんでした。そこに100円のミニカレーと230円のチキンカツを追加し、合計で980円です。
「三枚肉そば」は、まず麺の存在感が強い。太麺でしっかり縮れており、恐らく仕入れ品の茹で置き麺ですが、きちんとコシと弾力が感じられます。スープは綺麗でサラリとしつつも後半にかけて味が締まり、濃いめの味付けの三枚肉と共に、素朴ながらも食べ応えのある一杯に仕上がっています。
カレーは沖縄定番の黄色いルーですが、野菜の甘みを感じさせつつもしっかりとスパイスが立っています。パーラーらしい気負わない味でありながら、単なる甘い沖縄カレーで終わらない存在感があります。これで100円は社会への貢献と言えるでしょう。
チキンカツの温度は既に落ち着いており、サクサクというよりしっとり寄りでスーパーの総菜に近いニュアンス。ニンニクの風味がはっきりしており、冷めても結構美味しい実用的な味わいです。
パーラーと言えどしっかりとした食べ応えであり、それでいて千円でお釣りが来るという奇跡のような食事処でした。時代が変化してもパーラーは単なるノスタルジーではなく、生きた都市装置として持続可能であることを立証する存在。近くにお泊りの方は朝食がてら一度訪れてみると良いでしょう。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:弁当 | 壺川駅、旭橋駅、県庁前駅


関連記事
沖縄と東京の2拠点生活なので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。