山形座 瀧波(やまがたざ たきなみ)・宿泊/赤湯

山形県南陽市・赤湯温泉に拠点を置く「山形座 瀧波(やまがたざ たきなみ)」。創業100余年の老舗温泉旅館が地域固有の風土と工芸性を再解釈し、現代日本の小規模ラグジュアリー湯宿へと転換を遂げた代表的実例と言えるでしょう。その試みが評価され、別館オーベルジュ「OSTERIA SINCERITÀ」と共にミシュランに掲載されました。
山形の温泉宿と聞けば秘境感がありますが、東京からのアクセスは意外に良いです。東京駅から山形新幹線「つばさ」に乗車し、赤湯駅まで直通2時間半。そこから宿の送迎車で10分ほどの距離なので、ドアドアでは京都に遊びに行くのと変わらない、いや寧ろタクシー待ちが無いぶん京都よりも近く感じます。
築数百年とも言われるすごくすごい建屋はピカピカに磨き上げられており、そこに北欧モダンや天童木工の家具が配置され、土着の木造建築と現代的な生活様式が高い次元で調和しています。
だだっ広い無駄オブ無駄な畳敷きの空間が広がりますが、やはり無駄は無駄ではないと確信させる様式美。ちなみに日時によってはこの空間でヨガのインストラクターを招聘したイベントも開催されます。
ロビー脇にはちょっとしたラウンジがあり、アルコールを含むドリンク類がいつでも飲み放題。地元の日本酒やワイン、ジュースも取り揃えられており、旅行者の琴線に触れるシステムです。
我々が滞在したのは大正期に建てられた木造小学校校舎を移築(減築?)した建物。天井が高く広々とした気持ちの良い空間です。
イマドキの宿泊施設らしくワークスペースも用意されています。前日は「出羽屋(でわや)」に滞在し、ネットから隔絶され発狂しそうになっていたため、当館の下り60-70Mbpsという回線環境には心和みます。
ちなみに入り口付近はウォークインクローゼット的に使用することができ、棚もたくさんあって使い勝手良し。和風の旅館であっても工夫次第で欧米系ホテルの使用性をも凌駕する好例でしょう。
ウェットエリアも広々としており、タオルウォーマーなどの細やかな設備も用意されています。トイレも独立型で用意されているのが嬉しい。
目玉はやはり全客室に配備された天然温泉でしょう。5名の湯守が流量調整のみで湯温を制御し、泉源から浴槽まで一切外気に触れさせずに送湯する「十割源泉」を実現しています。大浴場もありますが客室のお風呂のほうが何かと使い勝手が良いので、私は部屋の温泉ばかり入っていました。
夕食は18:40~の一斉スタート。置賜の自然環境と農業基盤に立脚したローカルガストロノミーによって体系化された見事なディナーでした。詳細は別記事にて。

ちなみに夕食前には当館の社長自らの蕎麦打ちが披露され、併せて地酒もふるまわれます。翌朝は6時からネイチャーツアーが開催され、先述のヨガを含めて色んなイベントを楽しむことができます。
朝食も地元の食材ばかりを用いており、旅行者にとってはあげぽよです。炊き立てのゴハンは夜と朝で米を替えるという心憎い演出。加えて米沢牛を煮込んだ郷土料理「芋煮」が最高に美味しかった。
ところで、どこか新潟の「里山十帖」に似ているなあという印象をずっと抱いていたのですが、後から調べてみるとやはり雑誌「自遊人」編集長のムッシュ岩佐十良がいっちょかみしているようです。なるほどだから新潟のミシュランスターシェフを次々に招聘できるのか。であれば次回は別館の「OSTERIA SINCERITÀ(オステリア シンチェリータ)」も訪れてみようかしら。

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