テンゲル リゾート(Tenger Resort)/テレルジ国立公園(モンゴル)

ウランバートルの北東に広がる「テレルジ国立公園」は、雄大な大草原、奇岩群、豊かな森林地帯を擁するモンゴル屈指の自然景勝地であり、このエリアにおける宿泊インフラは、伝統的な移動式住居「ゲル(Ger)」をベースとしたツーリストキャンプを中心に発展してきました。
ここ「テンゲル リゾート(Tenger Resort、モンゴル語:Тэнгэр ресорт)」も、静寂な自然環境と適度なプライバシーを両立させた中規模のツーリストリゾートとして知られています、という触れ込みでした。おや、この書き出しは雲行きが怪しいぞ。
テレルジ観光の主要なランドマークである「亀岩(Turtle Rock、Мэлхий хад)」近くにありつつも一歩奥まった場所に位置するため、観光客の車や大型バスが行き交う騒音が届きにくい静かな環境が最大の魅力とされています。他方、wifiはおろかスマホの電波すら入りづらい環境なので、インターネット中毒の方は発狂するかもしれません。私は発狂しました。
我々はちょっと高めのゲルにご案内頂けました。簡素なベッドが3台にテーブルがひとつであり、オシャレな拘置所といった風情です。天井にはちょっとした窓(?)があり、淡路島の「グランシャリオ北斗七星135°」を想起させます。ちなみに当リゾートの「テンゲル」とはモンゴル語で「天・空(Тэнгэр)」を意味するそうです。
ベッドの質はフニャフニャで私のお腹のようです。また、どこからどこまでが掛け布団で、どこからが敷布団なのか分かりにくく、30分近く悩んでしまいました。ちなみにこのあたりは夏でも夜間は10℃近くまで気温が下がりますが、当リゾートのゲルはゲルと見せかけて床暖房がガンガンに効いているので、寒さについては心配する必要は無いでしょう。
「シャワー・トイレ完備」という触れ込みからすごくすごいグランピング・リゾートを期待していたのですが、単にシャワーとトイレがあるだけでした。シャワーカーテンは無く、色んなモノを置く台などもありません。鏡すら無い。連泊しても清掃に入ることはなく、タオル類の交換も無し。これではヨセミテ国立公園におけるテントでの生活と大差ないじゃないか。他の旅行記や旅系YouTuberで予習していた豪華なゲルと全然違う。

予算をケチったつもりは毛頭なく、今回は旅行会社を通して割と高めのツアー(専属のガイドとドライバーが付きっ切りの、それなりのお値段のもの)を選んだはずなのに、なぜこの仕打ちを受けねばならないのか。悲しいを通り越して、静かな怒りが込み上げてきます。

ネットは通じず、宿泊施設は実際のところ屋根があるだけ。それならそうと契約前に明記してくれていれば、こちらだって別のツアーや別の宿泊先を選ぶという選択肢を行使できたはずです。パンフレットには堂々と「デラックス」とだけ書かれ、肝心の宿泊先の詳細は「未定」のまま、蓋を開けてみればコレ。現地に到着してから初めて実態を知らされるというのは、旅行者の判断の機会を奪う、極めて不誠実なやり方だと思います。流行りのダークパターンなのかもしれません。
温水は出るには出るのですが、いつスッカラカンになるかわからない仕様なのでビクビクです。電源は1か所にしかなく、タコ足配線して良いものか不安でもあり、スマホの充電もままなりません。

加えて夜間になると、隣のリゾートから鼓膜を破壊せんばかりの爆音どんちゃん騒ぎ(韓国人勢力による地獄のカラオケ大会)がノンストップで響き渡り、当のリゾート側はそれをただただ黙認。耳栓すら貫通する騒音の暴力の前に、宿泊客の安眠など知ったことかというスタンスです。リゾートとしての管理体制そのものが破綻しているように感じました。
朝食は本館的な位置づけの建屋で摂ります。我々のガイドとドライバーはモンゴル人向け(?)の安価なゲルに泊まっているそうで、「こっちは床暖房が無くて寒い」と凍えており、何だか申し訳ない気分になります。
朝食は実に簡素。高校の部活の朝食のほうがまだ量があってマシでしょう。しかも、翌日の朝食はこの半分量しかなく、流石にガイドもあきれて宿に苦情を申し立ててくれたのですが、乾ききってパサパサのパンが申し訳程度に追加で出てくるだけでした。
夕食も酷いもので、羊肉のハンバーグ(?)らしき料理であり、味は悪くないのですが、なんせ量が少ない。追加でお金を払うからもっと色々食べたい。ちなみに隣のテーブルの韓国人グループは、インスタントラーメンに缶詰、韓国海苔、コチュジャンなどを大量に持参し、自分たちだけの小宴を存分に楽しんでいました。この宿の食事を信用せず自衛していた彼らの判断が、結果として最も正しかったと認めざるを得ません。
ネットは通じず、虫はガンガンに入り込み、セキュリティボックスもティッシュも鏡もミネラルウォーターもありません。「何がないか」を書き連ねるよりも、最初から「ここには何もない」と覚悟して訪れるべき不便の極みです。

「テレルジでの滞在とは本来そういうものだ」と言われればそれまでですが、それならそうと最初から注意事項として「当施設は文明の利器をすべて剥奪されたディストピアです。ウランバートルのコンビニでこれでもかというほど物資を買い込んだ上で来てください」と赤文字でデカデカと書いておいて欲しい。そのくらいの覚悟を事前に旅行者へ求めるのが最低限の誠意というものに感じました。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。