世田谷区池尻に2025年7月にオープンした「CREATERNA(クレアテルナ)」。世界各国の名店で研鑚を重ねたシェフが繰り広げるイノベーティブ系の料理が耳目を集めており、ミシュランでは早速セレクテッドに選出されています。場所は世田谷公園の近くで、池尻大橋駅もしくは三軒茶屋駅から歩いて10分強といったところ。
店内は白を基調としたシンプルモダンな内装で、オープンキッチンを臨むカウンター席と、ゆったり過ごせるテーブル席が用意されています(写真は食べログ公式ページより)。
須羽恒之シェフはフランス料理を皮切りにヨーロッパ諸国の食文化に興味を持ち、料理人としての修行にとどまらず、パン、チョコ、製菓など多様な専門領域を学んだそう。どこか美容師を思わせる、スっと入り込んで来る雰囲気です。
ワインセットが推しのようで、スパークリング・白・赤の3杯に加え、食後のお茶が付いて5,500円。この手のレストランとしては悪くない価格設定ですが、皿数に比してワインの量が我々には全く足りないので、けっきょく追加する勢です。ところで泡だけでなく、どの白ワインもフルートグラスで提供されるのですが、意図は私にはわかりかねました。
アミューズはビーツを用いた生地で色々巻いたもの。ビーツ特有の土の香りと甘みに、フレッシュチーズのフロマージュブランのミルキーな酸味が寄り添い、チョリソのスパイシーな旨みが味の輪郭を引き締めます。スプラウトの瑞々しい食感と苦みがアクセントとなり、彩り豊かな見た目も含め、なるほど「ブーケ」の名にふさわしい一品です。
白いとうもろこし「ピュアホワイト」を用いたヴィシソワーズ。素材本来の圧倒的な甘みに加え、香ばしいポップコーンパウダーがユニークな風味の奥行きを加えます。口の中で儚く消えるパルミジャーノの濃厚な泡も心地よいアクセント。
赤ワインでホロホロになるまでじっくりと煮込んだ和牛を生地で包んで揚げました。香り高くサクッとした生地からとろけるようなテクスチャーの煮込みが流れ出し、濃厚で贅沢な余韻を長く残します。
パンが美味しいですねえ。シリアルを載せたり、天然酵母を用いたりと工夫が込められており、そのまま食べて良し、ソースを拭っても良し。添えられるオリーブオイルはチリの「ICONO」という凄いやつらしく、なるほど雑味の無いクリアな味わいです。
オキザヨリという魚をセビチェ風に仕立てました。上品で淡白ながらもしっかりとした旨味を持つ魚種であり、そこに薄切りの大根を添えることで、シャキシャキとした食感と大根特有の清涼感を加えます。
併せて供されるスープ(?)はトマトの透明なエキスを用いており、見た目は透き通っていながらトマト本来の旨みと甘み、酸味が感じられます。そこにジュンサイ特有のつるりとしたぬめりと食感を加えることで、清涼感のある夏らしいひと皿に仕上げています。濃厚なフォワグラに、プラムの甘酸っぱさを組み合わせました。表面はカリッと香ばしく、中はとろけるように焼き上げており、そこに甘みを引き出したエシャロットを重ねます。添えられたプラムのジューシーな酸味と果実味がフォワグラの豊かな脂を上品にマスキングしており、濃厚さと爽やかさのコントラストを楽しみます。
ラヴィオリ。中にはアンコウが詰まっており、淡白ながら旨みが強い。注がれるスープはアンコウのエキスに満ちており、ヌルつきと磯の風味を纏ったメカブと共に、和のニュアンスを感じさせるひと品です。
キンメダイ。鱗をあえて残したまま香ばしく焼き上げ、パリパリとした食感を演出する一方で、厚切りの身からはしっとりと官能的な舌触りを楽しみます。甘エビのエッセンスを凝縮した濃厚なソースとブランダード(鱈とジャガイモのペースト)を詰めた花ズッキーニが添えられ、ボリュームと華やかさを添えています。傑作と評すべき魚料理です。
メインは鴨。滋賀県のブランド鴨「近江鴨」を用いており、鴨肉ながらどこか白身がかった穏やかな旨味を楽しみます。きめ細かくジューシーに焼き上げており、王道なソースや独特のほろ苦さを持つホワイトアスパラとチコリをペアリングするなど、創造と調和に満ちたひと皿です。
デザートはチェリーのソルベにパンナコッタ。チェリーの甘酸っぱさがクリーミーなパンナコッタの濃厚さを爽やかに引き立て、ソルベが清涼感を添えます。チェリー尽くしの可憐な味覚でありつつ、クニャクニャしたプレゼンテーションもマリオカートのコースのようで楽しい。
お茶菓子もバリバリに手が込んでおり、お料理やパンも含めこの席数でここまで凝るとは頭が下がる思いです。なお、食後のお茶は別料金ですが、ワインセットを選んでいれば込み料金で自動的に付随します。
以上のコース料理が2万円ほどで、ワインのセットに追加のグラスワインやら何やらでお会計はひとりあたり3万円。ヨーロッパじゅうの名店を渡り歩いたシェフ渾身の料理がこの支払金額で楽しめるのは大変お値打ち。イノベーティブとは王道を極めた者だけが挑戦できる世界であり、王道で勝負できなかった者の逃げ場ではないことを証明したディナーでした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
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- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- フランス料理研究室 アンフィクレス (AMPHYCLES) ←古典フランス料理の愛好家にとっての最終目的地。
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- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
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