岸和田のご当地料理「かしみん焼き」はご存じでしょうか?小麦粉を薄く伸ばした生地にキャベツ、かしわ(親鶏)、そして牛脂のミンチをのせて焼いた料理であり、「かしわ」と「ミンチ」が名前の由来になっています。
ここ「鳥美(とりみ)」は地元で長年愛されている精肉店兼鉄板焼き店であり、「かしみん焼き」の火付け役・発祥店の一つとして知られています。住宅街の路地裏にあり、外観は緑のテント屋根で、一見八百屋のようにも見え、飲食店とは気づきにくい。
店内は鉄板と、それを取り囲むカウンター席のみ。7-8人も座ればいっぱいの小ぢんまりとしたお店であり、地元の常連客で午前中から酒宴が開催されています。とは言えこのあたりは漁師町。どこか開放的な雰囲気があり、私のような一見客に対しても分け隔てなく絡んで接してくれます。
ビールは500円ぐらいだったっけなあ。値段を気にせずガブガブ飲める価格設定であり「〇〇さん、もうそのへんにしとき」と、泥酔に近い状態になる常連客も。ちなみにこれは午前中の出来事です。本題の「かしみん焼き」に入る前に「玉子からやき」から始めましょう。いわゆる岸和田スタイルのオムレツであり、玉子を多めの生地にネギと紅生姜を巻き込んで、醤油ベースのタレで頂きます。味は今あなたが想像している通りのものであり、これが250円で楽しめるのだから堪らない。
主題の「かしみん焼き」の制作に入ります。水溶き小麦粉を生地としてクレープ状に薄く鉄板に伸ばし、たっぷりのキャベツをのせ、更に鶏肉と牛脂のミンチを乗せて焼いていきます。関西風のお好み焼きというよりは、広島風のお好み焼きに近いスタイル。ちなみに脇の鶏肉は私がツマミとして注文した「ひね鶏」と「砂ずり」です。
まずは「ひね鶏」と「砂ずり」が焼きあがりました。そもそもの業態である鶏肉卸売店としての実力が最もストレートに伝わるツマミであり、前者は若鶏にはない圧倒的な歯ごたえと深いコクが印象的。後者は特有のシャリシャリとした小気味よい食感が際立っています。これらがそれぞれ300円(写真のブツ全体で合計600円)なのだから、生まれてきてくれてありがとう。
ちなみに若鳥や皮、ぼんじり、レバーなどなど様々な部位も用意されており、鶏肉を焼いたんをメインに飲み続けるのも楽しそうです。
「かしみん焼き」が焼きあがりました。先ほど「広島風お好み焼きのスタイル」と述べましたが、それよりは生地は厚くモチモチした食感。キャベツは程よく蒸し焼き状態となり甘味が増しています。鶏肉は恐らく「ひね鶏」を用いており、この独特の食感が料理に強い個性を与えています。「ひね鶏」の脂質の少なさは牛脂のミンチで補っており、なるほど色々と理にかなっている。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり2千円かそこらと大変お値打ち。また、「ソウルフードや名物に旨いものはない」とよく言われますが、「かしみん焼き」については誰が食べても素直に美味しく楽しめるはずです。私が保証します。岸和田城の近くなので、観光に訪れた際に併せてどうぞ。

ところで、このあたりは「だんじり祭」を中心に世界がまわっており、盆や正月を凌ぐほど生活のすべてを規定する行事です。祭の時期は仕事や学校もお祭りモードへと切り替わり、市民はそれに合わせて長期休暇を取得します。この時期に結婚式を挙げるひとなんて誰もいないくらいです。お土産には9月始まりのカレンダーを是非どうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。







