新栄町駅や高岳駅から歩いて4-5分の場所に位置する「魯忍(ろにん)」。きちんとした日本料理店ながら遅い時間まで営業しており、同業者たちからも重宝されているお店。食べログでは百名店に選出されています。
店内はL字型のカウンター席が10席弱で、テーブルも1卓という配置(画像は一休公式ページより)。静かで落ち着いた雰囲気です。
アルコールは日本酒が充実しており、1合1,400円あたりが最多価格帯。私はビールで喉を潤してから地元のお酒を中心に楽しみました。
まずは春の訪れを告げる瑞々しいひと皿。主役のホワイトアスパラは、特有のほのかな苦味と甘い水分が口いっぱいに広がり、そこに車海老のぷりっとした弾力と濃厚な旨味が重なります。そら豆のホクホクとした食感と青い香りも心地よいアクセント。全体をまとめるのは、艶やかな黄身酢。卵黄のコクと程よい酸味が、素材それぞれの個性を優しく包み込みます。
酒徒を唸らせる趣向が凝縮された盛り合わせ。中でも私は「タコの柔らか煮」や「カラスミ餅」に貝類を炊いたんがお気に入り。これだけで1合は余裕で飲めてしまいます。
うなぎとワラビ。鰻は小鍋の中で脂が適度に溶け出し、身はふっくらと、皮目はとろけるような質感に変化します。そこに合わさるワラビの独特なぬめりと、山菜特有の野性味のある香りが、鰻の濃厚な脂を上品に中和。出汁には鰻の旨味が溶け込みつつも、ワラビの風味が清涼感を添え、最後の一滴まで飲み干したくなる奥深い調和が生まれます。
お造り盛り合わせ。マグロを千切りの長芋と共に愉しむのがいいですね。赤身の鉄分を含んだ酸味とトロの甘みが、長芋のシャリシャリとした食感と瑞々しさに調和します。サバの炙り鮨も香ばしく、サバの力強い旨味と脂が記憶に残りました。
焼き物の主役は仙台牛。きめ細やかな赤身の旨味と甘い脂の質が格別で、噛むたびに肉汁が溢れます。脂ののった白身魚もリッチな味わい。添えられた蓮根や椎茸といった野菜も脇役とするには惜しいクオリティの高さです。
茶碗蒸しにはアオサとタケノコ、白魚を。アオサの深い海の香りが出汁の旨味をより鮮明に引き立て、筍の食感は春の訪れを象徴し、白魚の繊細な甘みとほのかな苦味は優しい出汁の風味に奥行きを与えています。
揚げ物は春の山菜を中心に楽しみます。薄衣を纏うことで香りとほろ苦さが凝縮され、野生のエネルギーをビンビンに感じる。ウニやアワビなど豪華な食材もあり、加熱することで磯の芳醇な風味が増しています。
〆のお食事は蕎麦。細打ちながらもしっかりとしたコシがあり、啜り上げた瞬間に蕎麦粉の香りが鮮やかに立ち上ります。つゆは出汁の深みが効いたキリッと辛口。これまでの濃厚な料理の余韻を心地よくリセットしてくれる締めくくりです。
甘味としてわらび餅とイチゴのシャーベットを楽しんでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上のコース料理が1.5万円で、酒やら税やら含めてお会計は2万円ほど。王道の日本料理をしっかり楽しんでこの支払金額はリーズナブル。春の息吹を五感で楽しみつつ、どこか独創的な遊び心もある。値段を含め、バランス感覚優れた日本料理でした。
関連記事
日本料理は支払金額が高くなりがち。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの日本料理ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い日本料理なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- 乃木坂しん ←肝臓を整えてからどうぞ。
- かどわき/麻布十番 ←トリュフ!トリュフ!トリュフ!
- しのはら/銀座 ←予約困難となって当然だ。
- おぎ乃/赤坂 ←赤坂にミラクルな店が爆誕しました。
- 割烹 新多久(しんたく)/村上(新潟) ←魚は新鮮さが全てではない。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾(石川) ←能登半島にゴールデンルーキー現る。
- 御料理 一燈(いっとう)/福井 ←福井に来る機会があれば必ず予約を入れましょう。
- 比良山荘(ひらさんそう)/湖西(滋賀) ←鮎をたらふく食べ、熊肉に舌鼓を打ち、マツタケをザルのように食べてこの支払金額はお値打ち。
- 木山(きやま)/ 丸太町(京都) ←京都で一番好きなお店。
- カモシヤ クスモト/福島(大阪) ←独学でもトップに立ててしまうのか。
- 島之内 一陽/難波 ←カジュアル日本料理の最高峰。
- みつき/鳥取駅 ←この質のカニをこの価格で提供できるのは地の利。
- 馳走 卒啄一十(ちそう そったくいと)/広島市 ←中国地方、いや日本全体を含めてもトップクラスに好きな日本料理店。
- 御料理 まつ山/黒崎(北九州) ←北九州の旅程に是非とも組み込みたいお店。
- 日本料理 幸庵/藤沢 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?











