鉄板焼き 恵伝(EDEN)/恵比寿

恵比寿ガーデンプレイス近くの「恵伝(EDEN)」。「江戸フレンチ」を標榜する鉄板焼き屋であり、うかい亭出身のシェフが気炎を吐きます。江戸フレンチって何?
店内はカウンター席に加え、テーブル席と個室(画像は食べログ公式ページより)。一般的な鉄板焼屋のように全席に鉄板ライブ会場があるわけではなく、調理したものを配膳していくスタイルです。
アルコールは高くなく、例えば生ビールは880円と、この手のレストランとしては良心的。注文のたびに柄が変わるラテアートみたいな泡が面白い。
まずはフラン。黒毛和牛のブイヨンをベースとしているそうで、重厚な旨味とコクを卵の滑らかな舌触りを用いて上手く表現しています。彩りと爽やかな苦みを添えるのは万願寺唐辛子で、味わいに奥行きを与えます。
タチウオとマグロ。タチウオは鉄板で皮目を香ばしく焼き上げ、脂の甘みと身のふっくらとした食感を際立たせ、マグロは赤身の締まった旨みをそのまま活かして仕立てます。バターミルクっぽいニュアンスのソースとフレッシュなハーブが鉄板焼きらしからぬ演出。ちなみにお魚は著名な仲卸「さかな人」のムッシュ長谷川から直送される神経締めのブツだそうです。
続いてアワビ。肉厚な鮑を鉄板でじっくりと火入れした後、藁で瞬間燻製にすることで、香ばしい燻香と鮑本来の磯の旨みを閉じ込めています。甘みのある無花果と夏野菜を合わせ、酸味爽やかなカラマンシーソースで仕上げており、なるほどこれは美味なるフランス料理である。
主役のお肉は黒毛和牛のランプ。赤身の旨味と適度な脂がバランスよく、ジュワッと溢れる肉汁を堪能します。やっぱ牛肉って旨いなと思わせる、直球勝負のメインディッシュでした。
〆のお食事につき、ガーリックライスは追加800円という精神的に無理なシステムだったので、大人しくデフォの素麺でお願いしました。これが中々美味しくって、冷たく締めた喉越しの良い麺に、出汁の効いたつゆを合わせ、大根おろしのやさしい辛みと、みょうがやネギの爽やかな香りを添えることで、後味を軽やかに仕上げます。鉄板焼きと言えば脊髄反射でガーリックライスを注文しがちですが、これはこれでありよりのあり。
巨峰のアイスクリームと温かいお茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のランチコースが8千円ほどで、軽く飲んでお会計はひとりあたり1万円ほど。「江戸フレンチ」なる妙なコンセプトに恐る恐るお邪魔しましたが杞憂に終わりました。平日ランチはフォアグラとハンバーグのロッシーニ風などが4千円台で楽しめるそうなので、次回はそちらを試してみたいと思います。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
焼肉ではなく、洋風の肉料理をまとめました。ステーキやローストビーフがテンコ盛り。赤ワイン片手にガブガブ楽しみましょう!

レストランでの火入れを家庭で再現することに主軸を置いた稀有な本。「焼く」「揚げる」「ゆでる」「蒸す」「煮込む」「混ぜる」「漬ける」など、基本的な調理ほど論理的に取り組む必要があることを得心しました。肉の基本。これを知ると知らないでは大きく姿勢が異なります。

シュラスカリア・ブラジリアン・グリル(Churrascaria Brazilian Grill)/ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)

ダイヤモンド・プリンセス号におけるシュラスコレストラン「シュラスカリア・ブラジリアン・グリル(Churrascaria Brazilian Grill)」。常設ではなくデッキ14(リド・デッキ)中央から後方に広がるメインビュッフェ施設「ホライゾン・コート(Horizon Court)」の一区画を転用するポップアップ型のレストランです。
座席はウォークインのみで予約不可。店内はブラジル国旗などで雰囲気を演出しますが、あくまでビュッフェ会場の一角なので、高級感・静寂感・プライベート感はありません。カバーチャージが必要なレストランではありますが特別感は薄い。
とは言え「ホライゾン・コート(Horizon Court)」のビュッフェよりは食材のクオリティが高くラインナップも豊富。寿司の用意もあり、「マコト・オーシャン(Makoto Ocean)」の鮨で物足りない思いをするのであれば、割り切って当店で楽しむのも良いかもしれません。
特設のバーカウンターも用意されており、その場でブラジルの国民的カクテル「カイピリーニャ(Caipirinha)」も用意してくれます。14USDと中々のお値段ですが、「プリンセス・プラス(Princess Plus)」および「プリンセス・プレミア(Princess Premier)」購入者であれば実質無料(込み料金)で楽しむことができます。
主題のシュラスコ・グリル。ピカーニャ(牛イチボ)やフィレミニョン、牛リブをはじめ、バーベキューポークリブ、パルメザンチーズ衣の豚ロース、ラムチョップ、ブラジリアンソーセージなどが次々と用意されます。
卓上にはシュラスコ屋でおなじみのシグナル・プレートが用意されているのですが、けっきょく赤(ストップ)を指示していても、「これは旨いから食べて欲しい。一口でいいから!」と次々に勧められているので、実態として機能していません。こういう雑な感じが海外船の醍醐味である。
お口直しにはシュラスコ定番の焼きパイナップル。皮をむいた丸ごとのパイナップルを長い串に刺し、ブラウンシュガーやシナモンをまぶしてじっくり焼いたものです。ちなみにシュラスコでパイナップルを食べるのは、パイナップルに含まれる酵素「ブロメライン」がタンパク質を分解する働きを持っており、大量の肉を食べた後の消化をサポートする役割を伝統的に果たしているそうです。
我々は定額パッケージ「プリンセス・プラス(Princess Plus)」を購入していたので追加の支払金額は不要で楽しめましたが、そうでなくてもカバーチャージ14.99USDというのは非常にお値打ち。ビュッフェ会場の一角という雰囲気さえ気にならなければ、費用対効果は抜群のレストランです。

食べログ グルメブログランキング
人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

漁港回転寿司 鮨かば 境港波止場店(すしかば)/境港(鳥取県)

鳥取県境港市にある人気の回転寿司「漁港回転寿司 鮨かば 境港波止場店(すしかば)」。山陰で展開する「炉端かば」系列(かばはうすホールディングス)が運営。境港の岸壁沿いにある複合施設「HATONOVA(ハトノバ)三光丸 境港」内にあり、同じ建物に魚の直売店「三光水産」や「境港地魚食堂 魚倉」も入っています。
私はネットから予約していたのでスっと素敵なボックス席へとご案内頂けましたが、かなりの行列が生じていました。それほど大きな店舗でもないので、時間の限られる旅行者は面倒がらずに予約して訪れることをお勧めします。
看板メニューは「生本まぐろ」。  一度も冷凍していない生本まぐろを常時仕入れているそうで、コチラは中トロ、赤身、ネギトロの3貫盛り。そこそこ美味しいですが、まあまあ高いので、値段相応といったところです。
サービス(?)でマグロのカマの唐揚げもお出し頂けました。調味が強くガリっと揚がっており、ビールが欲しくなる味覚です。

ところで当店はたオリジナルの「昆布だし醤油」に加え、地元の「美保の花」醤油を用意しており、また、提供されるお茶には地元の老舗「ながた茶店」が開発した「鮨のための緑茶」が配備されており、細部にわたる地産地消とストーリーテリングが貫かれています。
こちらも自慢のカニの軍艦。ご覧の通り、盛れてるあたし最強じゃん。マグロに比べるとお値打ちな気がする。
カニを用いたお椀からはカニのエキスがビンビンに感じられ、先の軍艦よりもカニの風味が強く感じられるほどです。
地魚の3貫盛。ヒラマサの炙りに宿毛ダイに、もう一種は何だっけな。なるほど東京のカジュアルな寿司店ではアクセスできない味覚であり、先のマグロやカニよりも気づきは大きいかもしれません。
恐らく名産品というわけではありませんが、ビジュに負けて鰻の軍艦を注文してしまいました。調味も強く分かり易い味わいで、後悔はしていません。
イトヨリ。やはり東京の回転ずしでは出逢うことのないタネでしょう。脂は控えめながら上品な甘みと繊細な旨味が心地よい。
コチラはグレ。いわゆるメジナであり、磯魚特有のしっかりとした歯ごたえと、コリコリとした食感が持ち味です。
生ずわいがに刺身。この1皿が858円というのはお値打ちですが、先のイトヨリやグレが1皿300円代ということを考えると、モノの値段というのは実に難しい。
小柱軍艦焦がし醤油いくらのせ。境港の名産でも何でもない、ただの小柱軍艦にイクラを載せただけの軍艦ですが、旨いものは旨い。ご当地感という文脈をあっさり捨て去り、旨さの足し算だけに特化した潔い一皿です。
茶碗蒸しにはカニとイクラがトッピングされ、中には海老などの海産物がゴロゴロ。玉地にも魚介類のエキスが活きており、当店のパワーが集結したような迫力があります。
琴浦グランサーモン。鳥取県琴浦町にて、秀峰・大山の清らかな地下水で大切に育てられるブランド魚です。コチラはハラミの部位を用いており、上質な脂の甘みと濃厚な旨味を愉しみつつ、なるほど名水育ちならではの臭みのなさが際立ちます。
えんがわカラスミ。当然のごとく境港とは何の関係もない大衆珍味の悪魔的融合ですが、旨いものは旨い。
カンパチ。こちらも境港産というより、鹿児島や九州など全国から仕入れているタネと考えるのが妥当そうですが、この身の引き締まった食感と脂のキレに没頭することこそが、回転寿司の正しい愉しみ方だと言えるかもしれません。
とろはみ出しもん。タブレットに表示された写真に惹かれて注文したのですが、実態は貧相な鉄火巻でした。最後の最後でホホホのホー。
以上を食べ、お会計はひとりあたり8千円ほど。これはマグロやカニを始めとする高価品をジャンジャン注文した結果なので、あまり参考にしないでください。また、特に印象に残ったタネは近海物なので、それらを中心に組み立てることが正しい戦略でしょう。水木しげるロードや水木しげる記念館からも近いので、境港観光のついでにどうぞ。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
すしのにぎりについての技術を網羅した決定版的な書籍。恐らくはプロ向けの参考本であり資料性の高い便覧でしょうが、素人が読んでこそ面白い傑作。写真がとても美しく、眺めているだけでお腹が空いてきます。

ハイアットハウス金沢(Hyatt House)

2年ぶりの「ハイアットハウス金沢(Hyatt House)」。むかしむかし1か月単位でお部屋を借りていた時期があり、久しぶりに帰ってきたなあというお気持ちです。今回はここ2年の間での変化点について記していきます。
今回は「キッチン コーナー スイート ツイン」にご案内頂けました。日本風に言うと1LDKの53平米であり、まさに「ハウス」な住み心地の良さです。細かな仕様については以前滞在した際に丁寧に記しておきましたので別途ご確認ください。
最も大きな違いはロビーラウンジの運用でしょう。宿泊者はビールや日本酒、各種ソフトドリンクが11-20時の間いつでも自由に利用できるのですが、120分1,000円(アルコールを含む場合は2,500円)でビジターにも開放しており、宿泊者としては複雑なお気持ちです。
また、朝食はハイアットハウス側のレストランでの提供を取りやめ、ハイアットセントリック側のレストランでの提供に統合されています。
肝腎の朝食ですが、相変わらず簡素化が進んでおり、デビュー当時のオーダー制料理+ビュッフェの時代を知る身としては寂しい限り。というかこのラインナップで4,807円って高くないか?「パークハイアット東京」の7千円の朝食が安く感じてしまうほどです。
また、スタッフもゲストも殆どが外国人であり、純ジャパの私がアウェイまであります。西成の「ちとせ」とまでは言いませんが、完全にインバウンド需要へ振り切った光景にはどこか切なさが漂います。快適さは相変わらずでしたが、快適さの中身が「日本のホテル」から「日本にあるホテル」へと静かに置き換わっていく過程を、2年ごとに定点観測しているような気分。相変わらず快適な滞在ではありましたが、やはりコロナの時代は楽しかったな、尊王攘夷運動の気持ちもわからんでもないな、と感じた滞在でした。

食べログ グルメブログランキング

関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。

ess. (エス)/神泉

神泉の裏路地に佇む「ess. (エス)」。広尾の「イル・テアトリーノ・ダ・サローネ」で共に厨房に立った2人のシェフが再びタッグを組みました。店名はラテン語の「essentia(本質)」から取っているそう。
店内は照明暗めの洒落た空間で、客席は調理の臨場感をダイレクトに体感できるカウンター席とテーブル席で構成されています(画像は食べログ公式ページより)。スタッフもゲストもイマドキというか何と言うか、白のビッグTにメガネしてそうな雰囲気です。
割とカジュアルな雰囲気ながら酒の値付けは全然カジュアルでなく、例えばグラスのシャンパーニュは3千円。我々はボトルを中心に楽しんでいたのですが、うっすらとドリンクで可能な限り稼いだろ感が滲み出ています。
まずは生ハム。スロヴェニア産のクラフト感あるものを極薄にスライスし、口溶けの良さを演出します。普通に美味しいのですが、スライサーがとても高価であることなどはイチイチ言ってこなくてよろしい。ゲストが「今日のアタシは300万円の指輪をしてますの」「オレは2千万円の車に乗って来た」とかイチイチ言って来たらダルいでしょう。
マグロはトマトと共にタルタル状にし、タルト生地に乗せて頂きます。マグロの上質な赤身の鉄分感や脂の甘みに対し、トマトの鮮やかな酸味と旨味が寄り添い、重たさを感じさせない心地よいバランスを構築しています。ちなみにマグロは「やま幸」から仕入れているそうで、やはりそういう情報も食べてもらわないと気が済まないタイプのようです。
カルパッチョのお魚は愛媛の一流仲買・濱田さんの神経〆だそうで、やはり普通に美味しいのですが、やはりイチイチうるせえなあというお気持ちです。料理を言葉で補足するなよ味で勝負しろ。「ADI(アディ)」のサスエサスエ病を思い出しました。
続いてタコ。こちらも愛媛の濱田さんから仕入れているようで、今年一番「ハマダさん」と聞いた夜かもしれません。まるで本人不在の誕生日会のようである。黙って出せば普通に美味しいのに勿体ないなあ。タコもハマダさんも気の毒である。
冷製パスタは選択制で、スペシャリテを選ぶと追加料金が2千円。あまり褒められたシステムではありませんが、キャビアと白海老が乗ってプラス2千円とは悪くない価格設定です。白海老の上品な甘みとキャビアの力強い塩気・ミネラル感がキリっと冷えたフェデリーニに良く合う。
ラビオリ。2年熟成させたメークインを用いており、糖度と旨味が増してうまうま君ヒヒィーン。さらには旬のトウモロコシも加わり、まさに甘美なパスタ料理です。
ボロネーゼは熊本あかうしを用いているそうで、肉々しさが際立ち思わず赤ワインを注文。花ニラのパンチのある香りが肉の旨味を引き出しており、四捨五入すると肉料理かもしれません。
メインは蝦夷鹿。澄んだ赤身に鉄分を含んだ奥深い風味。脂っこさを感じさせず、噛みしめるほどに肉本来のピュアな美味しさが広がります。付け合わせのズッキーニの軽やかな食感と甘みでバランスを取っているのもいいですね。
デザートはミルクアイスをベースに4種のトッピングから選択することができます。私はピスタチオを選択。ピスタチオのナッツ香と特有のオイリーな旨味の良さは当然として、土台のミルクアイスが素晴らしいですね。親しみ易くも豊かなコクがたっぷりで、実に満足感のある締めくくりです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は3万円強。飲み物代がかさみましたが、このクオリティのお料理が1.5万円(ベース1.3に追加0.2)というのは実にお値打ち。何でもかんでもトークで補足してくる姿勢は気になるところですが、いずれ自信が育てばその点も解消されることでしょう。2軒目利用や遅い時間でもOKとのことなので、使い勝手の良いお店。次回はアラカルトで注文したいと思います。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。