肉料理ふくなが/守山(滋賀)

牛肉料理としては全国でトップクラスと評判の「肉料理ふくなが」。店主のご実家は東近江市で「マルキ牧場」を経営する牛肉一家。食べログからはブロンズメダルを受賞しています。

JR守山駅(大津と近江八幡の間あたり)から歩いて10分ほどの住宅街であり、駅から歩いて真っ直ぐ一本なので迷うことはないでしょう。隣に専用駐車場もあります。
店内は厨房に面したカウンター席と個室がふたつ。割烹料理店のような誂えでライブ感は抜群。店主をはじめスタッフは皆ニコニコとしており親戚のように接してくれます。調理器具は全てピカピカに磨き上げられており、どこかインダストリアルな風情すら感じさせます。

福永義規シェフは元々フレンチの料理人であり、京都で10年間経験を積んだのち、2015年に当店を開業しました。
アルコールは中ビンが700円かそこらでグラスワインでも千円を切ります。やはりフランス料理出身だけあって、ワインの品揃えが豊富。グループで訪れる場合はボトルで注文すると良いでしょう。
我々は12,000円のランチおまかせコースをお願いしました。まずは前菜盛り合わせで、手前はカメノコ、白いのはセンマイの味噌和え(?)に牛肉のテリーヌ。うひょー、この牛肉は旨いですねえ。ひと口食べただけで素人でもそうとわかるストレートな美味しさであり、この日の勝利を確信しました。白眉はセンマイで、内蔵でこんなにキレイな味覚が表現できるんだと度肝を抜かれた瞬間です。
続いてヒウチの部分をしゃぶしゃぶで。しゃぶしゃぶと言っても火を通した後に白菜のお出汁を流し込み塩昆布をトッピングし味わいを補強します。このしゃぶしゃぶも旨かったなあ。これまでは「しゃぶしゃぶって所詮はポン酢の味でしょ?」という惰性の境地に居たのですが、このひと皿はひとつの料理として完成した味わいでした。
ホルモンのアヒージョ。ムッチムチのプリンプリンの口当たりで、脂を油で食べるという背徳感を楽しみます。ほどよくニンニクも配備されており食欲が刺激される。
カブのスープ。カブ本来の優しい味わいが活きており、心地よいハーフタイムを演出します。
お口直しにサラダ。シンプルな誂えですが野菜そのものが美味しく、その新鮮な味覚がこれからの肉本番に向かって味蕾をリセットしてくれました。
スペシャリテのハンバーグ。一見何の変哲もない、やや小ぶりのハンバーグですが、、、
くぱぁすると何とも官能的なタッチに赤身肉がトロリと流れ出てきます。峻烈な旨味と甘味。心地よい舌ざわり。もはやこれをハンバーグと称するには適切ではない味わいであり、ブラインドで食べると牛肉だとわからないかもしれません。それほど胃議のある逸品です。
スタッフがニヤつきながら土鍋の炊き立て白ごはんを持ってやって来ます。少しだけとっておいたハンバーグとその肉汁を混ぜ合わせて口にすると旨いのなんのって。それほどサシは強くなく脂のニュアンスは感じないのですが、知らず知らずのうちに溶け出し米の一粒一粒の間に巧妙に忍び込む肉汁たち。太陽に近づくイカロスはこんな気分だったのかもしれません。
クライマックスはもちろんステーキで。やはりそれほどサシは強くなく、赤身の旨味が支配的。近年の肉料理屋はバッカルファットもかくやという真っ白な牛肉を好んで出しますが、当店のステーキは「肉の味とは本来こうである」と一石を投じる味わいです。備え付けのコロッケにはミンチ肉が組み込まれており享楽的な味覚です。
そうそう、先の白ゴハンも絶品でしたが、お漬物や肉味噌、なめこも規範的な美味しさです。いわゆる名店と呼ばれる店は、こういったサイドメニューで手抜きを一切しないものである。
オマケで牛の脂で揚げたポテトチップスを。酒のラストひと口を幸せに締めくくることができました。
デザートはシンプルなババロアなのですが、バニラたっぷりで実に濃厚。香って良し味わって良しの、質実剛健な美味しさです。
フレーバーティーで〆。ごちそうさまでした。

以上を食べて税サ込1.2万円。この日は派手な夕食を予約していたのでランチは控えめのコースをオーダーしましたが、その選択を激しく後悔したほど当店の料理が旨かった。装飾的なところは一切ないのに洗練されており、牛肉を一番美味しく食べるノウハウは当店に詰まっているかもしれません。祇園「安参(やっさん)」のような肉割烹とはまた異なる方向性。首都圏の人にとっては馴染みの無い土地ですが、京都旅行の行き帰りに立ち寄ると幸せが訪れます。私が保証します。

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