JR田町駅の芝浦口からペデストリアンデッキで直結する「msb Tamachi ショップ&レストラン」においてダントツのランチ行列を誇る「手包みわんたん麺 広州市場(こうしゅういちば)」。行列を避けるために開店と同時にお邪魔したためすぐに着席できましたが、退店時には20人から30人にも及ぶ長い行列が生じており、人気のほどが伺えます。
店内は思いのほか広く、カウンター席にテーブル席、屋台風の席を含めると60席近くあるでしょう。いわゆる「行列のできるラーメン屋」ではあるもののテーブル席が多く用意されており、グループ客にも優しいのが特徴的です。また、客が列に並んでいる間に注文を取るシステムを導入することで着席後すぐに料理が提供される体制を確立しており、行列の長さの割に待ち時間は短いように見えました。
私は「ランチご飯セット」の「粗びき肉汁雲吞麺(醤油)」と「魯肉飯(ルーローハン)」を注文。合計で1,300-1,400円ぐらいだったと記憶しています。周りを見渡すと雲吞麺のみを単品で注文しているゲストが多く、私もそろそろ自動的にセットものを注文してしまうマインドを何とかしたい。
主役の雲吞は滑らかでツルンとした口当たりが特長的。その薄皮を破ると、粗挽きにされた豚肉のしっかりとした食感と共に、閉じ込められていた熱々の肉汁が溢れ出します。ちなみに雲吞はレジ横の作業台で手際よく包まれていく様子が見え、鮮度と本物への自信を視覚的に伝え、食事への期待感を高める効果的な演出となっています 。
香港や台湾あたりで食べる雲吞麺につき、雲吞そのものは旨いもののスープと麺が微妙なことが多いのですが、当店はスープと麺も美味しいですね。中太の麺はモチモチとした食感で雲吞の生地に勝るとも劣らない味わい。背脂たっぷりのスープと共に、雲吞ナシのラーメン単品でも充分やっていけるクオリティに感じました。
ご飯セットは「煮豚飯」か「高菜飯」を選ぶことができるのですが、130円の追加料金で「魯肉飯(ルーローハン)」を選択することができます。王道の魯肉飯とは方向性が異なり豚肉の原型を留めたスタイルですが、これはこれでありよりのあり。八角などのスパイスがほのかに香り、異国情緒を感じさせながらも日本人の口にも合う、甘辛く濃厚な味わいに仕上げられています。
美味しかったし、何より安い。私はリッチなプランで注文しましたが、手作りの雲吞が10個も乗ったラーメンを千円程度で終日楽しむことができるのだから堪らない。お昼時の行列は困ったものですが、通し営業ですし、ピークを外して訪れればOKでしょう。単品のツマミの用意もあるので、飲み屋として使うのもアリだ。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- 中華銘菜?陽(センヨウ)/東高円寺 ←率直に美味しくアラカルト可なのが嬉しい
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン