The Canopy/CBD(シドニー)

ビルズに象徴されるように、朝食ならびにコーヒー文化が発達したオーストラリア。「予約の取れないディナー!」のようなお店の情報はとんと入ってこないのですが、「行列する朝食専門店」のような山ほどあるのがシドニーです。
そのような人気店のうちのひとつがココ「The Canopy(キャノピー)」。CBDというビジネス街に位置するのですが、この日はクリスマス休暇に既に入っているのかガラ空きでした。
「オーストラリアは素材の国である」と結論づけていた私は、ややこしい調理を必要としなそうな「Breakfast Plate」を注文し、その判断に満足する。卵の味がとにかく濃く、ここまで旨い卵料理は日本を探してもなかなか無い。マッシュルームは土の逞しさが感じられる風味であり、トマトの強烈な甘味にも心を奪われる。白眉はベーコン。肉の味わいがきちんと感じられ、ベーコンである以前に肉であることを再認識させられる美味しさがありました。
妻は「Corn Fritter」を注文。しかしながら、トウモロコシのかき揚げ的なものを想像
していた彼女は、ラーメン二郎のような不吉な暴力の気配を感じるホットケーキを目の前にして愕然とする。だから奴らにロマンチックな料理など無理だと言ったろう。「1枚あげるね★」超いらない。

味わいは具材にトウモロコシを多用したお好み焼きの出来損ないのような味わいであり、まずくはないが、うまくもない。お好み焼きソースとマヨネーズが欲しくなるベクトルでした。
各店の実力をマッチドペアするために、今回の旅行においては終始一貫してカプチーノ。やはり唸るほど旨い。調理技術はチンプンカンプンなことが多いのに、なぜコーヒーは抜群に美味しいのか、味覚の成り立ちの理解に苦しむ。

妻はオセアニア発でジワジワとブームが来つつある「Flat white(フラットホワイト)」を繰り返し注文。フラットホワイトとはカプチーノの泡抜きのような飲み物であり、肌理の細かいカフェラテのようでもある。なぜか日本で飲めるお店が少ない。
お会計はひとり2,000円程度。これは安いですねえ。都内の取り澄ましたカフェやホテルラウンジであれば3,000円はゆうに超えてしまう質ならびに量です。私は東京の生活においては「朝食抜き昼食控えめ夕食はカーニバル」というカロリー構成なのですが、仮にシドニーに住んだとすれば、朝食をメインに据え、夕食は抜きでもいいかなと思わせる満足度です。

ビルズはたまたまシドニーで撮影中のレオナルド・ディカプリオが通ったために一世を風靡することとなりましたが、仮に当店が最初に彼の目に留まっていたならば、世界の朝食事情は少し違っていたかもしれない。そんな妄想を膨らませてくれる見事な朝ごはんでした。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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