2019年で入山禁止に!急げ!エアーズロック登山!

オーストラリア大陸の中心にある世界で2番目に大きい一枚岩(1番は西オーストラリア州のマウント・オーガスタス)。その泰然自若とした外観はまさに「地球のへそ」に相応しい。西洋人の探検隊が1872年に発見し、そのスポンサーであるヘンリー・エアーさんの名にちなんで「エアーズロック(Ayers Rock)」と名づけられました。私は訪れるまでずっと「空気の岩」だと思ってましたぁ。
エアーズロックはアボリジニにとっての聖地。我々のような外人が登山に臨むことをあまり快くは思っていないようで、2019年10月26日をもって全面的に入山禁止となる予定です。
ただし現在であっても気候条件やアボリジニのイベントがある日などに因っては登山NGであり、年間を通しても100日ぐらいしか解禁されていません。加えて12月は解禁率が最も低く10%以下であり、例えば2017年の12月は1日も入山できなかったとのこと。
私が訪れたのも12月であり、当然に登山NGであろうと全く期待していなかったのですが、やはり私は人に説明できない何かを確実に持っているらしく、綺麗に入山OKと相成りました。
レッドブルのヒルクライムレースよろしく四つん這いの姿勢からスタート。まさに岩と言うべきツルツルとした表面は危険この上なく、きちんとグリップのきいた靴でないと厳しい。この時点で参加者の3分の1ぐらいが身の危険を感じて脱落。妻は富士山屋久島などの登山を共にこなしてきた、普通の身体能力を有した女子ではありますが、そんな彼女であってもリタイアするぐらい、想像以上に厳しい登山です。
しばらく進むと鎖場が。なんだ鎖があるんじゃんと軽んじる勿れ。最大で46度の傾斜があり常に強風が吹きつけるので、鎖が無ければ一瞬で吹き飛ばされることでしょう。加えてこの鎖が結構重く、普通に腕がヘタってくる。
30分も進めば半分以上がリタイアし、もはや数えるほどの仲間しか残されていません。
麓では生意気そうな小学生が、途中で泣き叫びながら折り返しリタイアしたのが印象的。あの、恐怖に駆られた叫び声って良くないですね。なんとか正気を保っている登山者の不安さえも煽ることとなり、うっかり集団ヒステリー状態に陥りそうになります。
鎖場が終わるとちょっとした広場があり小休止。この時点で高さは3分の2、距離として3分の1を登ったことになります。
ここからは白いペンキの目印に従って進みます。鎖場が終わったからといって決して楽ではなく、モトクロスバイクの大会のようなアップダウンが延々と続き心が折れそうになる。
この日は確か50人乗りのバスが3台ほど駐車場に止まっていたのですが、ここまでくると、もう数えるほどしか登山客はいません。実際、エアーズロックでは事故が多発しており、これまで何人ものゲストが命を落としているそうな。
延々と似たような風景が続くため遠近感がなく、いつまで経っても頂上にたどり着かない不安に駆られます。もちろん日陰などは一切なく、朝の8時台だというのに気温は30℃を突破。普通に過酷。個人的には富士山や屋久島よりもキツく感じました。
片道1時間強をかけてなんとか頂上に到着。頂上だからといって何か特別なものがあるわけでもなく、ツアーバスのタイムリミットも迫っていたので、数枚自撮りしてすぐに下山。
下山といっても岩場のアップダウンが続くので、それほど下山している感はありません。帰りのバスの出発時刻は9:15の時間厳守であり、普通に時間ギリギリ。私は決して悪いペースではないはずなのに、この慌ただしさ。
四つん這い地点でリタイアした妻と合流。登りよりも下りのほうが怖くって、スノボで転んだ後のような姿勢でチビチビと数センチづつ降りていきます。

私は何とか時間内に無事戻ってくることができましたが、まさに命からがらといった表現が適切なほど、心から危険な登山でした。何と言っても登山の名所としてきちんと整備されていないのがアレですね。事故があった際に助けてくれるプロなどはどこにもおらず、一番近くの病院まで片道500km弱というのも恐ろしい。
白血病患者が登頂するなど夢のまた夢、虹の向こうであり、大のオトナがリタイアしても決して恥ずかしくない難度の山です。これは入山禁止にして正解。あまり人にはオススメできない観光地ですが、どうしても行きたい方は、
  • イボイボのついた軍手(鎖がつかみやすくなる)
  • トレッキングシューズ(足元のグリップ必須)
  • リュックサックに1リットルの水(両手が自由じゃないと危ない)
  • 帽子(心から直射日光)
をお忘れなく。本当に危ないんだからね。


食べログ グルメブログランキング

オーストラリア目次

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。