O Bar and Dining/ロックス(シドニー)

シドニー在住の友人に「味は普通だけど、景色は確かだから!」とご紹介頂きました。高層ビルの最上階近くで客席が1周くるりとまわる、オークラや東京交通会館、バンクーバーのCloud 9 Revolving Restaurant & Loungeに似たコンセプト。
ワインの注文に一苦労。ワインリストからローカルのスパークリングワインをピックアップするのですが悉く売り切れ。旅行で来たから地元のワインが飲みたいと言っているのに平然とフランスワインを勧めてくるソムリエ(?)の思考回路も謎。

何度もセラーに確認に行ってもらい、ようやくたどり着いた泡がコチラ。その騒動の後では美味しさも中くらいである。

ワインのセレクションに挟持はなく、コルクの開け方・注ぎた方も滅茶苦茶だったので、あまりワインに思い入れの無いお店なのでしょう。
前菜とメインの2皿コースをオーダー。ブラック・マロンという聞きなれない食材があり15ドルの追加料金も必要だったので興味を持って注文してみると、栗ではなく甲殻類が届きました。なんでもオーストラリアではザリガニの一種を「マロン」と呼ぶそうな。

車海老とオマールの合いの子のような味わいであり、サイズ感の割に味噌が多いのが特長的。身の離れもよく旨味もあり、実に美味しい1皿でした。
連れはラムの何か。カルアポーク的ほぐし身のラムがクレープのようなものに包まれています。一口頂くと、まずくはありませんが折角のラムの味わいが台無しな調理でもある。ソースは「マカデミアナッツソース」と記載されていましたが、ナッツの風味はあまり感じられず。やはりオーストラリアではややこしい調理技術を求めるのではなく、素材をそのまま焼いただけのような料理が一番のようです。
泡のツマミを出し忘れていることを指摘すると「えへへスミマセン、お詫びに倍盛りにしておきましたっ」と、愛想は良いがポンコツなサービス陣。味そのものは穀物の香りが強くクリームチーズの味わいも上々であり、結果倍盛りにしてもらえて良かったぽよ。
肉料理は和牛。流行っているのかなあ、今回のオーストラリア旅行において妙に「WAGYU」という表記をみかけます。和牛と言ってもサシ部分ではなく赤身であり、香りがよく味も濃い。肉そのものはかなり美味しい。しかしトッピングされた天ぷらの出来損ないのような揚げ物が唾棄すべき存在であり、やはり技巧に走ると失敗するのがこの国の料理人である。大きな仕事をまとめてくる反面、小さなミスを繰り返す。
彼女は豚肉。一口頂きましたが、豚肉の味そのものは悪くないものの、天かすのようなトッピングの存在が謎。私のメインとベクトルが全く同じでした。
コース料理を食べ、ふたりで1本飲んで1万円と少し。おお、これはお買い得ですね。この夜景この雰囲気を東京タワーで実現しようとすると、入場だけで数千円を要することを考えれば悪くないディールです。

シドニーを訪れた最初の夜に概観を掴むという意味で良いレストラン。美食というよりは観光という位置づけでどうぞ。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

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