「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ (OSTERIA ENOTECA DA SASINO)」と共に青森を代表するイタリアン「アル チェントロ(AL CENTRO)」。食べログでは百名店に選出され、ゴ・エ・ミヨにも掲載されました。JR青森駅から車で5分ほど、歩くと20分近くかかるかな。白を基調とした一軒家風の佇まいが目印です。
店内はモダンで温かみのある空間でありつつ、ビシっとクロスが張られているのがいいですね。ワインセラーのようなガラスばりの小部屋があるのが特徴的で、座席数はトータルで20席弱といったところです。
ワインは自然派のものが多く、イタリア産のものが中心。ワインリストは無く、マダムと相談しながら選択肢を絞っていきます。もちろんグラスワインの用意もあります。アミューズから素晴らしいですねえ。青森の清流で育った旬の鮎を瑞々しい水茄子と合わせて春巻きに包み揚げた逸品。添えられる菊のマリネからは仄かな酸味が感じられ、鮎の大人の苦みとよく合います。
アマダイのウロコ焼。ウロコはカリッと揚がって食感のアクセントになり、身はふっくらと白身の上品な旨みを引き出しています。合わせるズッキーニやバジルの香りが爽やかに広がり、野菜の瑞々しさが全体を引き立てる一皿です。
ホタテを直火で香ばしく焼き上げました。ホタテの持つ自然な甘みとコクが凝縮され、そこに濃厚なウニと卵黄を練り上げたリッチでクリーミーなソースを注ぎ、もうどうやったって美味しいです。仕上げに削りかける芳醇なトリュフの香りが全体を品よくまとめ上げ、贅沢で記憶に残る官能的な味わいです。
エゾアワビの柔らか煮。柔らかく仕上げたエゾアワビを主役に肝を活かしたソースをたっぷりと注ぎます。添えられたゴーヤの苦味が後味を鮮やかに演出する大人の温菜。和食のニュアンスも感じられ、日本酒が欲しくなる味覚です。
ここでパスタがあったのですが、写真を撮るのを失念。自家製の手打ちパスタ「キタッラ(断面が四角い生パスタ)」を用いたもので、たっぷりの白魚とカラスミを重ねて楽しみます。磯の風味がビンビンに強いひと品で、やはり和風のテイストが感じられました。旨い料理に国境は関係ないのだ。
スペシャリテのカッペレッティ。帽子型の手打ちパスタの中にすりつぶしたトウモロコシを詰め、ウォッシュチーズのソースで仕上げています。トウモロコシの濃厚な甘みとチーズの塩気・コクが引き立ち合う傑作です。
メインは鹿肉。北海道は白糠町のものであり、しっとりと柔らかな赤身肉はクセがなく、野性味あふれる澄んだ肉本来の旨味が噛むほどに溢れ出します。鹿の骨や肉から取ったソースが実に濃厚で、肉の持つ力強さと深みが一層高まります。
デザートはアップルパイ。地元のリンゴの魅力を最大限に楽しむことができ、県外客の我々はとても嬉しい。添えられたバニラのジェラートは実に濃厚で、温かいパイの傍でとろりと溶け出し、全体をまろやかにまとめあげます。
以上のコース料理が13,800円で、酒代にコペルトなどを含めてお会計はひとりあたり2万円ほど。地元の質の良い食材をたっぷりと堪能してこの支払金額はリーズナブル。何よりシェフの手を加え過ぎない姿勢がいいですね。これぞ素材美の尊重。青森で上質なイタリア料理を食べたいのであれば間違いのない一軒です。関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- Totto(トット)/宜野湾市(沖縄) ←テロワール、テロワール、テロワール。
- prospero(プロスペロ)/新栄町(名古屋) ←炭水化物の王者。
- シンポジウム(SYMPOSIUM)/新根塚町(富山) ←富んだ山を体現。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- Orchestra (オルケストラ)/参宮橋 ←ラヴィオーロが旨すぎてビル建ちそう。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- オステリア セルヴァジーナ(OSTERIA SELVAGGINA)/駒込 ←シェフの食に対する執念に近い情熱が、皿の上ですべて報われている。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。











