ひまわり食堂2/富山駅

富山を代表するイタリア料理店のひとつ「ひまわり食堂2」。以前は石倉町で「ひまわり食堂」という屋号で営業していましたが、2024年4月に富山駅前近隣の神通本町へ移転リニューアルオープン。ゴ・エ・ミヨに掲載され、食べログではブロンズメダルを獲得しています。
銀行として使用されていた歴史的建造物をリノベーションしたそうで、店内奥に重厚な金庫扉があるのが象徴的(写真は食べログ公式ページより)。カウンター2席とテーブル2卓のみと、旧店舗時代から席数をグっと絞っています。BGMが普通のラジオ(?)なのがスタイリッシュな空間にアンマッチで印象に残りました。
旧店舗はアラカルト注文を受け付けていましたが、新店舗では18,000円のおまかせコース1本の一斉スタートのみに経営モデルを大転換。ワインペアリングは総量でボトル3分の2ほどの量で12,000円とバランスが悪い。なんだかイマドキの店になっちゃったなあ。
まずは越中貝にキュウリに紫蘇のソースとスプラウト。なのですが、18:00一斉スタートと言いつつ、1皿目の提供が18:21というのはどういうことだろう(なおゲストの入店・着席は18:00より前)。すげえ待たされた割に大した料理じゃねえなあという印象しか残りませんでした。
続いてゼッポリーネ。内部にはマナガツオが組み込まれており、セロリの風味も加わってお洒落な味わい。下にはタマネギのアグロドルチェ(甘酸っぱい煮込み)が敷かれ、キュッと甘酸っぱいコントラストを描きます。
ボテっと白い物体ですが、中には岩ガキが潜んでいます。白いのは生ハムのムースであり、塩気と熟成された旨みが岩ガキの濃密でクリーミーな磯の香味と良く合います。モスグリーンの粉は酢昆布であり、日本的な奥行きも感じさせる味覚です。
続いてグレーな物体ですが、中には赤イカの焼きナス。赤イカのねっとりとした甘みと焼きナスの香ばしいかおりに日本酒が欲しくなる。全体を包み込むのはイカスミとゴーヤと泡であり、味は良いのですが、先の白い料理のプレゼンテーションを引き継いで、ああ、またかというお気持ちです。
ヒゲダラのムニエル。脂の乗りが良く、繊細で上品な旨味も感じられます。ソースにはトマトとココナッツを用いているようで、まろやかでエキゾチックな甘みが面白い、どこかモダンなフランス料理を感じさせるひと皿です。
タコのお出汁で炊いたピラフ。磯の風味がビンビンで、瀬戸内の「たこめし」を想起させる味わい。じっくり煮込まれたマダゴのラグーにプリっとした弾力を主張するミズダコも配備されており、タコの面的な魅力をひと皿で楽しめる構成です。
メインは池多牛の炭火焼き。ソースは無しで、一切の誤魔化しが効かない素材のポテンシャルと火入れの技術を物語るスタイルです。これこれ、こういうのでいいんだよ。こういうのがいいんだよ。旧店舗時代を彷彿とさせる「ひまわり食堂」らしいスタイルです。
付け合わせのサラダについても究極にシンプルで、旧店舗時代のスタイルを引き継いでいます。私はこういうのがいい。回顧厨で申し訳ない。
〆のパスタは豚肉のラグーを塩レモンで調えています。牛肉とはまた違った脂の甘みと肉の旨みを楽しむことができ、レモンの爽やかな酸味と塩気がラグーの濃厚さを引き締め、重くなりがちな味わいに軽やかさを与えています。サイズは「標準」か「少な目」を選ぶことができるのですが、ここはひとつ「大盛り」が欲しいところ。うちのデブがスミマセン。
デザートにはトウモロコシのアイスクリーム。夏全開の強い甘味に特有の香ばしさが感じられ迫力満点。クレープの中にはライスプディングが詰め込まれており、ふたつの穀物が持つ温もりある甘みと香りが心地よく交差します。
お茶菓子とハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。言葉を選ばずに言えば、富山で3万円超な割に随分と退屈なコース料理に落ち着いたなという感想です。以前はこねくり回すことなくいま何を食べているのかハッキリとわかる味と量で、私の好みにドはまりしたのですが、現在は何だか泡とかタレとかばっかしで、10年ぐらい前の東京の流行を食べている感じがします。素材の透明感で推していたアイドルが突然整形して鼻が尖って爆乳になった寂寥感に似ている。

もちろん好みは人それぞれなので、今回の感想はあくまで回顧厨のノスタルジーと捉えて頂ければ幸いです。ゴ・エ・ミヨが評価しているのは紛れもない事実なので、初めて訪れる方にはむしろ今のスタイルの方が刺さるかもしれません。

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