ザ・リッツ・カールトン日光(The Ritz-Carlton Nikko)/日光

 


日光国立公園内に2020年7月にオープンした「ザ・リッツ・カールトン日光(The Ritz-Carlton Nikko)」。避暑地外交の舞台である「レーキサイドホテル」の跡地であり、日光のリゾート地としての復権を企図して東武鉄道とマリオット・インターナショナルがタッグを組みました。
中禅寺湖畔に佇むスタイリッシュな建物。現代的ではあるものの周囲の景観に見事に溶け込んだ外観です。お隣のバッタみたいな色をした「星野リゾート 界 日光」と比べると格の違いが感じられました。
入館して肝をつぶす。ゲストのチェックインが重なったのかロビーがしっちゃかめっちゃかです。ゲストリレーションズの隊長みたいな人に「順番にご案内しますので、コチラでウェルカムドリンクをお楽しみください」と案内されますが、15分以上そのまま放置されました。

ウェルカムドリンクなど1滴も用意される気配がなく、もしかして忘れられているのかと思い、通りがかったスタッフに声をかけると「すぐにご案内します」と答えるのみで、結局さらに15分待つことに。根拠もなしに簡単に「すぐ」って言っちゃいかんよなあ。ちなみに彼は翌日のチェックアウトの際も「すぐ」を連発していたので、恐らくは口癖なのでしょう。滞在中、我々の間で彼のあだ名は「すぐお君」と相成りました。
それにしても、開業して半年も経ってないハンデを差し引いたとしてもこのグダグダ感は有り得ない。1泊10万円を取るホテルにしてはレベルが低すぎます。私はこれまでホテルチェーンの中でもリッツカールトンを贔屓にしており、沖縄東京大阪京都香港サンフランシスコシンガポールワイキキと好んで利用してきましたが、その中でも当館はダントツでクオリティが低い。私の中でのリッツカールトン愛が目盛り2つか3つ分減りました。
激おこぷんぷん丸の状態で部屋へと向かいます。男体山ビューのお部屋であり、広さは60平米ほど。なんだか随分と縦長に感じる間取りです。
スタッフに部屋の仕様について一通りの説明を受けた後、ようやく人心地つくのですが、その数分後にターンダウンサービスがやって来ました。こいつらアホか。なんで入室してすぐにターンダウンやねん。夕食はきちんと予約を入れているのだから、その時間帯を見計らって来るのがスジでしょう。ターンダウン本来の目的を見失い、ただ作業として順々にこなしているだけの思考停止を感じました。
リビングスペース。ちょっとしたテラスがあり男体山がよく見えます。ミニバーは充実しているのですが、無料なのは水・コーヒー・お茶だけであり、酒類の値付けは葬頭河婆のような迫力を感じました。
バスルームはスタイリッシュではあるのですが、動線が悪く使い勝手が悪い。蛇口の位置が高すぎて水滴がバチバチと鏡に跳ねるし、ここでこの薄さかよと使うのが怖くなるほど洗面所のグラスは繊細。各種スイッチ類はお洒落すぎて直感的に使いづらかった。
部屋にお風呂はあるのですが、共用設備として温泉の大浴場もあるので、この空間についての重要度はそれほど高くはないでしょう。
こちらがその温泉大浴場(写真は公式ウェブサイトより)。リッツカールトン初の温泉施設です。内風呂・外風呂・サウナのみのシンプルな構成ですが泉質は良く、私のバディがうるるとさららです。ところで脱衣所の清掃員が20代の女の子であり、これはちょっとどうなのでしょう。エロビデオの撮影か何かと思いびっくりしましたが、その筋の趣味の人にとっては堪らない演出かもしれません。
24時間営業のフィットネスセンターもあるのですが、今回は利用しなかったので意見差し控え(写真は公式ウェブサイトより)。
ランチを遅い時間に摂ったので夕食は軽めにしようと、誰でも手軽に利用できそうな「ザ・ロビーラウンジ (THE LOBBY LOUNGE)」にお邪魔することにしました。詳細は別記事にて
食後にバーをのぞいてみると、会社員風の団体がどんちゃん騒ぎで盛り上がっていました(写真はチェックイン時にヒマすぎて撮ったもの)。そういった連中を取り締まらず品格を維持しようとしないホテル側が一番悪い。
朝食は日本料理レストランで和食を頂きます。が、ここでもひと悶着あって、チェックイン時に「ソーシャルディスタンス確保のため席が限られており、ご案内できるのが10:15になる」とのこと。あのさあ、どうして朝食付きプランで販売しているくせに、その販売数を処理しきれないわけ?何でもかんでもコロナのせいにするなよ。
結局ゴネたら7:45に案内してもらえることとなり(ゴネられたらソーシャルディスタンスはどうでもよくなるのも撞着している)、席に着いてしまえば食事は美味しく接客も完璧であり、気持ちの良い気分で一日を始めることができました。
そう、対面するひとりひとりのスタッフは実に感じが良くチャーミングでありサービスマンとして申し分ありません。なのですが、個々の能力はすごく高いにも関わらず、チームになると途端にダメになるのが当館の特徴。何か問題があれば組織で対応しようという意識に乏しく、「オレの担当は別にあるから関係ないもんね」という外資系の悪い部分のみが目立ちます。各部門の縦割り感が半端なく、河野太郎ですら突破できない厚い壁を感じる酷い職場であり、たった十数時間の滞在で客にここまで悲憤慷慨させたという事実を、当館の首脳陣は重く受け止めるべきでしょう。
風光明媚な場所にスタイリッシュなハコをおっ建てて、ラグジュアリーな看板をかけさえすれば一丁あがりという考え方はもう古い。いま一度、このホテルはどこへ向かっているのか、何を大切にし、どのような社会的価値を創出したいのかを会社として真剣に議論すべきなのかもしれません。話はそれからだ。

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大所のホテルブランドであればリッツカールトンが好き。その街にリッツがあれば極力泊まるようにしています。


従業員の面接を、宿泊客と同様にもてなすリッツ・カールトン。ドアマンとピアノの生演奏が志願者を迎えるとか冗談みたい。そりゃあ凄いサービス集団が生まれるわけです。