レストラン ヴァリエ(VARIER)/中之島(大阪)

中之島ダイビルの2階にあるフレンチ「ヴァリエ(VARIER)」。もともとは福島で営業されていたそうですが、中之島ダイビルの建て替えを機に移転したそうです。商業ビルの中ながらしっかりとした誂えです。
ハコはかなり大きく、40席近くあるのではないでしょうか。テーブルの間隔にゆとりがあり、すげえ広いなあという印象。木目調で落ち着いた雰囲気であり、まさにグランメゾンです。

高井実シェフは大阪の名門「ホテルプラザ」で腕を磨き(現在は閉館)、フランスで経験を積んだのち、福島で「レストラン ヴァリエ(VARIER)」を開業。2009年に移転し現在に至ります。
店の格を考えれば当たり前ですが、飲み物は高いですね。最も安いシャンパーニュでも1.2万円~(税サ別)。その分お料理のコースの価格設定が控えめなので、トータルでは意外に安くつきました。
アミューズはコーヒーゼリーに安納芋。美味しいのですが、なぜ初っ端から甘く始めるのかの意図はわかりかねました。
続いて安納芋のシュガートースト。先の一口に輪をかけて甘い一品であり、やはり美味しいのですがシナボンのようでもあり、お茶菓子で出して欲しかった。
白子のポワレにサトイモのムース、白菜のエチュベ(蒸し煮)。これは美味しいですねえ。トロンとした白子とサトイモの舌ざわりが良く合います。ソースに醤油を、しかもかなりしっかり用いているのが面白い。
冷菜でホタテ貝。やはり醤油を用いておりホタテと醤油という最強タッグです。オレンジ色の液体はミカンのスープであり、面白い試みではありますが少し味がぎらついています。もう少し控えめでもよかったかもしれません。
フォアグラと鶏ソーセージ。スープ、というかお椀はレンコン主体であり、サツマイモ団子やキノコ、つくねなど日本料理の装いです。当店はめちゃんこクラシックに見せかけて、かなり遊び心があり自由奔放な料理が続きます。
パンは悪くはないのですが、他のややこしい料理に比べると素朴であり印象が薄かった。
伊勢海老はバジル風味のゼリーと共に。一般的にバターやクリームたっぷりで暑苦しく食べることの多い食材ですが、当店では実に颯然たる味覚であり、お口直しに近い爽やかさがありました。
メインはロッシーニ。仔牛にフォアグラという最強コンビであり、フランス風ウニイクラ丼的圧倒的名作。これはもう、どうやったって美味しいです。
デザート1皿目はイル・フロッタント。「浮き島」の意味であり、クリームにメレンゲを浮かせたものです。全体的にはリンゴフレーバーなのですが、ショウガをかなり強めに用いており、リンゴとショウガってこんなに合うんだと気づきのある味わいです。
続いてガトー・マルジョレーヌ。ピラミッドがどうのこうのという解説はプロに譲るとして、ナッツ風味のケーキにカシスの大人の酸味が素直に美味しい。濃厚ながら輪郭が冴えており、心に残った1皿です。
小菓子はワゴンからお好きなものをお好きなだけ。もちろん全種類頂いたのですが、ひとつひとつが結構な大きさであり、味もかなりのもの。先のガトー・マルジョレーヌにせよ、当店の甘味は私の肌に合っている。
紅茶で〆てごちそうさまでした。

以上、一通りを食べてボトルを1本とグラスをふたりで飲んで、お会計はひとりあたり2万数千円といったところ。前述の通りお料理だけであればかなりお値打ちであり、「水でいいです」族にとっては最強の費用対効果を発揮するかもしれません。空間が広くサービスもしっかりしているので、デートはもちろん接待にも良いでしょう。大阪で安定感のあるフレンチを楽しみたい際にどうぞ。

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